第51回腎研セミナー Thrombotic microangiopathy を呈する新しい糸球体内皮細胞障害モデル 東京大学医学部第一内科  南学 正臣先生

従来、Heymann 腎炎、Thy1腎炎など糸球体上皮およびメサンギウム細胞障害の動物モデルはよいものが存在しましたが、糸球体内皮細胞障害モデルは適当なものがありませんでした。演者らは、組織学的に thrombotic microangiopathy を呈し、急性腎不全を起こす新しい糸球体内皮細胞障害モデルを作成されました。

本セミナーではこのモデルについての解析結果(特に補体との関連)をお話しいただきます。また以上とは別に、EST database を利用した新しい遺伝子のクローニングについてもお話しいただく予定です。広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第52回腎研セミナー 糸球体炎症部位特異的遺伝子導入法の確立 -糸球体腎炎遺伝子治療に向けて- 東京慈恵医大内科学講座第2、DNA研究所遺伝子治療部門 横尾 隆先生

腎糸球体に関する遺伝子治療が、近年大きな進展を見せています。遺伝子導入の方法はいくつか考案されていますが、演者の横尾先生は、ロンドン医科大学北村正敬博士のもとで、細胞をベクターとするex vivo遺伝子導入法を発展させてこられました。今回は、炎症を起こした糸球体に特異的に遺伝子を導入するシステム、ならびにこれを用いた糸球体腎炎治療の可能性について御講演いただきます。広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第53回腎研セミナー 血管新生の分子機構 東北大学加齢医学研究所腫瘍循環研究分野・教授 佐藤 靖史 先生

演者の佐藤靖史先生は、日本の代表的な血管生物学者のお一人です。米国ニューヨーク大学メディカルセンター細胞生物学教室、D.B.Rifkin 教授のもとで研鑚を積まれた後、現在は血管新生における内皮細胞の特性について、遺伝子発現の調節機構や潜在型 TGF-β の活性化の面から、研究を精力的に進めています。先生の論文は、世界の一流誌に掲載され続けていますが、最近、”血管新生学”(メディカルレビュー社、1996年)という著書も編集され、私ども血管生物学に興味のある研究者を先生はいつもリードしてくれています。最近、この旭町キャンパスでも血管生物学領域の研究に従事する方が増えています。このような時期に、佐藤先生から新知見をまじえ、血管新生に関するご講演を拝聴できることは、血管系の疾患解明に向けて研究を進めている研究者にとって有意義なことと思います。先生のご講演後は、活発な討論、率直な意見交換を行い、明日への研究・診療の糧となるような研究会になればと念願しております。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広いご参加を歓迎いたします。

 

第54回腎研セミナー 遠位側ネフロンの不均一性 自治医科大学 薬理学教室 今井 正 教授

遠位側ネフロンというのは、遠位曲尿細管、接合尿細管、集合管を含めた便宜的な名称です。近位側ネフロンが糸球体濾過液の基本的な量および組成の再吸収に関与するのに対して、遠位側ネフロンは体液の水・電解質バランスの変化に対応して、微妙な再吸収調節を司っています。このためさまざまなホルモンがこれらのネフロン分節に特異的に作用してその輸送調節を行っています。これに加えて、同一ネフロン内で構成する上皮が複数あります。それぞれの細胞がどのような機能を持っているかに関しまして、電気生理学的な特性を中心にして、我が国のみならず国際的にも腎生理学の第一人者として知名度も高く御活躍中の今井先生に御講演頂きます。 広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第55回腎研セミナー Podoplanin 新しく発見された糸球体透過性調節蛋白について 帝京大学第一内科 松井 克之先生

近年糸球体蛋白透過性調節についての糸球体上皮細胞の役割が注目されています。演者の松井先生はウィーン大学Kerjaschki教授のもとでラット腎糸球体上皮細胞細胞膜表面に存在する蛋白の研究を行って来られました。今回は新しく発見された糸球体透過性調節蛋白 Podoplanin についてお話ししていただきます。Podoplaninに対する抗体をラットに投与すると一過性の有意な蛋白尿が出現し、また微小変化型ネフローゼ症候群のラット実験腎炎モデルであるpuromycin aminonucleoside nephrosisの腎糸球体上皮細胞ではPodoplaninの発現が著明に減少していることなどからPodoplaninは糸球体係締壁の蛋白透過性に重要な役割を果たしていると考えられます。 広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第56回腎研セミナー 骨と腎臓における副甲状腺ホルモン関連ペプチドとそのレセプターについて 新潟大学歯学部第一口腔解剖学講座 網塚 憲生 先生

