当院は平成22年4月に、総合周産期母子医療センターを開設しました。今まで周産母子センターのあった西病棟5階の一部を改修し、新生児集中治療室(NICU)9床、新生児後方病室(GCU)12床、および母体・胎児集中治療管理室(MFICU)6床を整備しました。その他、一般病床が13床あります。MFICUは産科医が担当しています。NICUは小児科の新生児を専門領域とする医師が中心となって担当していますが、産科医も所属し診療にあたっています。このため、産科とNICUの緊密な連携のもと、周産期の診療が行われています。
分娩数、帝王切開率、多胎率の推移について
当院における分娩数の推移を以下にお示しします。一時分娩数が年間400を越え、ハイリスク妊娠症例への対応に支障を来す恐れが出てきたため、2009年よりリスクの低い妊婦さんに限って分娩制限を行うようにしました。しかしながら、総合周産期母子医療センターが開設され、MFICUの整備ならびにNICU病床数の拡充に伴い、分娩制限を緩和しました。
分娩数の推移

当院の特色としては、ハイリスク妊娠症例を多く管理しています。それに伴い、帝王切開率が多いのが特徴です。この5年間における帝王切開率は全分娩数の3分の1程度です。
帝王切開率の推移

近年生殖医療が発達し、多胎妊娠が多くなっており、当院においても多くの多胎妊娠について管理させていただいております。なお、日本産科婦人科学会において2008年4月に、体外受精における胚移植数が原則1個とされてからは、多胎妊娠率は減少傾向にあります。
胎児率の推移

早産、低出生体重児について
分娩に関しては、正期産の他に、早産(妊娠22週以後36週までの分娩)を多く管理しています(319例中56例(17.5%))。また、多くの多胎妊娠を管理しています(15例)。(いずれも平成21年実績)
妊娠週数別出産数

また、NICUが充実しているため、未熟性を持ったお子様の分娩も多く取り扱っています。出生したお子様のうち、体重が2500g未満のお子様(低出生体重児)は334例中88例(26.3%)です。(平成21年実績)
体重別出生新生児数

胎児奇形(新生児異常)について
妊娠中にお子様に異常が認められた方の分娩も多数取り扱い、また出生したお子様はNICUで管理されています。先天異常で多いものは、心臓異常(13例)、中枢神経系異常(9例)、消化管異常(4例)、呼吸器異常(3例)、染色体異常(3例)、横隔膜ヘルニア(2例)などです。(平成21年実績)
主な新生児の異常

次に、産科における特殊外来についてご案内します。
新潟大学医歯学総合病院産科婦人科では、平成20年10月から「産科ルピナス外来」を設けています。この外来は、年齢が40才を越える妊婦様を対象としています。
一般に妊婦様の年齢が高くなっていきますと、妊娠経過に異常が起こることや分娩経過中に異常が起こる可能性が若干高くなると言われています。また、年齢が高いことについてご不安をお持ちの方も多いようです。
そこで、このような妊婦様に、年齢が高くなることに伴う医学的な情報を提供することを目的として開設している外来です。
(「ルピナス」とはマメ科の植物で、愛らしい花をつけます。その花言葉には「あなたは私の安らぎ」「いつも幸せ」「母性愛」などで、これから妊娠期間を過ごし、出産を迎える妊婦様のお気持ちを考え名付けました。)
平成20年10月から平成23年2月までに63名の妊婦様が当外来を受診されています。時期別の受診患者様の人数は図1のとおりです。また、年齢別の患者様の人数は図2に示したとおりで40才以降46才までの妊婦様が受診されています。時期別の患者様の平均年齢は図3のとおりです。
図1 時期別受診患者様数

