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1.研究概要

 産科婦人科医学分野は、婦人科腫瘍学、周産期学、生殖医学に分かれ、各分野で専門性の高い研究が行われている。また、生殖医学分野は周産期学へつながる分野であり、融合した研究もおこなわれている。
 詳しい研究内容については、産科婦人科学ホームページをご覧ください。

2.研究グループ

  • 婦人科腫瘍グループ
  • 周産期グループ
  • 生殖医学グループ

3-1.婦人科腫瘍グループ

研究テーマ

子宮体癌におけるタキサン製剤耐性獲得の分子生物学的機序に関する研究
遺伝子発現プロファイルおよびプロテオーム解析に基づいた卵巣癌の個別化治療に関する研究
ゲノムワイドエクソーム解析による卵巣癌の原因遺伝子同定に関する研究
家族性卵巣癌における原因遺伝子同定に関する研究
子宮頸癌センチネルリンパ節ナビゲーション手術におけるリンパ節微小転移検索に関する研究
アディポサイトカインを標的とした子宮体癌発症・進展の分子メカニズム解明に関する研究 子宮内膜症疾患感受性遺伝子の同定に関する研究
高リスク子宮体癌に対する補助化学療法に関する研究(越後婦人科腫瘍研究グループ)

現在参加中の臨床研究

卵巣癌

  • ステージング手術が行われた上皮性卵巣癌I期における補助化学療法の必要性に関するランダ  ム化第III相比較試験(JG0G3020)
  • 上皮性卵巣癌・卵管癌・腹膜原発癌に対するPaclitaxel毎週点滴静注+Carboplatin3週毎点滴静注投与対Paclitaxel毎週点滴静注+Carboplatin3週毎腹腔内投与のランダム化第II/III相試験(JGOG3019)
  • プラチナ抵抗性再発・再燃Mullerian carcinoma(上皮性卵巣がん、原発性卵管がん、腹膜がん)におけるリポソーム化ドキソルビシン(PLD)50mg/uに対するPLD40mg/uのランダム化第III相比較試験(JGOG3018)
  • プラチナ感受性の再発卵巣がん、原発性腹膜がんおよび卵管がんに対する二次的腫瘍減量手術の有効性、およびカルボプラチンとパクリタキセルの併用療法のベバシズマブを併用維持療法として使用した場合の有効性を検討するランダム化第III相比較臨床試験(GOG0213)
  • ステージIII-IV期の卵巣明細胞腺癌を対象としたファーストライン治療としてのテムシロリムス+カルボプラチン+パクリタキセルの併用療法に続くテムシロリムスの維持療法による第II相臨床試験(GOG0268)

子宮頸癌

  • 初回治療として広汎子宮全摘出術と骨盤リンパ節切除術を受けた中等度リスクのステージI/IIa期の子宮頸がん患者に対する術後放射線療法と同時化学放射線療法のランダム化第III相試験(GOG0263)

子宮体癌

  • 子宮体がん術後再発中・高リスク群に対する術後化学療法としてのTEC(Paclitaxel+Epirubicin+Carboplatin)療法、TAC(Paclitaxel+Doxorubicin+Carboplatin)療法、ddTC(Dose-dense Paclitaxel+Carboplatin)療法のランダム化第II相試験(GOGO—EM3/Intergroup Study)

その他

  • 異型腺細胞(AGC)という細胞診断患者の子宮頚部病変診断におけるCA-IX, p16, 増殖性マーカーとヒトパピローマウイルス(HPV)による比較解析(GOG0237)

3-2.周産期グループ

研究テーマ

各種異常妊娠の免疫的異常と予防に関する研究
自己免疫的観点から見た胎児不整脈の予防に関する研究
超音波断層法による胎児異常検出のシステム化に関する研究

3-3.生殖医学グループ

研究テーマ

同種免疫的異常による習慣流産、体外受精‐胚移植反復不成功の治療に関する研究
原因不明習慣流産の解毒酵素遺伝子多型に関する研究
自己免疫異常による習慣流産、体外受精‐胚移植反復不成功に関する研究
HIV陽性夫婦における二次感染予防を目的とした生殖補助医療に関する研究
習慣流産のサイトカイン遺伝子多型との関連性に関する研究