副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)は悪性腫瘍から産生され、PTHと共通のレセプターを介して高カルシウム血症を誘発するタンパクとして同定されました。そのためPTHrPは長い間、病理学的なoncoproteinとして扱われてきました。しかしPTHrPはPTHと異なり胎生期の様々な組織で産生されていることから、PTHrPは単に血清カルシウム調節因子でなく個体発生や器官形成に重要な役割を果たす因子であることが考えられます。本セミナーでは、PTHrP遺伝子欠損マウスを用いてPTHrPが軟骨や骨の分化発生に関与することを示した興味深い知見を中心に、そのレセプターの骨と腎臓における局在及びそのpromoterについてもあわせて御講演いただきます。広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第58回腎研セミナー インターフェロン(IFN)のシグナルトランスダクション:最近の話題 新潟大学医学部第二内科 伊藤 聡 先生

演者の伊藤聡先生は、米国Food and Drug Administration (FDA)の、Division of Cytokine Biology においてInerferonのsignal transduction機構についての研究で多くの成果を挙げられ昨年12月に帰国されました。Jurcat TcellにおいてIFNaの抗増殖作用には、T細胞レセプターのコンポーネントであるCD45,ZAP70が必要であり、これらを欠くmutant cell lineでは、JAK-STAT pathwayや抗ウイルス作用は、保たれていたにもかかわらず、IFNaの抗増殖作用は認められないこと、またこれらを遺伝子導入により再構築することにより抗増殖作用が回復することなどを明らかにされました。またSLE患者の末梢単核球では、正常者に比べIFNに対する反応性が低下しているが、これには、 IFN inducible geneの転写の低下が関与していることなどを明らかにされました。今回は、これらの最新の知見に加え、今後の研究の方向性などについて御講演いただく予定です。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

 

第59回腎研セミナー mlegalin/gp330のマッピング:Heymann腎炎病原エピトープとリガンド結合ドメインの解析 新潟大学医学部第二内科 山崎 肇 先生

演者の山崎肇先生は、米国カリフォルニア大学サンディエゴ校Marilyn Gist Farquhar教授のもとでmegalin/gp330について研究、多くの成果を挙げられ本年4月に帰国されました。megalin/gp330は、古くからHeymann nephritisの主要病因抗原として知られており、LDLレセプター遺伝子ファミリーに属する分子量約600kDaの膜蛋白質です。その細胞外ドメインは、4つのリガンド結合ドメインを含んでおり、その第2ドメインがHeymann nephritisの病原エピトープを含んでいることが報告されました。また、同ドメインは複数のリガンドに対する結合能を持ち生理機能上も重要なドメインであることが示唆されています。今回演者の山崎先生らは、その他の3つのドメインについて分子・エピトープレベルでの解析を行い各ドメインともHeymann nephritis惹起やリガンドのエンドサイトーシスに関与していることを明らかにされました。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

 

第60回腎研セミナー マウスループス腎炎とサイトカイン・増殖因子 金沢大学医学部第一内科 和田 隆志先生

演者の和田先生はIL-8、MCP-1などケモカインの腎障害に果たす役割について重要な研究をつづけてこられました。また平成7年から米国ハーバード大学Brighaman and Women HospitalのV.Kelly教授のもとで、ループス腎炎モデルであるMRL-Fas/lprマウスを用いて、マクロファージ増殖因子・サイトカインの発現調節機構を検討してこられました。移植モデル、T細胞欠損マウスならびに遺伝子導入法による検討の結果、TCRαβT細胞はCSF-1、TNFα並びにケモカイン発現を介し腎症の発症・進展に深く関与し、かかる因子により腎局所でTCRαβT細胞が浸潤・活性化することにより腎症がさらに増殖されることを示されました。本セミナーでは、これら最新のデーター、今後の研究の方向性についてご講演いただく予定です。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

第61回腎研セミナー 糸球体上皮細胞の細胞周期制御と糸球体硬化 筑波大学臨床医学系病理部 長田 道夫先生

糸球体上皮細胞(podocyte)は細胞分裂ができないため、その傷害は糸球体硬化を引き起こす原因になると考えられています。演者の長田先生は、podocyteの細胞周期をcyclin-dependent kinase inhibitorが規定し、p27が特に重要な役割を演じていることを明らかにされてきました。本セミナーでは、これらを中心に、podocyteの発生分化、上皮細胞の増殖が糸球体硬化の原因となるFGS,ANCA関連腎炎についても、ご講演いただきます。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

