胆膵系疾患トピックス


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*胆膵系疾患トピックス


  1. 胆管悪性狭窄における Tannenbaum テフロンステントと一般的なポリエチレンステントを比較するprospective randomized trial(March 19, 2001).

    <背景>
    我々の目的は最近の側孔のないテフロン製タネンバウムステント(TB)の、一般的なポリエチレンステント(CH)に対する臨床的な有効性を明らかにすることである。
    <方法>
    切除不能悪性腫瘍で胆管狭窄のある57人の患者(26人が男性、平均年齢 75.5歳)がエントリーされた。(38例が膵頭部癌、17例が胆管細胞癌、2例が乳頭部癌) 症例はprospectiveに10F、7cmのTB群(29例)と、CH群(28例)に無作為に割り振られ、内視鏡的にステントが挿入された。4症例(TB群 2例、CH群 2例)が除外された:3例はステント挿入に失敗し、1例はプロトコル違反による。症例は死亡もしくは消化管通過障害による手術を必要とするまで臨床的に評価され、もし必要ならば、毎月生化学検査が施行された。ステントの閉塞や逸脱が起こったときは、同じ種類のステントが再度挿入された。累積のステント開存率と生存率がKaplan-Meierで解析され、χ二乗テストで比較された。
    <結果>
    二つのグループは平均年齢、性比、診断において差を認めなかった。症例は平均145.5日(23日から613日まで)経過観察された。このstudyの終了時47名(81%)の症例が死亡するか、消化管通過障害をきたしていた。生存中央値はTB群で88日(24日から613日)、CH群で75.6日(23日から486日)であった。ステントの交換(閉塞が16例、逸脱が3例)はTB群で5症例、CH群で7症例に認められた。最初に挿入されたステント、二番目、三番目のステントでステントが機能している平均期間に統計学的な差は認められなかった。ステントが機能していた平均期間はTB群で96日(11日から613日)、CH群で75.5日(23日から323日)であった。生存期間、ステントの開存率ともに両者で統計学的な有意差は認められなかった。
    <結論>
    この研究では胆管悪性狭窄を有する患者の緩和治療として、生存率、ステントの開存期間いずれにおいても一般的なポリエチレン ステントを超えるTannenbaum ステントの明らかな有用性は認められなかった。
    <コメント>
    現在ERBDで使用されているプラスティックステントの一番の問題点は、挿入後3〜6ヶ月で起こるステントの閉塞である。この問題を回避するために、ステントの形状、材質、特殊なコーティングなどによる様々なステントの改良や、予防的な抗生剤や、UDCAの内服などが行われている。ステントの改良によりin vitroおいては今までのステントと比較し有意に開存期間の延長が得られるようになったが、いざ実際に臨床試験を行ってみると開存期間の有意な延長は期待できないとする結論が多い。症例によっては金属ステントを用い長期の開存期間を得ているが、まだまだプラスティックステントと比較すると高価である。より安価で開存期間のすぐれたステントの登場に期待したい。

    文献

    1. Terruzzi V, Comin U, De Grazia F, Toti GL, Zambelli A, Beretta S, Minoli G. Prospective randomized trial comparing Tannenbaum Teflon and standard polyethylene stents in distal malignant biliary stenosis. Gastrointest Endosc 2000; 51: 23-7.


    (文責 新潟大学医学部第3内科 塩路和彦)

  2. 生体肝移植(OLT)後の胆道系合併症に対する内視鏡的管理について(February 6, 2001).

