新潟大学医学部小児科学教室 Niigata University School of Medicine Department of Pediatrics

IDEAを持ち続ける小児科医

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感染症グループ - 診療・研究班

感染症グループ

新潟大学小児科における感染症グループの主な研究テーマは以下の通りです。

1. 小児重症感染症におけるウイルスの迅速診断

小児の重症感染症(敗血症、髄膜炎、呼吸器感染症など)の多くは、細菌感染症ですが、新生児、免疫不全患者では、ウイルスによる重症感染症が知られています。これらの感染症に対して、real-time PCRを用い、約20種類以上のウイルスに対する迅速診断を行っています。検体は、県内外の医療機関から送付され、通常、検体受付後48時間以内に検体結果を返却、実際の臨床の現場にその結果を還元しています。また、新しいウイルスに対するreal-time PCRを用いたアッセイの開発も行っています。

2. 新生児、早期乳児におけるパレコウイルス3型感染症の病態解明

ヒトパレコウイルス3型は、新生児に敗血症様症状をきたすことが知られていますが、そのメカニズムは解明されていません。母親からの移行抗体の影響などを調査し、そのメカニズムを解明しています。(新潟大学医学部保健学科 渡邉香奈子先生との共同研究)

3. 免疫抑制患者おける生ワクチンの効果と安全性の検証

免疫抑制患者における生ワクチンの接種は、その接種の基準が決められていません。最も効果があり、そして安全な接種を行うための研究を行っています。(国立成育医療研究センター 笠原群生先生、宮入烈先生、国立感染症研究所 竹田誠先生との共同研究)

4. ミトコンドリアと感染症

ミトコンドリアは、細胞のエネルギーの産生部位ですが、この器官の重要性が感染症領域でも分かってきました。特に、HIV感染者が継続的に服用する抗HIV薬のミトコンドリアへの影響です。母子感染予防に使用されている抗HIV薬が生まれてきた子どものミトコンドリアへどの様な影響を与えているのかを調べています。(新潟大学医学部バイオシグナリング分野 神吉先生との共同研究)

5. 新しい抗微生物薬としてのアンチセンス療法開発

アンチセンス療法は人工的に合成したペプチド核酸(PNA)などを用いた遺伝子工学的アプローチです。PNAはDNAと似た構造を持ち、相補的配列を持つDNA/mRNAに結合することで抗微生物薬として働きます。現在、肺炎球菌、インフルエンザ菌、パレコウイルスに対するPNAの開発に取り組んでいます。

6. モラキセラ・カタラーリスに対するワクチン候補抗原の解析

モラキセラ・カタラーリスは肺炎球菌やインフルエンザ菌と同様に肺炎や中耳炎をおこす潜在性病原菌です。しかし現在のところモラキセラ・カタラーリスに対するワクチンは実用化されていません。同定された複数のワクチン候補抗原に対して、健常小児がどのように抗体を獲得するか継時的に測定しています。よりふさわしいワクチン抗原の選定を行い、今後のワクチン開発に活かす予定です。

7. 全国規模の疾病サーベイランス

  1. ヒブワクチン、小児肺炎球菌結合型ワクチンの導入前後における侵襲性感染症(髄膜炎、菌血症など)の全数調査
    「ワクチンの実地使用下における有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的・臨床的研究」(日本医療研究開発機構 AMED 菅班)
  2. 百日咳による入院患者の全数調査
    「ワクチンの実地使用下における有効性・安全性及びその投与方法に関する基礎的・臨床的研究」(日本医療研究開発機構 AMED 菅班
  3. ロタウイルスワクチン導入前後における腸重積症の全数調査
    「ワクチンにより予防可能な疾患に対する予防接種の科学的根拠の確立及び対策の向上に関する研究」(日本医療研究開発機構 AMED 大石班)

上記のサーベイランスを通して、今後の予防対策を議論するうえで重要なデータが集積されつつあります。