第62回腎研セミナー Henleループの細胞間短絡路の特性:protamineによる解析 自治医科大学薬理学教室教授 今井 正先生

演者の今井先生は我が国のみならず国際的にも腎生理学の第一人者として知名度も高く御活躍中です。今回はHenleループの輸送特性についてお話いただきます。Henleループは細胞間隙の形態と密接に関連して、分節ごとにユニークな輸送特性があります。protamineはtight junctionに作用して比較的選択的にそのイオン透過性を抑制することが知られておりこの作用はheparinによってのぞくことができます。このprotamineの作用を手段としてHenleループ、Henleの細い下降脚、細い上降脚、太い上降脚について、細胞間隙のイオン透過性の特性を解析した結果を解説いただき、その生理的意義についてご講演を頂きます。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

第63回腎研セミナー 培養足細胞における微小管系細胞骨格の構築と機能 愛媛大学医学部解剖学 小林 直人先生

足細胞(腎・糸球体上皮細胞)の分子生物学的研究には、その培養系が不可欠であるが、最近、不死化遺伝子を導入したトランスジェニックマウスから、生体内での特徴をよく保存した足細胞の培養系が樹立された。演者の小林先生は、ドイツ・フンボルト財団の奨励研究員として、この培養系を樹立したドイツ・ハイデルベルグ大学のKriz教授・Mundel博士の元に留学し、培養足細胞における微小管系細胞骨格の構築と機能を研究され、多くの成果を上げ、本年6月に帰国されました。本セミナーでは、これらの最新の知見、今後の研究の方向性についてご講演いただく予定です。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

第64回腎研セミナー 新薬開発の国際化と科学化 ダイナボット(株)開発本部長 藤原  芳廣先生

日本の他のあらゆる分野と同様に、新薬開発の領域にも国際化の波が急速に押し寄せてきています。ICH(医薬品規制ハーモニゼーション国際会議)の概念に基づき、日・米・欧の三極はそれぞれの地域で得られた新薬に関するデーターを相互に受け入れる体制を整えつつありますが、日本の準備状態は万全とは言いがたい状態です。またこの国際化の波と同調して、日本の新薬開発/治験にも、より検証可能な客観的証拠に基づく科学的データーの集積が強く要求されています。演者の藤原先生は20年にわたる大阪大学病院での腎臓研究の後、外資系製薬メーカーのダイナボットに移られました。そこで経験した様々な戸惑い、驚き、新たな発想、そして医師の立場から見た新薬開発のあり方、新薬開発の立場から見た医療のあり方についてご講演いただきます。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

第65回腎研セミナー 腎レジデント細胞のJAK/STAT情報伝達経路の制御 新潟大学第2内科学 坂爪 実先生

Cresentic glomerulonephritisなどの細胞性免疫機序による腎病変の形成にはTh1サイトカインが関与し、その中でもINFγは、免疫担当細胞やレジデント細胞の形質を炎症性に変化させ、炎症を促進させる役割を担っていると考えられています。演者の坂爪先生はその細胞内伝達経路であるJAK/STAT経路の詳細を検討されました。今回は腎レジデント細胞でこの経路を修飾し、炎症性形質変化を阻止することの試み、メサンギウム細胞でのPDGF, AngiotensinnIIによるこの経路の活性化などについてお話いただきます。広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第66回腎研セミナー 両生類胚の背腹軸形成における転写因子msxの役割-msx1/2はオーガナイザー遺伝子の発現を腹側で抑える因子である- 新潟大学理学部生物学科 前野 貢先生

両生類の発生において、神経組織や頭部を形成させるオーガナイザー活性は、BMP-4(骨形成蛋白質)シグナルを阻害することによって生ずることが知られています。演者の前野先生は、BMP-4シグナルの標的因子の一つであるmsx-1の、背腹軸形成における機能について明らかにされてきました。msx-1遺伝子は嚢胚期には、胚の腹側にかたよって発現し、また、この遺伝子は将来背側になる部位に発現させると、その部位は腹側化してしまいます。こうした興味深い知見に加え、ドミナントネガティブに働く変異体を用いたmsx-1の解析、msx-2の発現や機能についてもご講演いただきます。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

 

第67回腎研セミナー 老化マーカー蛋白SMP30の機能と疾患 東京都老人総合研究所・分子病理学部門 丸山 直紀先生

加齢に伴い発現が低下する蛋白として発見されましたSMP30は分子量3万の新しいタイプのカルシウム結合蛋白です。肝細胞および腎尿細管が主要な発現部位であり高等動物種間において遺伝子的に広く保存されています。SMP30は細胞内カルシウムレベルの調節維持により細胞機能を保護していると考えられております。今回演者の丸山先生には、カルシウムポンプ及び細胞形態におよぼすSMP30の効果の解析を通し、その疾患との関連につきましてご講演いただきます。広く臨床、基礎の先生方、学生諸君の来聴を歓迎します。

