医局検討会    1999/7/1    

重症妊娠中毒症にて血圧管理に苦慮した症例

産科B group:平杉嘉一郎,横尾朋和,渋谷伸一,山本泰明,倉林 工

 

妊娠分娩歴:O−O−1−O

家族歴:特記すべきことなし

既往歴:鼻出血にて当院耳鼻科受診の既往あり。

入院までの経過:

ICSIにて妊娠成立(双胎妊娠)。

Shirodkar’s ope.施行。

15wldよりウテメリン(3T/day)内服開始。29w3dよりut.cont.頻回、edema(2+)、BP170/110mmHgであり入院管理とし,ウテメリン100μg/min div.にてtoco1ysis、アプレゾリン90mg/day内服開始しコントロールされていた。尿蛋白(O.572g/day)、(O.747/day)、(2.47g/day)と急激に増加し、また32wOdよりBP170/100〜150/100mmHgとコントロール不良となり同日当科へ母体搬送となる。

入院時所見:

身長165cm,体重61.0kg(非妊時56kg),血圧170/100mmHg,心拍80/分

検血(WBC7740/μl,RBC364/μ1,Hb10.8g/d1,Ht32.7%,P1t22.O/μ1)

凝固系(FDP32μg/m1,Fbg652mg/d1,AT皿73%,出血時間2分30秒)

CRP<0.1mg/d1

maternal condition

・Toxemia(ePH):BP170/100〜150/100mmHg、尿蛋白2.47g/day,edema(十)

・Preterm1abor:CTG上ut.cont3〜4min.inteva1 BishoP score 6Pts CL13mm,

ROM check(一),1euko−stick(2+),e1astase5.6,PTD check(十)

fetal condition

第I児、第・児ともに頭位、推定体重は各々1740g,1365gでありBPSは各々10点、8〜10点であった。doppler上両児とも異常なし。NST上両児ともreactive Patternであった。

入院後経過:

入院後よりウテメリン150μg/min、マグネゾール1g/hrにてtoco1ysis開始。またアプレゾリン持続点滴静注(60mg/day)開始。Pm6:OO頃、鼻出血あり耳鼻科当直医に診察して頂き、kiesselbach部位よりの出血であり、今後血圧のコントロールに注意することにした。

pm10:45、再度鼻出血あり一部凝血塊が口腔より排出し、口腔内吸引施行。このときBP170/108mmHgでありアプレゾリン90mg/dayへdose upし、また自動血圧計にて30分毎に計測することとした。

6/8 am2:00 BP95/50mmHgまで一時下降し、アプレゾリン75mg/dayとdose downとした。 am3:OO診察時、鼻出血(一)であり、dopp1er上FHR両児とも140bpm程度であり、am5:00より再度NSTにて確認の方針とした。

am5:00より第I児のmonitoring施行し、reactive patternであったがam5:30より第・児のmonitoring開始したところ,FHR base1ine 118〜12Obpm,LTV(一)、時々100bpmまでのdece1eration出現。ただちに母体に酸素マスク51開始。echo上、第・児のMCA−RI/UA一RI O.686/0.483とbrain spring effect(一)。また明らかなretroplacental hematoma等の所見なし。CTG上feta1 distressの診断にて緊急帝王切開の方針とし,検血(Ht11.6g/d1,P1t23.9/μ1)、凝固系検査(AT皿84%,Fbg599mg/d1,FDP32μg/m1)、クロスマッチ施行。出血時間6分以上と延長が認められ全麻下で帝王切開施行。am7:24第I児出生、女児、1790g(十0.32SD)、apgar6/8,am7:25第・児出生、男児、1286g(一1.86SD)、apgar2/6であり早産児,低出生体重児,新生児仮死との診断にて両児とも分娩後NICU管理入院となった。第I児、第・児ともにcord coi1ingなし。臍帯はどちらも辺縁付着であり第I児のcordには偽結節を認めた。胎盤には後血腫なく重量は第I児で450g、第・児で340gであり、また第・児側には梗塞巣を認めた。

 術後、アダラートL(40mg/day)にて血圧管理施行し、蛋白尿はday3でO.38g/day,pretibia1edemaも改善し,day10に退院となった。

 

検討事項

 高血圧妊婦の血圧管理(緊急時)

・緊急時の血圧調節には,まずmagnesium su1fate(0.5〜1.Og/h)を開始し,コントロール不良であればhydralazineを併用開始する。

・血圧が安定化するまで血圧を定期的に測定し,140/90mmHg程度を維持する。

・血圧が安定化するまでNST full monitoringにて管理する。特にIURG児には注意が必要である。

 

今回の検討による考察

●重症妊娠中毒症患者で降圧剤投与にも関わらず血圧の急激な上昇を伴うものでは血圧調節にはhydralazine(アプレゾリン)の静注(持続、分割)にて血圧コントロールが必要だが、その際には30分毎の血圧監視し諸々の文献にあるとおり140/90mmHgから150/100mmHg程度の安全域にて管理が必要。同時にCTG full monitoring施行も重要。特に夜間の血圧上昇顕著な場合には厳密な管理が重要。

もどる