研究紹介

 2014年より、亀田製菓株式会社、佐藤食品工業株式会社、株式会社バイオテックジャパン、ホリカフーズ株式会社との共同研究として、新潟県の御支援も頂き、CKDにおける低たんぱく食の意義についての臨床研究を行っています(CKD患者における治療用特殊食品(低たんぱく質米)の使用がたんぱく質摂取量に与える効果に関する多施設共同無作為化比較試験)。本研究においては、CKD患者において推奨されるたんぱく質制限食を遂行する上で、治療用特殊食品(低たんぱく質米)の使用がそのアドヒアランスの向上に有効であるか検証しています。同時に、治療用特殊食品(低たんぱく質米)を用いた、たんぱく質制限食が腎機能や栄養状態に与える影響についても検討しています。

  機能分子医学講座の斎藤特任教授から御指導を頂き、高脂肪食負荷によるメタボリックシンドロームモデルマウスにおいて、腎近位尿細管エンドサイトーシス受容体メガリンによって腎毒性物質(脂肪酸含有タンパク質など)が腎臓に取り込まれることが引き金となって、CKDが引き起こされることを明らかにしました。メガリンがCKDの発症・進展の「入り口」を司る分子として機能していると考えられます(Kuwahara S, Hosojima M (equal contr.), et al. Megalin-mediated tubuloglomerular alterations in high-fat diet-induced kidney disease. : J Am Soc Nephrol, 27(7): 1996-2008, 2016)。「腎臓病誘発の「入り口」特定」という見出しで新潟日報(2015年11月5日朝刊)にも採り上げられました。(PDFダウンロードはこちら)

 新潟大学農学部、亀田製菓株式会社、信楽園病院などとの共同研究として、米胚乳たんぱく質が腎機能などに与える影響について解析を行っています。新潟大学農学部との共同研究では、肥満2型糖尿病モデルラットにおける米たんぱく質による糖尿病性腎症の軽減効果を明らかにし、Br J Nutr誌に報告しました(Kubota M, Hosojima M, et al. Rice endosperm protein slows progression of fatty liver and diabetic nephropathy in Zucker diabetic fatty rats. : Br J Nutr, 2016 Oct;116:1326-1335, 2016)。また、肥満およびメタボリックシンドローム患者を対象に、1ヶ月の米タンパク質摂取がHDL-Cの上昇や尿酸の低下といった効果をもたらすことを明らかにし、BMC Nutrition誌に報告しました(Hosojima M, et al. Beneficial effects of rice endosperm protein intake in Japanese men with risk factors for metabolic syndrome: a randomized, crossover clinical trial. : BMC Nutrition, 2016 2:25:doi:10.1186/s40795-016-0065-7, 2016)。さらに、透析患者において高リン血症をきたさずにたんぱく質摂取量を上げるための有効な供給源となることを明らかにしています(論文投稿中)。これらの研究は、農林水産技術会議委託プロジェクト研究「農林水産物・食品の機能性等を解析・評価するための基盤技術の開発」の一環として行われました(「米タンパク質の新規生体機能調節の先導的開発と機構解析」、代表:新潟大学農学部 門脇基二教授、2011〜2013年度)。そして現在も、腎臓とタンパク質代謝に関わる栄養学的な研究を継続しており、特に米胚乳たんぱく質の有用性についての検討を行っています。
 2017年5月、新潟大学は亀田製菓株式会社と包括連携協定を締結しましたが、これまで行ってきた共同研究をさらに加速させていきたいと考えています。
 
 持続血糖測定(continuous glucose monitoring : CGM)を用いて食事内容や薬剤が血糖変動に与える影響も検討しています。そして、ステロイド糖尿病患者においてDPP-4阻害薬が食後の血糖変動や無自覚低血糖を抑制することを明らかにしました(Yata Y, Hosojima M, et al. Efficacy of dipeptidyl peptidase-4 inhibitors in patients with glucocorticoid-induced diabetes assessed by continuous glucose monitoring Internal Medicine, in press)。また、新潟大学心臓血管外科との共同研究で、周術期の血糖管理におけるCGMの有用性を検討しました(Sato H, Hosojima M, et al. Glucose variability based on continuous glucose monitoring assessment is associated with postoperative complications after cardiovascular surgery: , Ann Thorac Cardiovasc Surg, in press)。さらに、糖尿病合併維持血液透析患者においてDPP-4阻害薬が透析時の血糖変動を抑制することを見出し、論文投稿を準備中です。県内の透析関連病院との連携で、「インスリン使用中の維持血液透析患者におけるGLP-1受容体作動薬の併用によるその有効性および安全性に関する臨床研究」や「2型糖尿病を合併した維持血液透析患者におけるWeekly-DPP-4阻害薬の有効性・安全性および患者QOLへの影響に関する臨床研究」も進行中です。

  新規の経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬使用時における食事療法の重要性を念頭に病態栄養学会誌に症例報告を行いました(和田恵梨、細島康宏、他.SGLT2阻害薬開始の前後で食事記録を確認できた肥満2型糖尿病の一例:病態栄養学会誌 2016)。また、新潟大学歯学部と共同で「歯周病と生活習慣病・動脈硬化関連因子との関連性の検討」も行っています。