 

第68回腎研セミナー 新生仔胸腺ではなぜ自己反応性クローン除去機構がはたらかないのか 新潟大学大学院自然科学研究科細胞生物科学大講座 細野 正道先生

多くの自己反応性T細胞は胸腺皮質から髄質へと分化成熟過程で消去されます。しかし、この様なクローン消失機構が働くのは、マウスでは生後3日以降であり、この時期までに胸腺で分化成熟した自己反応性クローンは末梢に流出します。生後3日で胸腺を摘出すると臓器特異的な自己免疫疾患が生じます。このことと新生仔胸腺での自己反応性クローン除去能力の欠損との関連性は興味ある課題です。今回演者の細野先生には、内因性スーパー抗原を用いた結果から、胸腺でのCD5陽性B細胞の個体発生の遅れに原因があるらしいという最新の知見につきご講演いただきます。臨床、基礎分野の先生方、学生諸君の幅広い御参加を歓迎いたします。

 

第69回腎研セミナー ノックアウトマウスを用いたレニン、アンジオテンシン系の解析 東海大学総合医学研究所 松阪泰二先生

腎臓は泌尿器としてだけでなく、循環器系の重要臓器としても機能している。例えば、高血圧の成因に腎臓が深く関与していることはよく知られている。また腎疾患の進展機構そのものにも微小循環系の変移が大きくかかわっている事実も明らかになりつつある。今回のセミナーには、レニン・アンジオテンシン系の研究で世界のトップを行く研究を続けている市川家國教授(バンダービルト大学小児科、東海大学医学部小児科)グループで、中心的なお仕事をしている松阪泰二博士をお迎えした。博士からは、1)アンジオテンシノーゲンノックアウトマウスに認められた腎小血管壁の肥厚および糸球体硬化の形成に、過剰なレニンが関与しているかどうかを検討するために、レニンの変異マウスを作製した、2)マウスは、Ren1とRen2の2つの活性のあるレニン遺伝子をもち、両者は同一染色体上に近接して存在している。Ren1とRen2の両方を変異させたマウスの作製過程とその形質について解析した、最近の研究成果を紹介していただく。

学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

 

第70回腎研セミナー in vivoエレクトロポレーションによるラットの筋肉へのエリスロポエチン遺伝子の導入と持続発現 新潟大学医学部第2内科 丸山弘樹先生

生体への遺伝子導入のためには、多くの問題を克服しなければなりません。プラスミドベクターの局所注入と言う方法を用いた場合、抗体産生がなく、ゲノムに取り込まれず、大量のプラスミドcDNAの精製が容易であるという利点があるものの、遺伝子の導入発現効率が低いという問題点を持っています。それに対して講師の丸山先生は、in vivoエレクトロポレーションという最新の技術を用いて、すばらしい成果を出されています。本セミナーでは、筋肉内へのエリスロポエチン遺伝子導入を例にとりご講演いただきます。 臨床、基礎の先生方、学生諸君の幅広いご参加を歓迎いたします。

腎研セミナー特別講演 The Role of Glomerular Cells in Progressive Kidney Disease Div. Nephrology, Medizinische Klinik II, University of Achen, Germany Prof.Dr. Juergen Floege

講演者のProf. Juergen Floegeは免疫病理学的立場から腎疾患モデルやヒトの腎疾患を長年研究され、数多くの研究を発表されています。この度、招待講演で日本に来られるのを機会に新潟を訪ねて下さることになりました。この機会に先生にご講演をお願い致しましたので、多くの先生方にご来聴いただけれな幸いです。

第71回腎研セミナー 糸球体微小循環の可視化と腎循環−光−電気変換装置の腎循環への応用 川崎医科大学 泌尿器科 山本 徳則 先生

近年、半導体の小型化・性能の向上に伴い、光を電気信号に変換する装置Charged coupled device (CCD),電気を光信号に変換する装置Light Emitted Diode(LED)などの工学機器の発達は目覚ましいものがあり医療分野にも数多く応用されています。演者の山本先生は小型CCDカメラ用いて、in vivoで糸球体を直接観察することに早くから取り組んでこられたお一人です。今回はCCDカメラを用いた糸球体微小循環動態の観察に加え、新しい技術を用いた糸球体ろ過量・心拍出量・循環血液量測定などの非侵襲的同時計測の可能性についてもお話していただきます。臨床、基礎の先生方、学生諸君の幅広いご参加を歓迎いたします。

