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研究

  腎臓は、体液の量や組成を一定に保ち(内部環境の恒常性の維持)、代謝産物として生じる不要な老廃物を除去する臓器である。   その機能が低下、または喪失した状態、腎不全では、生命活動の根源が脅かされることになる。

  腎臓の機能が不可逆的に失われた状態である末期慢性腎不全に進行するさまざまな腎疾患がどのような原因で起こるのか、どのような機序で進行するのかなどはほとんど不明である。   それらを明らかにし、有効な治療法や予防法の開発に結びつけることが腎研究施設の研究の中心テーマである。   末期慢性腎不全に至る疾患は多数あるが、現在最も頻度が高い疾患は糖尿病に伴う糸球体障害、糖尿病性腎症と慢性糸球体腎炎である。   これらの疾患は腎糸球体に主たる病変があり、進行して末期慢性腎不全に至るので、腎研究施設ではこれまで、特に、糸球体の障害機序の解明を目指してきた。

  腎研究施設では動物を用いた基礎研究にいち早く着手し、糸球体腎炎モデルの開発、解析や糸球体細胞培養技術の確立等を行なってきた。   糸球体障害機序を細胞、分子レベルで解析するため、ラット血清病型糸球体腎炎(BSA腎炎)、in situ 型腎炎、抗糸球体基底膜型腎炎(馬杉腎炎)、抗Thy-1腎炎、抗ネフリン抗体腎症等、腎炎モデルが腎研究施設で開発され、糸球体への免疫複合体形成機序、細胞性免疫を中心とした糸球体障害機序、メサンギウム細胞増殖の機序、糸球体のタンパク質透過性を規定する分子(ネフリン)の同定等、世界的に評価の高い業績が数多くあげられた。   また、糸球体細胞のうち、メサンギウム細胞、内皮細胞、上皮細胞(ポドサイト)の培養にも成功し、それらの細胞の解析も高い評価が得られている。

  現在、腎研究施設の構造病理学分野、分子病態学分野、機能制御学分野はそれぞれ「構造」、「分子」、「機能」を中心的キーワードとして連携しながら、各分野の特色を生かし、内科学第二(腎臓内科学)、小児科学(小児腎臓病学)、泌尿器科学(腎移植学)講座、機能分子医学寄附講座などの腎臓関連講座と共同して、ヒト腎臓病の病因と進行機序を解明する基礎、臨床研究を進めている。   このような腎臓疾患に関する基礎研究施設と腎臓関連臨床科が充実している大学は世界にも類を見ない。


三分野の共同体制

    腎研究施設の三分野、構造病理学分野、分子病態学分野、機能制御学分野はそれぞれ、構造、分子、機能をキーワードとして、腎臓とその病気の理解に努めてきた。現在の各分野の研究状況は次の図のように表すことができる。


2015 新潟大学医歯学総合研究科付属腎研究施設