    背景:OLT後の胆道合併症の管理において手術、経皮的胆道造影、ERCPが行われてきたが、ここではOLT後の胆道合併症の診断、治療、成果におけるERCPの役割を評価した。
    方法:OLTを施行された260名をretrospectiveに評価し、ERCPに関連した患者数、indication、診断、治療、成功率、合併症率を検討した。またERCPを施行されなかったコントロール群とERCPを施行された患者との生存率、再移植率も比較した。
    結果:OLTを施行された260名のうち64名(24.6%)が経137回のERCPを施行された。ERCPの適応となる2つのカテゴリーがわかり、1つはbile leak(31名)でもう1つは胆道閉塞(39名)であった。ERCPにより、bile leakの31症例中27症例(87.1%)においてbile leakの部位が同定され、そのleakは31症例中26症例(83.9%)が内視鏡的に治療された。治療成功率はleakの部位において有意差が認められた(T-tube 95.2% vs. anastomosis 42.9%;p=0.009)。
    ERCPにより39症例中37例(94.9%)の閉塞部位がわかり、35例中25例(71.4%)において内視鏡的に治療できた。その他の合併症として総胆管結石症、乳頭機能不全、biliary castがあり、biliary castにおいては他に比し内視鏡的治療が有意に劣っていた。
    ERCPを施行した群としなっかた群において、生存率、再移植率に違いは認められなかった。
    結論:ERCPはOLT後の胆道合併症の診断、治療に対し最初に施行されるべきである。内視鏡的治療は、OLT後の合併症に安全で効果的であり、最終的に外科治療を要するであろう病態に対しても一時的に手術時期を延ばす役割もある。
    コメント:当院でも14名のOLTが施行され2名の胆道合併症にERCPが施行された。1例は吻合部の狭窄とbile leakで胆管空腸吻合が施行され、もう1例は吻合部のbile leakでENBD tubeにて軽快した。

    文献

    1. Pfau PR, Kochman ML, Lewis JD, Long WB, Lucey MR, Olthoff K, Shaked A, Ginsberg GG. Endoscopic management of postoperative biliary complications in orthotopic liver transplantation. Gastroenterol Endosc 2000; 52: 55-63.


    (文責 新潟大学医学部第3内科 竹内 学)

  3. 切除不能進行膵癌に対する超音波内視鏡ガイド下混合リンパ球穿刺注入療法(October 3, 2000).

    背景:切除不能の進行膵癌は非常に予後が悪い事が知られており、平均生存期間は約4カ月程度である。これまでにも化学療法や放射線療法の効果を調べる臨床試験が行われているが、いずれも著明な効果は得られていない。そこでBRM(Biologic response modifiers)を用いた免疫療法として、EUS(超音波内視鏡)ガイド下穿刺により進行膵癌局所に混合リンパ球培養細胞を注入(cytoimplant)する治療法の効果と安全性を調べる臨床試験が行われた。
    対象と方法:対象となったのは組織学的にadenocarcinomaが確認され、CTまたはEUSでサイズの測定が可能で、血管侵襲やリンパ節または肝臓への転移のため手術不能と判断された8名(平均年齢62.4才、男女比は1:1、StageUが4名、StageVが3名、StageWが1名)。健常なドナー及び患者より末梢血単核球を採取し混合培養した後、培養細胞の300〜900万個を注入した。EUSはPENTAX社FG32UA、FG36UXを用い、22G×10cmの針で穿刺を行った。
    結果:平均生存期間は13.2カ月、腫瘍サイズは2人がPR(50%以上の縮小)、1人がMR(50%以下の縮小が2カ月以上持続)であった。副作用として熱発、肝機能障害、嘔気嘔吐が見られたが、いずれも重篤なものではなかった。
    コメント:切除不能膵癌に対するBRM(Biologic response modifiers)を用いた免疫療法と、EUSという新しいアプローチ法を用いた治療法といえる。MLR(混合リンパ球培養反応)による免疫療法はラットにおける肝腫瘍モデルの実験でIL-2、IFN-gamma、sIL-2Rの産生を増加させ、MHC classT抗原を介した抗腫瘍効果を示すことが報告されている。人においてはこれまで膵臓局所に簡便にアプローチする方法がなかったためこのような治療法は行われていなかったが、近年EUSガイド下穿刺吸引細胞診が膵癌などでも積極的に行われてきており、こういった新しいアプローチ法を用いた治療が今後発展する可能性もあると思われる。

    文献

    1. Chang KJ, Nguyen PT, Thompson JA, Kurosaki TT, Casey LR, Leung EC, Granger GA. Phase I clinical trial of allogeneic mixed lymphocyte culture (cytoimplant) delivered by endoscopic ultrasound-guided fine-needle injection in patients with advanced pancreatic carcinoma. Cancer 2000; 88: 1325-35.


    (文責 新潟大学医学部第3内科 佐々木俊哉)




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