第72回腎研セミナー 単離糸球体における上皮細胞のアポトーシスと遺伝子発現 東京慈恵会医科大学内科学第2講座 石川 悦久 先生

単離糸球体は、過去数十年にわたり腎臓の生理・病理を研究する目的で幅広く利用されてきました。それにもかかわらず、糸球体の単離及び糸球体の培養自体が糸球体構成細胞に与える影響については、いまだ明らかではありません。演者の石川先生は、単離直後の糸球体に培養早期より劇的なアポトーシスが生じることを見出し、その細胞死の主体が糸球体上皮細胞であることを明らかにされました。今回は、単離糸球体のアポトーシスを中心に、同時に起こるMAP kinaseの活性化を介した遺伝子発現、ヘパリンのアポトーシス抑制効果等についてご講演いただきます。臨床、基礎の先生方、学生諸君の幅広いご参加を歓迎いたします。

第73回腎研セミナー IgA腎症におけるIgA1ヒンジ部糖鎖構造とその発症進展に果たす役割。名古屋大学大幸医療センター内科 比企能之  先生

IgA腎症は、腎糸球体メサンギウム基質にIgA1の優位な沈着をみることを特徴とする糸球体腎炎の最も重要な疾患の一つですが、その病因、進行機序は、明らかにされていません。比企先生らの研究グループは、IgA腎症患者でO結合型糖鎖内のシアル酸、ガラクトースの減少といういわゆる糖鎖不全IgA1が血清中に増加している事を報告され、IgA腎症の成因に、 IgA1分子のO結合型糖鎖が関与することを明らかにされました。 また、比企先生らは、IgA腎症患者血清中よりラット糸球体に沈着性を示すIgA1を分離し、そのヒンジ部糖鎖を解析され、そのIgA1が糖鎖不全の状態である事を示されました(JASN 10: 760,1999)。さらに最近、 IgA腎症患者290症例の腎生検標本内糸球体沈着IgA1のヒンジ部の糖鎖構造をマトリックス支援飛行時間型質量分析計(MALDI-TOFMS )で分析され、やはり糖鎖不全IgA1が増加していることを報告されています (Kidney Int in press)。本セミナーでは、比企先生らのこれまでの研究成果に加え、今後の研究の方向性、治療への応用の可能性などについてもお話しいただく予定です。臨床、基礎の先生方、学生諸君の巾広い参加を歓迎いたします。

第74回腎研セミナー 骨髄移植による糸球体腎炎の治療および糸球体構成細胞の再構成 東京慈恵会医科大学腎高血圧内科 今澤 俊之 先生

演者の今澤先生らのグループは慢性骨髄性白血病を合併したIgA腎症患者に骨髄移植を施行し、移植後に糸球体内IgAの沈着が消失していることを報告されました。今澤先生らはマウスモデルを用い上記臨床症例の検証をされ、IgA腎症の発症機序に骨髄幹細胞が深く関与していることを示す多くの所見を報告されています。IgA腎症モデルマウスに正常マウスの骨髄を移植すると糸球体病変は軽減し、血清のIgAは量的質的に変化することを明らかにされ、骨髄移植後に骨髄由来の細胞により糸球体が再構成される可能性を提示されました。さらに、GFPトランスジェニックマウスの骨髄を放射線照射した正常マウスに移植し腎臓内のGFP陽性細胞(骨髄由来細胞)の検討をされ、一部糸球体構成細胞は骨髄由来であることを示されました。本セミナーでは骨髄あるいは骨髄由来細胞と腎疾患の関わりについて、一連の研究成果、今後の課題などについてご講演いただく予定です。臨床、基礎の先生方、学生諸君の巾広い参加を歓迎いたします。

第75回腎研セミナー Erk5:インターフェロンにより活性化されるもう一つのキナーゼ 新潟大学医学部第2内科 黒田 毅 先生

インターフェロンは最初にクローニングされたサイトカインで、そのシグナルの経路については、STAT1 の燐酸化が重要な役割を担っています。インターフェロンが結合し受容体が2量体になると、受容体の細胞質ドメイン、Jak1、Tyk2のチロシン残基が燐酸化されます。さらにそのキナーゼがSTAT1とSTAT2のチロシン残基を燐酸化し、燐酸化されたSTATは2量体を作り、核内に移動し抗ウイルス作用をはじめとした各種の作用を発現します。STAT1にはもう一つセリンの燐酸化のドメインがあり、燐酸化されたJak1がRaf-1・Erk2の燐酸化を介してSTAT1のセリンを燐酸化することが知られていました。演者の黒田先生は米国クリーブランドクリニック・ラーナー博士のもとで、STAT1のセリンを燐酸化する別のキナーゼを検索しErk5 がSTAT1セリンを燐酸化することを明らかにされました。今回はこれらのお仕事を中心にお話いただきます。臨床、基礎の先生方、学生諸君の幅広いご参加を歓迎いたします。