図2 年齢別患者様数

図3 時期別受診患者様平均年齢

受診をご希望される方は、妊娠10週頃までに産科婦人科の「新患外来」(月曜、火曜、木曜、金曜)を受診していただければ、「産科ルピナス外来」の予約をさせていただきます。
「産科ルピナス外来」は金曜日の午前中で、完全予約制となります。初回受診で、担当医から妊娠中のいろいろな問題点などについて説明させていただきます。その後の妊婦健診は、産科の主治医グループにより行わせていただきます。また、経験豊かな助産師が、妊婦様の心身両面にわたるご相談に対応いたします。なお、分娩はお近くの産科施設で行う場合であっても、「産科ルピナス外来」の受診は可能です。
当科では、「遺伝子診療部門」と連携して、産科遺伝カウンセリング外来を行っています。 この外来はいろいろな遺伝的相談にお応えするための専門外来で、火曜日の午後に完全予約制で行っております。 専門の医師・薬剤師・遺伝カウンセラー・看護スタッフが対応いたします。
新潟大学医歯学総合病院産婦人科遺伝カウンセリング外来における診療の流れは次のようになりますが、最初に当科新患外来(月曜, 火曜, 木曜, 金曜日)を受診していただき、相談内容を確認し、火曜日午後の遺伝外来の予約を行います(説明準備の都合により火曜日に受診いただいた場合、同日午後の予約は取れません)。
産科遺伝カウンセリング外来受診患者数 2007年~2010年

診療の流れ
1.当科新患を受診
相談内容を確認させていただいた後に遺伝外来受受診日の予約をさせて頂きます。
2.遺伝外来受診
- 薬剤情報
- 当院薬剤部担当先生より説明
- 遺伝外来担当医から追加説明
特に妊娠中の薬剤服用について心配される患者様が多くいらっしゃいますが、担当の薬剤師が事前にその薬剤についての情報を準備し、医師とともにご説明いたします。
薬剤情報提供での対象疾患内訳 2010年1月~2010年12月

- 薬剤情報以外の相談
- 遺伝外来担当医(産婦人科医)から説明
当科、遺伝カウンセリング外来では、主として妊娠に関連した遺伝的な相談に時間をかけて対応いたしております。 主な遺伝相談の内容は以下のとおりです(平成22年度実績:受診者112名)。
産科遺伝カウンセリング外来での受診目的別内訳 2010年1月~2010年12月

先天性心疾患
100人の赤ちゃんが生まれると1人は先天性心臓病を持っています。時には心臓病が極めて重症で、生まれた直後から集中治療を必要とする赤ちゃんもいます。普通の妊婦健診では心臓病の発見が困難で、出生後に呼吸困難や心雑音などの症状が出現してはじめて心臓病を疑われるのが普通でした。
胎児心エコーの目的及び限界
近年医療の進歩により心臓病を胎児期から検査することが可能になってきました。そのため妊婦健診(産科超音波検査)で心臓病の可能性があると判断された場合には詳しい超音波検査を受けることをお勧めします。生まれる前から心臓病のことが分かっていれば、胎児のために最もよい方法(分娩施設、分娩方法、出生後の治療)をあらかじ御相談することができます。超音波検査ですので妊婦さんにも胎児にも危険や苦痛はありません。ただし母体を通して行う検査であり、出生後に行う検査に比べてわかりにくいこともあります。また妊娠中(胎児期)には診断の難しい心臓病もありますので、100%正しく診断できるわけではありません。
胎児正常心臓(4腔断面)の超音波画像

胎児心エコーの流れ
通常の妊婦健診中や胎児スクリーニングエコー中で、おなかの中の赤ちゃんに心臓病が疑われた方が対象となります。
当院産婦人科医師による胎児全体の観察を行い、その後、産婦人科医師および小児循環器医師により胎児心臓の観察を超音波検査により行います。検査にかかる時間はおおよそ1時間程度。ただし胎児の状況によりその時間は異なります。その後、産婦人科医師および小児循環器医師より検査結果の説明や今後の方針についての説明となります。
2008年4月に胎児心エコー外来を開設以来、2011年2月現在までに45人の患者様が受診されております。
胎児心エコーにかかる費用について
「胎児心エコー法」の費用は、以前は保険診療ではなく、「先進医療」となっていました。しかし、2010年4月より正式な専門医医療行為として厚生労働省に認定され、保険診療が認められるようになりました。これにより、この検査にかかる費用については、健康保険の自己負担分のみとなります。
注:胎児心エコー外来受診時は、かかりつけの産婦人科医師からご連絡、紹介状が必要となります。





