分子生物学分野

新潟大学大学院医歯学総合研究科

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発表論文の解説

E1酵素UBA5の変異が遺伝性重度発達障害を引き起こす

Biallelic Variants in UBA5 Link Dysfunctional UFM1 Ubiquitin-like Modifier Pathway to Severe Infantile-Onset Encephalopathy.
Muona M, Ishimura R, Laari A, Ichimura Y, Linnankivi T, Keski-Filppula R, Herva R, Rantala H, Paetau A, Pöyhönen M, Obata M, Uemura T, Karhu T, Bizen N, Takebayashi H, McKee S, Parker MJ, Akawi N, McRae J, Hurles ME; DDD Study., Kuismin O, Kurki MI, Anttonen AK, Tanaka K, Palotie A, Waguri S, Lehesjoki AE, Komatsu M.

Am J Hum Genet. 2016 Sep 1;99(3):683-94. doi: 10.1016/j.ajhg.2016.06.020.

 

 ATG8ホモログのGABARAPL2と相互作用する分子として私たちが同定したUBA5はユビキチン様修飾分子UFM1のE1様酵素です。UFM1はさらにE2様酵素、E3様酵素を介して基質タンパク質へ付加されます(UFM1システム)。最近、UFM1システムに必須な因子が欠損するとオートファジー選択基質p62/SQSTM1が蓄積すること(DeJesus et al. eLife 2016)や、UBA5がLIR(LC3-interacting region)と類似した配列UFIM(UFM1-interacting motif)を介してGABARAPL2と相互作用するなど(Habisov et al. JBC 2016)、オートファジーとの関連が明らかになりつつあります。今回、私たちは原因不明のてんかんや小頭症を伴う遺伝性重度発達障害患者5家系の遺伝子解析を行った結果、UBA5の複合ヘテロ接合体変異を同定しました。 
 患者由来の変異を持つUBA5は酵素活性が減弱しており、結果的にUFM1システムによるタンパク質修飾も障害されていました。また、患者由来の線維芽細胞においてもUBA5の酵素活性が低下していました。さらに、中枢神経特異的Ufm1ノックアウトマウスを作製・解析した結果、神経細胞死を伴った小頭症を呈し、生後数日以内に死亡することを見出しました。これらのことはUFM1システムの異常が遺伝性重度発達障害を引き起こすことを意味します。また、今回特定した変異は欧州人の0.28%がキャリアーであり、多数のUBA5の変異を有する重度発達障害患者が存在することが予想されます。今後はUFM1の基質の同定、オートファジーとの関連を明らかにし、病態発症のメカニズムを解明したいと思います。 
 この研究はHelsinki大学のAnna-Elina教授らとの共同研究です。また、本研究と同時にBonneau教授らのグループ(Colin, et al. AJHG 2016)も同様の症状を呈する別の4家系からUBA5が遺伝性重度発達障害の原因遺伝子であることを報告しています。


 

 

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