第76回腎研セミナー 糸球体上皮細胞におけるAnti-adhesinとしての Podocalyxinの役割 〜いかにして糸球体上皮細胞足突起消失は起きるのか〜 新潟大学大学院 内部環境医学講座(第2内科) 竹田徹朗先生

糸球体上皮細胞表面は、陰性に荷電したシアル酸に富んでいます。Podocalyxinは、このシアル酸を担う主要膜タンパク質として同定されました。以前より、Podocalyxinは糸球体上皮細胞の形態維持、特に足突起維持との関係が示唆されていましたが、その機能は依然不明なままでした。演者の竹田先生は、カルフォルニア大学のFarquhar博士のもとに留学、分子生物学的手法とcell aggregation assayを駆使し、Podocalyxinが細胞間接着を阻害することによって、形態維持に関わっていることを示されました。本セミナーでは、これら最新の知見に加え、Yeast 2-hybrid systemを用いたPodocalyxinのadaptor蛋白(NHERF2)の発見にも触れていただき、形態学的変化に関わる分子のダイナミックスについて御講演いただきます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第77回腎研セミナー グレリンの発見〜20年目の成功〜 久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門 児島将康先生

グレリンは、オーファン受容体である成長ホルモン分泌促進因子受容体(growth hormone secretagougue receptor, GHS-R) の内因性リガンドとして、胃から発見された新しいペプチド・ホルモンです。脂肪酸で修飾されたそのユニークな構造は遺伝情報からはわかりません。グレリンは強力な成長ホルモン分泌促進活性を示すほか、脂肪消費減少、節食刺激、心血管保護、胃酸分泌刺激など、多彩な生理作用が明らかにされています。世界の大製薬企業を競争相手にしてグレリンの発見に至った経緯と、グレリンの生理作用について最新の知見を交えてお話し頂く予定です。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第78回腎研セミナー 経静脈的アプローチによる腎臓へのplasmid DNA (naked DNA)の導入 新潟大学医学部付属病院第2内科 丸山弘樹先生

遺伝子治療では、遺伝子を目的の部位に安全に効率良く導入することが非常に重要になります。演者の丸山先生はこの問題について腎疾患分野の第一人者のお一人です。丸山先生の研究グループはラットを用いて、腎静脈から逆行性にplasmidを注入することにより、腎間質細胞にtransgeneを効率良く導入すること、さらに長期安定した発現が認められることを明らかにされました。今回はこれらについてお話いただきます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第79回腎研セミナー 酸化ストレスによるアポトーシス:細胞内情報伝達系の解析 東京慈恵会医科大学臨床医学研究所 北村 正敬先生

北村正敬先生は分子腎臓病研究の我が国の代表的研究者のお一人で多くの優れた研究成果を発表されています。今回は、過酸化水素によって引き起されるメサンギウム細胞のアポトーシスに注目し、それに関わる細胞内情報伝達系に関しこれまでの知見をお話頂きます。また、先生の研究グループでは酸化ストレスによって引き起されるアポトーシスをレチノイン酸が抑制することを見い出されていますが、その制御機序の詳細についても先生の仮説を中心にお話頂きます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第80回腎研セミナー 腎臓が骨・カルシウム代謝に果たす役割ー腎不全病態から考える 新潟大学大学院 内部環境医学講座(第2内科)風間 順一郎 先生

腎臓は、脊椎動物が海水中から淡水中、そして陸上へと棲息環境を変化させていっ た過程において、骨、副甲状腺、肺、皮膚などとともに急にその機能を進化させた臓 器です。これらの臓器は生体の内部環境を維持するという目的を共有し、しばしば共 同して生理活動を営んでいます。このことは、逆にこれらの臓器の一つが機能不全に 陥ると、その他の臓器の生理機能にも大きな破綻が生じることを意味します。  演者の風間先生は透析専門医として末期腎不全患者の臨床で指導的な役割を果たさ れています。風間先生は、多忙な臨床の傍ら、骨病理学・骨細胞生物学の基礎研究の 分野でも多くの優れた研究成果を発表されています。本セミナーでは、生体における 骨・カルシウム代謝の概略、腎不全における代謝性骨障害の病態成立過程やその治療 戦略について、風間先生らが提唱されているosteoprotegerinや7-84 PTHの影響など について御講演いただきます。また、腎臓が健常者の骨・カルシウム代謝に果たして いる生理的な役割について、改めて問い直していただき先生の仮説についてお話しい ただく予定です。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第81回腎研セミナー メサンギウム細胞高発現遺伝子メグシンのポストゲノム研究 東海大学総合医学研究所 稲城 玲子 先生