4.研究の成果

[分野] 婦人科腫瘍グループ

[研究テーマ] 遺伝子発現プロファイルに基づいた卵巣癌の個別化治療に関する研究

[内容]
 漿液性卵巣癌は、上皮性卵巣癌で最も頻度の高い組織型で、5年生存率は約40%前後であり、予後の改善を目的とした新たな治療戦略が求められている。近年、卵巣癌は、分子生物学的に不均質な疾患として考えられており、この分子生物学的不均一性に着目し、治療の個別化による予後の改善を目指し、遺伝子発現プロファイルに基づいた進行漿液性卵巣癌の予後予測システムを確立することを目的とした。
 進行漿液性卵巣癌260症例の遺伝子発現データを利用し、10分割交差検証法併用Elastic net解析を行い、126遺伝子からなる予後予測インデックスを開発した。予後予測インデックスに基づき、高/低リスクを決定し、このリスク分類の予測性能を、検証データ(816症例)で確認した。さらに高リスク群では、免疫システムの変化、特に癌細胞において抗原提示パスウェイが強く抑制されていることを同定した。
 現在、ハイリスク群の遺伝子診断の臨床応用を目指すとともに、抗原提示パスウェイの再賦活化によって、宿主の免疫細胞による抗腫瘍効果の増強を促し、高リスク群の予後を改善できるように、研究を進めている。
(Yoshihara K & Tajima A, et al. Cancer Sci 2009; Yoshihara K, et al. PLoS ONE 2010; Yoshihara K, et al.: Clin Cancer Res, 18:1374-85, 2012.)

[写真など]

図
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[分野] 生殖医学グループ

[研究テーマ] 原因不明習慣流産の解毒酵素遺伝子多型に関する研究

[内容]
 近年習慣流産の原因として、解毒因子の遺伝的要因の関与が指摘されている。各種嗜好品に含まれる毒性物質は、CYP1A1による活性化を受けGSTsによる解毒を受ける。妊娠時の解毒酵素の活性低下が生体内における毒性物質の排除を遅らせ流産が発症する可能性があるが十分には解明されておらず、この点を明らかにすることを目的とした。習慣流産(3回以上の初期流産反復)96例を対象とし(患者群)、嗜好品についてのアンケート調査を行った。遺伝子多型解析はgenomic DNAを用い、CYP1A1、GST-π、GST-μ、GST-θの各酵素の遺伝子多型をPCR-RFLP法により判定した。2回以上の分娩を経験し流産歴のない婦人96例を対照群とした。CYP1A1、GST-π、GST-μ、 GST-θの遺伝子頻度については両群間で、有意差を認めなかった。嗜好品と遺伝子頻度について両群間で比較したところ、コーヒー摂取例に関連し、患者群67例中GST-μ欠失例が41例(61%)、対照群68例中GST-μ欠失例が28例(41%)であり、患者群で有意に高率であった(χ二乗テスト)。以上の結果より、解毒因子のうちGST-μの欠失例において、コーヒーの摂取が習慣流産の発症に関与することが示唆され、習慣流産予防のための生活指導に活用できる可能性が示唆された。
(Nonaka T, Takakuwa K, et al.Journal of Obstetrics and Gynaecology Research, 37:1352-1358, 2011.)

[写真など]

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[分野] 生殖医学グループ

[研究テーマ] HIV陽性男性夫婦に対する体外受精‐胚移植に関する研究

[内容]
 HIV感染患者は、治療薬の改善により長期生存が可能となり、結婚し挙児を希望するようになってきている。 一方、100組のHIV陽性男性・陰性女性夫婦が通常の性交で妊娠を試みた場合、年間で4.8人の女性がHIV感染することが報告されており、また人工授精による女性の二次感染例も報告されている。 このような観点から、HIV陽性男性・陰性女性夫婦に対する、二次感染の危険がない安全な生殖補助医療の確立が重要である。 当科では、より安全な生殖補助医療としてHIV陽性男性・陰性女性夫婦に対し、2001年よりSwim-up変法・RT-nested PCR法を用いた体外受精-胚移植を施行している。これまでに58組のHIV感染男性・非感染女性夫婦に対し、本療法を施行している。102周期の排卵誘発を実施し、新鮮胚移植を施行した29周期(42.0%)、凍結胚移植を施行した8周期(25.8%)において妊娠が成立した。 流産例を除き、治療を施行した28組(48.3%)の夫婦が生児を獲得している。 また、胚移植を実施した妻およびその後出生した児全例について二次感染は認められていない。以上より、本療法は、有効かつ安全な治療であると判断している。
(Kato S, Takakuwa K, et al. AIDS, 20:967-73, 2006. Kashima K, Takakuwa K, et al. Japanese Journal of Infectious Disease. 62: 173-176, 2009.)

[写真など]

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