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研究概要

 薬理学教室で行われている研究は大きく3つに分けることができます。神経薬理学と循環器薬理学、それに臨床薬理学です。神経薬理学は樋口宗史教授が1997年に当教室に着任してから新しく始まった研究であり、循環器薬理学は前任の今井昭一教授時代から続いている研究です。まったく異なる分野のようにみえますが、相互に関連するところは多く、現在、この2つの研究は並行して行われております。また,臨床薬理学は、分析的な手法で得られたデータを広く個体、臓器レベルで臨床医学に還元する学問であり、薬理学の専門家としての経験を臨床薬物治療学に生かすことを目的としています。ここでは主に、神経薬理学と循環器薬理学について、ここ7年間余りの研究の概要をご紹介します。

 最初は神経薬理学の研究です。最近の神経科学の進歩は目をみはるものがあり、記憶、学習、感情、欲求、思考など、これまではとうてい理解することはできないと思われていた脳の機能のメカニズムがおぼろげながらも姿を現してきたといってもよいと思います。我々は,疾患に関わる遺伝要因を構成する遺伝子とその生体での役割を明らかにし、その理解の上に立って、薬物の作用点としての遺伝子転写機構を明らかにすることを研究の中心に置いています。具体的には、現在の研究は以下のように整理することができます。
 詳しい研究内容については、薬理学ホームページをご覧ください。

神経伝達に関わる神経特異遺伝子の発現調節機構

 神経ペプチドの一種であるニューロペプチドYやエンケファリンの遺伝子発現を中心として、神経伝達に関わる神経特異遺伝子の転写調節機構の研究を行っています。とくに神経特異遺伝子の転写がどのような転写因子で制御されるかについて研究しています。このような転写因子は薬物の作用点になることを明らかにしつつあります。

交感神経を含む神経細胞分化に関係する新しい転写因子群の同定と解析

(神経細胞分化へのアプローチ)

 この研究では,転写因子の解析のために、鋭敏で直接的な実験を可能にする実験動物であるゼブラフィッシュの導入し、In vivoでの解析をしています。

神経特異シグナルによる転写調節(記憶,神経可塑性へのアプローチ)

 神経細胞の分化、生存に重要である、神経成長因子(NGF)などの神経栄養因子の分子機構(脳老化へのアプローチ)を中心に、神経遺伝子転写調節の機構を研究しています。

神経ペプチド受容体の分子薬理学

 現在までに知られている神経ペプチドはおよそ40種ほどもありますが、生理機能が明らかにされたものはごくわずかしかありません。しかし、神経ペプチドが感情、感覚などの重要な中枢神経機能を担っていることは多くの例で明らかであり、今後神経ペプチドの研究は重要な研究分野の一つとなることは間違いありません。各種神経ペプチド受容体のシグナル情報伝達機構を分子レベルで明らかにすることは、神経ペプチドの生理機能の解明や、特異的な作動薬と拮抗薬の開発のために必須であり、将来的には抗痴呆薬など、高次精神機能に対する薬物の開発に繋がる研究になる可能性があります。

 次に、循環器薬理学の研究をご紹介します。今井教授時代の主な研究課題は、強力な血管拡張作用をもち、狭心症の特効薬として用いられるニトログリセンの作用メカニズムでした。ニトログリセンの血管拡張作用は、血管内で一酸化窒素(NO)に転換され、cyclic GMPという物質の濃度を上げることで発現します。このことは、ニトログリセンの作用機序が、昨年度のノーベル医学・生理学賞の受賞対象となった新しい生理活性物質であるNOと直接結びつくことを意味します。我々は、NOに転換された以降のニトログリセリンの血管拡張作用のメカニズムを中心に研究してきました。cyclic GMPによって活性化される蛋白質リン酸化酵素であるGキナーゼの役割と基質蛋白質の同定、cyclic GMPによって起こる血管平滑筋の収縮蛋白質のカルシウム感受性低下の機構、冠状動脈の太い部分と細い部分のニトログリセリンに対する反応性の違いなど、多くの研究が行われました。また、新しく始まった研究としては、ラットの実験的自己免疫性心筋炎の病態生理学的研究、ニューロペプチドYの循環器系における生理機能、遺伝的心筋炎モデル動物を用いた遺伝子治療の基礎的研究などが挙げられます。

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