急増する腎不全透析患者数や透析医療費を減少させるため、腎炎に対するゲノム創薬へのチャレンジが始められております。その過程で演者の稲城先生はメサンギウム細胞高発現新規遺伝子‘メグシン’を単離同定され、腎炎における病態生理学的意義を明らかにされつつあります。一連のメグシンポストゲノム研究を通して、メグシンの腎炎発症責任遺伝子としての役割、さらにはゲノム創薬の標的分子としての可能性についてお話しいただく予定です。  学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第82回腎研セミナー 腎臓を研究してきた人々 順天堂大学医学部解剖学教室教授 坂井 建雄 先生

腎臓は、働きの上からいえば、消化器・呼吸器と並んで三大内臓の一翼、構造から いえば、中枢神経と双璧ともいえる精密機械である。糸球体とそれに出入りする血管 系、尿細管のさまざまなセグメント、それらが秩序正しく配置されて、腎臓は初めて まっとうに機能する。腎臓が尿をつくる場所だと証明した古代ローマのガレノスから 始まって、糸球体を発見した17世紀のマルピギー、糸球体の構造を明らかにした19世 紀のボウマン、糸球体足細胞とメサンギウム細胞の姿を示した20世紀のツィマーマ ン、腎臓の構造と機能についての知見を生み出してきた先人たちの営みを眺めてみたい。

第83回腎研セミナー 膜輸送体異常症ークロライドチャネルを中心にー 東京医科歯科大学大学院体内環境調節学(腎臓内科)教授 佐々木 成 先生

演者の佐々木教授は水チャネル・クロライドチャネルの発見など多くの業績をあげられています。この分野の国際的な第一人者で国際腎臓学会誌の副編集長もされておられます。今回はクロライドチャネル異常によって起こる膜輸送体異常症、CLC-K1と尿濃縮、CLC-K2とBartter病、CLC3とNCL、CLC5とDent病についてお話いただきます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第84回腎研セミナー Sodium and water transport and urine concentration in avian kidney 鳥類の腎臓におけるナトリウム・水輸送と尿の濃縮 米国テネシー大学生理学教室教授 西村 宏子 先生

生命維持には、水・電解質を一定に保つことが必要であり、尿の濃縮はそのための重要な機構です。尿濃縮は、進化の過程で獲得してきも のであり、鳥類・哺乳類にしかありません。この獲得により鳥類・哺乳類は、その生活圏を飛躍的にひろげることができました。講師の西村先生は、腎臓の比較生理学の第一人者として、数多くの報告をされてきました。今回は、は虫類の性質を色濃く残している鳥類の腎臓でのナトリウム・水の輸送と尿濃縮機構について御講演頂きます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第85回腎研セミナー 新生血管の立体微細形態 新潟大学大学院医歯学総合研究科・細胞機能講座・顕微解剖学分野 橋都 浩哉 先生

生体内の血管新生現象は,腫瘍の発育等にかかわる因子として臨床的にも注目されています。演者の橋都先生はこれまで血管新生現象が生体内においてどのような機序で起こるのか、またこれらの血管の微細形態が透過性亢進など機能的特徴とどのように関係するかを解析してこられました。今回は,特に血管が新生する部位における内皮細胞と周皮細胞の立体微細形態を中心に御講演いただき、形態学的に見た血管新生のメカニズムや新生血管の機能についてもお話いただきます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第86回腎研セミナー 糸球体腎炎におけるマクロファージの役割-Macrophage Transfer Modelを用いた検討-  新潟大学大学院医歯学総合研究科・小児科学分野 池住 洋平 先生

