産婦人科検討会          平成11年9月9日

  円錐切除後出血症例についての検討

小島由美、福井直樹、富田雅俊、相田 浩、倉田 仁

症例: ○○

家族歴: 特記事項なし

既往歴: 急性扁桃炎

妊娠歴: 1妊0産

現病歴:4月下旬より、腹痛、上腹部不快感、微熱出現。このため、

 精査目的に病院受診。各種検査施行するも異常所見を認めず。

 採取した、EC smearにてclass ・a、組織診ではsevere

 dysplasiaの診断であり、当科での加療希望され受診。不明熱、腹

 痛は継続しており同時に検査施行。クスコ診にて腟部erosionを認めたが、内

 診上は異常所見なし。また、施行したコルポスコピーの所見では

mosaicを認め、同部位よりのpunch biopsyはsevere dysplasiaであり、

 治療的conization目的に入院。

入院時所見: 内診;子宮は正常大。付属器を触知せず

超音波;異常所見なし

コルポスコピー;12。にwhite minor、上限確認

入院後経過: 腰椎麻酔下にconization施行。術中3。、9。方向で

 左右の子宮動脈の下行枝を結紮。KTPレーザーにてSCJより7mm外側を切

 除(深度は5mm程度)。その後断端外周を十分に蒸散。退院時、

 創部よりの出血なきことを確認。病理診断では12。方向にsevere dysplasia。

 surgical margin negative。

退院後経過: D8 外来受診時、クスコ診にて出血認めず

D12,3日前より出血にて受診。創部より全周性にoozing(+)

フランセチンパウダー塗布+タンポン圧迫

(D13) 出血増量。6。〜9。方向にoozing認めるがactive bleeding(-) トロンビン末塗布+タンポン圧迫

(D14) 再度出血にて受診。oozing(+)。

トロンビン末+タンポン+アビテンシート使用し止血

(D15) 7。〜10。方向のoozing部位を硝酸銀にて焼灼

15時頃出血多量と受診。6。〜9。方向にかけてのoozing(+)

7。方向より拍動性の出血(+)。このため同部位を吸収糸にて縫 合。11。方向も同様に縫合し、止血確認

(D21) 出血を認めず

 

[検討事項]

円錐切除後出血症例に対しどのように対処すべきか。止血法として何が適切であったか。

 

[参考]

表1   レーザー療法の副作用

術中 N=323 

誤照射/小火傷

14(4.3)

出血

 圧迫 

1

レーザー

18

高周波凝固術

9 (23.2)

縫合

47

術後 N=280

 

出血

圧迫

8

レーザー

1 (5.7)

縫合

7

頚管狭窄

18 (6.4)

頚管閉鎖

1 (0.4)

[文献]

1.産婦人科の実際  47.:12.;1961〜1960.1998(北里大学産婦人科、脇田邦夫ら)

 表1に示したように術中出血は縫合による止血がもっとも多く、また術後出血の時期に関しては、術後1週間頃よりの剥離出血のため処置が必要であったと述べている。

 

2.産婦人科の実際 46;11,1627-32,1997(広島大学産婦人科、永井宣隆)

 レーザー法後の出血は術後1〜2日目と5〜7日目にピークがあり縫合処置を必要とするような症例は術後当日から2日目までの出血であったと報告。

 

3.Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavia 1998;77(5)558-63 Hagen B et al.

 1081症例のうち86症例が何らかの副作用を訴えた。出血がもっとも見られ、術後1〜2週間に多く出現した。ついで頚管狭窄が多く、いずれも円錐切除の深度と相関が認められた。

 

4.American Journal of Obstetrics&Gynecology 1985;151(1) 23-7 Baggish MS,Dorsey JH

 61症例のうち4症例で出血が認められたがそのうち2症例にのみ縫合を必要とした。

[止血法の検討]

1. 術後1〜2週間での出血の頻度が高いが、出血部位にたいしトロンビン末などを使用する場合は止血が十分であるかを時間をおいて確認。また、アビテンシート等の使用も考慮。

2. 出血をくり返すような症例では、外来での縫合や電気メス等での凝固などを積極的に施行。いずれの際にも、病棟長等に報告、治療方針を確認。

 

 

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