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ミトコンドリアやオートファジーに興味のある方は、ぜひご連絡ください。
問い合わせ先:神吉(かんき)
kanki<at>med.niigata-u.ac.jp
025-227-2156












研究内容の紹介

1.はじめに(ミトコンドリアとオートファジーの紹介)
2.ミトコンドリアオートファジーと健康
3.私たちの研究成果(すこし専門的な内容)

はじめに

ミトコンドリアとオートファジー

 ミトコンドリアは、細胞小器官という細胞を構成する構造体の一つで、摂取した栄養をATP(アデノシン三リン酸)という細胞が使いやすいエネルギーに変換する役割があります。発電所が、石油、石炭、ガス、原子力など取り扱いにくいエネルギーの塊から、電灯からパソコンまで何にでも使える「電気」という使いやすいエネルギーに変換し、各家庭に送り届けるように、ミトコンドリアは、食物から得た糖や脂肪などの栄養を単一のATPに変換し、細胞内に送り届けます。このミトコンドリアで産生されたATPを用いて、細胞は様々な活動が出来るようになります。例えば、筋肉を動かすのも、頭を使って考え事をするのもミトコンドリアが作ったATPを利用しています。
 このように、ミトコンドリアは細胞が活動する上で必須の細胞小器官ですから、多くの研究者の興味を引きつけ、多くの研究が行われてきました。その中には、1978年ノーベル賞受賞者ピーター・ミッチェルによる化学浸透圧説や、1997年ノーベル賞受賞者ポール・ボイヤーとジョン・ウォーカーのATP合成酵素の研究など、多くの素晴らしい研究が含まれています。こうした研究の結果、現在では、食べた栄養がミトコンドリアの中でどのようにATPに変換されるのか、かなり詳しく解明されています。また、最近の分子生物学の発展により、ミトコンドリアがどうやって作られているのか、つまりミトコンドリアを構成する成分がどこで作られ、どのようにミトコンドリア内に運び込まれるのかも詳しく知られるようになりました。この様に、これまで多くの研究者を惹きつけ、現在はさらに盛んに研究されるようになっているミトコンドリアですが、未だにほとんど解明されていない事があります。それが、私たちの研究テーマである「ミトコンドリアの分解です」。
 どのような物でも同じですが、例えば上記で例に用いた発電所の場合では、電力の需要に応じて発電所は新しく作られ、働き(発電すること)、古くなれば壊して新しいものに作り替えられます。電力の需要が減れば、壊すだけで新たに作らないということもあるでしょう。ミトコンドリアの場合も同じだと考えられます。私たちの体を構成している細胞の一部は、例えば神経細胞などは、100歳の方なら100年間も同じ細胞が使われています。この中にあるミトコンドリアも100年間、入れ替わりが起こっていないとはとても考えられません。必ず壊して、新しいものに作り替えられているはずです。しかしながら、これまでミトコンドリアを壊すことに関しては、ほとんど研究されていませんでした。少し前までは、ミトコンドリアのような大きな細胞小器官を分解する機構が存在するとは考えられなかったのだと思います。このミトコンドリアを分解する機構は、今ではミトコンドリアオートファジー(mitochondria autophagy又はmitophagy(マイトファジー))と呼ばれている、オートファジーによるミトコンドリア分解です。私たちは、様々な研究を通じてマイトファジーの存在を証明し、その分子機構の大部分を解明してきました(私たちの研究成果を参照)。マイトファジーのことは、後で詳しく説明するとして、まずはオートファジーについてです。

オートファジーとは

 オートファジー(Autophagy)は、自食作用と訳されるように、細胞が細胞内のタンパク質さ細胞小器官を細胞内で消化・分解する現象です。このオートファジーは、ほとんどの真核生物に見られる現象で、細胞が生きていくために重要な役割を持っています。私たちヒトでも、パンを焼いたりワインを作ったりする時に使われる酵母と呼ばれる単細胞生物でも、栄養が摂取できなくなるとオートファジーが強く誘導されます。誘導されたオートファジーにより、細胞内のタンパク質やオルガネラが分解され、新しくアミノ酸や脂質などに変わります。この新しくできたアミノ酸などを使って、細胞は栄養が無い環境下で生き延びるのに必要なタンパク質を作り出し、危機を乗り越えようとします。
 下図はオートファジーの模式図です。オートファジーが誘導されると隔離膜と呼ばれる脂質二重膜が細胞質内に現れ、伸長し細胞質にあるタンパク質やオルガネラなどの細胞質成分を包み込みます。完全に包み込んだ状態をオートファゴソームと呼びます。次に、このオートファゴソームがリソソーム(酵母の場合は液胞と呼ばれる)と融合します(正確にはオートファゴソームの外膜とリソソーム膜が融合します)。リソソーム内は酸性で、加水分解酵素で満たされており、これらの酵素により取り込まれた細胞質成分が分解されます。
 この様な過程を経て、細胞質成分を分解するのがオートファジーです。オートファジーは、電子顕微鏡観察などにより1960年代からその存在は知られていましたが、1990年代に入るまでほとんど研究されることはありませんでした。1990年代になって、大隅良典先生(現東京工業大)らが出芽酵母を用いた実験により、オートファジーに必須な遺伝子群(ATG遺伝子)を同定したことを皮切りに研究が大きく前進し、現在ではオートファジーが分子機構レベルで解明されるに至っています。


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新潟大学大学院医歯学総合研究科