演者の池住洋平先生は、大学院生時代に糸球体腎炎発症における浸潤細胞の役割についての研究を始められ、糸球体腎炎発症におけるTリンパ球の役割についての研究ですでに多くの成果を挙げられていましたが、平成13年4月から、腎炎における浸潤細胞の役割についての研究で世界をリードしてきたオーストラリア、モナッシュ大学腎臓部門の Atkins 教授の研究室に留学され研究を続けられてきました。池住先生は、Atkins 教授の研究室で糸球体腎炎発症におけるマクロファージの役割についての研究に取り組まれ多くの成果を挙げこの3月に帰国されました。  マクロファージの腎障害における役割は、様々な方法によって検討されてきました。特にX線照射や抗マクロファージ血清のモデル動物への投与などによる枯渇実験の検討からマクロファージが糸球体腎炎の発症、進展で重要な役割を果たすことが報告されてきました。しかしながらこうした枯渇法はマクロファージに完全に特異的とはいえず、これまで直接的なマクロファージによる腎障害を証明した研究は、ありませんでした。池住先生は、白血球の枯渇系にマクロファージを移注する(Macrophage transfer)方法を用いてマクロファージが直接的に腎糸球体障害を起こしうることを明らかにしました。さらに腎炎という複雑な炎症の場で起こりうるマクロファージの活性化あるいは機能抑制が腎炎の発症、進展において重要な因子であることも同モデルを用いて証明しました。  本講演では、これらの研究成果について、同モデルの将来的な有用性などを兼て紹介頂く予定です。 学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第87回腎研セミナー 糸球体上皮細胞スリット膜の分子機能 -Biology of glomerular epithelial cell slit diaphragm- 講師:ヘルシンキ大学医学部免疫学部門教授 Harry Holthofer 先生

演者のHolthofer教授は、糸球体上皮細胞スリット膜の構造、機能についての研究を続けられており、この分野の研究で世界をリードされています。最近、多くの病態において糸球体上皮細胞足突起間のスリット膜の機能低下が、"蛋白尿"の発症原因であることがわかってきました。Holthofer教授は、スリット膜機能低下と蛋白尿発症との関わりについての研究で多くの成果を挙げられています。最近も、filtrin、densinなどスリット膜構成分子を新たに同定するなど、重要な報告をされています。Holthofer教授は、この度、来日されるにあたり、新潟を訪ねてくださることになりました。この機会に御講演をお願い致しましたので、多くの先生方に御来聴いただければ幸です。また、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第88回腎研セミナー 腎臓の組織外・組織内幹細胞とその制御 大阪大学大学院医学系研究科・病態情報内科学 伊藤 孝仁先生

再生医療の基盤となる細胞は幹細胞です。幹細胞は胚性幹細胞(ES細胞)あるいは骨髄に存在するMAPCs(multipotent adult progenitor cells)などの組織外幹細胞と組織特異的な幹細胞(組織内幹細胞)に分けられます。現在は組織外幹細胞による治療法確立に向けた研究が続けられる一方組織内幹細胞を利用した治療法の研究も行われております。組織構築が複雑な腎臓を修復するためにはその両者を組み合わせた方法が必須であると考えられます。演者の伊藤先生は国内における腎再生医療研究の第一人者のお一人です。今回は組織外幹細胞移植と組織内幹細胞刺激を組み合わせたアプローチを用いた腎再生医療研究について先生方の研究を中心にお話しいただきます。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第89回腎研セミナー Gas6, ワーファリンと腎疾患 科学技術振興事業団創造科学技術推進事業 柳沢オーファン受容体プロジェクト 研究員 柳田 素子先生

メサンギウム細胞増殖/肥大の過程には種々の増殖因子が関与すると考えられていますが、その中和抗体や阻害剤で臨床応用に至っているものはほとんどないのが現状です。一方、ワーファリンは古くから腎炎治療に使用されてきましたがその作用機序は必ずしも明らかではありません。演者の柳田先生はGas6というVitamin K依存性蛋白がメサンギウム細胞増殖/肥大因子であり、ワーファリンがその活性化の過程を阻害することで増殖/肥大抑制薬として働くことを発見されました。本講演では腎疾患の発症進展におけるGas6の役割と、その制御剤を用いた治療への応用について最近の知見を交えてご講演いただく予定です。学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。

第90回腎研セミナー 電子顕微鏡でみる血管と間質の構造と機能 順天堂大学医学部解剖学第1講座 教授 坂井 健雄先生

演者の坂井建雄教授は我が国を代表する腎形態学研究者のお一人です。今回は電子顕微鏡像を基にした血管と間質の構造と機能についてお話いただきます。
よい電子顕微鏡像とは、機能状態をよく反映した像です。血管と間質に関しては、血管内に適切な圧を加えて灌流固定をすることにより、血管が内圧により拡張し、間質が適度に開いた、自然な状態の像が得られます。よい電子顕微鏡像をもとに、各種臓器の血管・間質を観察すると、血管と間質の多様性について、新たな発見が見えてきます。弾性動脈と筋性動脈の構造、上皮とコラーゲン線維の関係についての知見を紹介していただきます。
学内外で興味のある先生方、大学院生、学生の積極的な参加を期待しております。