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海外留学

留学のすすめ

高木 繁

 平成28年4月より米国ミシガン大学整形外科へ留学させて頂いております。ミシガン大学は五大湖のミシガン湖とヒューロン湖、エリー湖に囲まれたミシガン州のアナーバー市にあります。最寄りの国際空港はデトロイト国際空港(車で40分)であり、日本から直行便も出ております。デトロイトと言えば全米でも有数の犯罪都市(デトロイトの街のビルは廃墟だらけでとても不気味です)ですが、アナーバーは研究学園都市で、大学の周囲はほとんど大学関係者が生活しており、周囲の町と比べて少し物価は高いですが、その分非常に治安は良好です。大学以外に目立った観光施設などはありませんが、自然や動物で溢れており(大学構内に“鹿に注意”の標識があり、実際に鹿を見かけます)、気持ちの良い街です。きれいに整備された広大な芝生の中にアスレチックを備えた公園がいくつも点在し、子供を遊ばせるには事欠きません。本大学の研究室への留学は私で5代目ですので、生活に必要なものは勿論のこと、余暇を過ごす日よけのパラソル、BBQセット、クリスマスツリーまで何でも揃っております。まだ物置の奥で眠っている物も多くあります。
 私は現在、ミシガン大学 Adult Lower Extremity Joint Reconstruction Groupに所属しております。名前の通り、成人の人工股関節、膝関節を専門としたgroupであり、関節鏡、外傷などは他のgroupに細分化されております。私の所属groupの教授でおられるBlaha先生にご指導を仰ぎ、米国の人工関節にどっぷり浸かっております。
 私が所属する研究室は臨床研究室ですので、研究だけでは無く、臨床にも携わることができ、日本と米国との臨床の違いが肌で感じられます。例えばミシガン大学の外来は非常にゆったりとしており、予約枠は1時間当たり4人までとなっております。患者さんが医師に会えるまでの道のりは長く、assistantなど何人もの診察を終え、やっと医師の登場となります。カルテは全て電子化されており、カルテ記載は全てassistantが行います。医師は最後にサインするだけです。手術に関しては、日本では少ない外側変形性膝関節症に対する人工関節や再置換術など米国特有の症例が多く経験できます。さらに米国では術野にResidentが助手に入るのは勿論ですが、physician assistant(PA)と呼ばれる方が大活躍します。PAとはPA修士号を経た者が、医師の助手として、医師と協力して患者のケアにあたる方で、MDと同様に専門が分かれており、各々の科にPAが存在します。整形外科では手術にも入りますし、joint injectionも行います。他の科では内視鏡、気管挿管なども行うそうです。日本にも普及してほしいものです。
 他にも整形外科全体の勉強会、検討会にも出席させて頂いております。あるテーマに対する文献のreviewは非常に勉強になりますし、検討会では日本では見れないようなX線が登場したりします。(銃弾が写ってることも‥)
 研究に関しては、「Revision total knee arthroplasty for anteroposterior instability」というテーマを頂き、日々データと向き合っております。米国ではTKA後に前後不安定性を訴える症例が多く存在し、再置換にまで至った症例に対して、多岐にわたるparameterで評価しております。
 留学は時間的余裕が少しありますので、こちらのフットサルチームに所属し、週に1回汗を流しております。私の所属チームは日本人半分、米国人半分のチームです。主に他チームと試合することが多いですが、アラブ人チームや南米チームなど人種のるつぼを体感できます。言葉の壁もスポーツにおいてなら関係無いなんて思っていましたが、日本のサッカー用語は全く通じません。やっぱり言葉は大事ですね。(例えば、ディフェンス時に一発で行くなとか、ゴロでパス出せとか英語でわかりますか?)意外とサッカー人口も多いんだなと実感しましたが、やはり米国は断然Footballです。Michigan大学は10万人以上収容するスタジアム(通称”The Big House”)を所有しており、9月からのFootball seasonの土曜日は毎週大盛り上がりです。驚いたのは、サッカーの親善試合でReal Madrid vs Chelseaの試合がThe Big Houseであったのですが、その試合よりMichigan大学のFootballの試合の方が観客動員数で上でした。(毎回ほぼ満員です)
 留学はその国で生活するわけですので米国らしい行事も多く経験できます。Halloweenも盛大で、街はオレンジ一色となります。スーパーに行けば巨大かぼちゃがゴロゴロしてますし、実際にpickingすることも可能です。私も初めて巨大かぼちゃを掘り、ジャック・オー・ランタンを作成しました。住んでいるアパート内でもpartyがありますし、子供はtrick or treatでお菓子貰いたい放題です。
 他にも米国旅行記など紙面では書ききれない事が多く経験できます。留学は、その大学の先生方と共に仕事ができるほか、他分野の留学生、研究者、企業の駐在の方々と話す機会も多いです。非常に能力、志の高い方が多く、話すだけで刺激になります。このような方々とのつながりが出来たのも私としては大きな財産です。さらに留学は、私だけで無く家族も日々成長させてくれます。後輩の先生方、これから入局を考えてくれている先生方にも是非経験して欲しいですし、留学の道が少しでも多くの先生に開くようできる限り協力していきたいと思います。

Michigan大キャンパス全貌 キャンパス内
Michigan大キャンパス全貌 キャンパス内

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