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Achievements
当研究室の業績


2000年度


1. 御挨拶
 遺伝子改変動物を用いた薬理学機能実験について


    新潟大学医学部薬理学教室  教授 樋口宗史


 ヒトゲノム解析の終結が2001年2月にサイエンス、ネーチャー紙に大きく報じられ、ヒトの遺伝子の塩基配列が基本的に明らかになりました。続いて、遺伝子のSNP(Single nucleotide polymorphism)変異を含む遺伝子の多様性がヒトの個性など個人差の基盤になるとして集中的に研究されています。このSNPs研究は薬物の感受性の差をもたらす可能性があり、現在薬理学領域の研究分野でも大きく研究されています(ゲノム薬理学)。しかし、基本的にはポストゲノムの時代を迎え、個々の遺伝子にコードされる前駆体からプロセッシングされた真の蛋白質の構造研究や機能解析がヒトを含めた生物個体の理解に必要かつ重要な時代となりました。
 我々の薬理学研究室を含む医学部を中心とした脳研、歯学部にわたる研究グループではポストゲノムの時代を踏まえて、旭町地区の医学部附属動物実験施設にヒト及び脊椎動物のクローニングされた遺伝子を動物個体で解析する遺伝子改変動物の研究施設の整備拡充を進めています。クローン化された新規遺伝子の個々の生体レベルでの遺伝子機能を知るには遺伝子改変動物作成は必須の手段であり、ヒト疾患の疾病モデルの開発・治療法の発見、また遺伝子治療などの実験治療技術確立にも必要な設備です。
 その施設の中で私たちの研究室は遺伝子改変動物としてマウスとゼブラフィッシュを用いています。ヒトの摂食行動は新しい神経ペプチドで巧妙、精緻に調節されています。その中心的役割を担う神経ペプチドY(NPY)の研究を遺伝子のレベルから個体レベルの行動薬理実験まで行っています。摂食におけるNPY受容体Y1の重要性は遺伝子をノックアウトした動物を作ってみて初めて、かつ明瞭に理解されます。丸ごと動物では明らかな肥満が認められます。また、私たちのグループは神経発生の研究も行っており、脊椎動物の神経形成をつかさどるkheper遺伝子をクローニングしました。ゼブラフィッシュは胚の初期発生を調べるのに極めて優れており、ゼブラフィッシュ胚にkheper遺伝子を過剰発現させると、頭部構造だけをもつ個体に成長します。このことは、kheperが神経系の形成を促進する非常に重要な遺伝子であることを示していました。
 今後一層の遺伝子改変動物をもちいた薬理学研究の発展を望んでいます。かつ、その方向に教室員皆の研究が進むよう祈念し、成果を期待しています。また、同窓会の諸先輩の先生方には今までより一層のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

2.人事異動

薬理学講座 現教室員(平成13年1月現在)
教授 樋口宗史
講師(医局長) 村岡修
助手 山口剛
技官 三富明夫
技術補(秘書) 荒川英子
大学院博士課程 弦巻立 許波 貝津雅稔 馬欣(休学)
技術補(実験助手) 長谷川歩未
研究生 勝又直樹 
        豊里 晃(歯学部加齢歯科・助手)
教室研究生(学生) 高木正仁
非常勤講師 長友孝文(新潟薬科大)  佐藤博(薬剤部)
河田登美枝(薬剤部)   中村勉(県医薬課) 
渡辺康裕(防衛医大)   前山一隆(愛媛大)
渡辺建彦(東北大)    三木直正(大阪大)  
川島博行(歯学部薬理学) 飯島俊彦(秋田大)
倉智嘉久(大阪大)
医短実習生 坊直美、村上愛、鈴木沙織、工藤真弓

平成12年度教室内人事異動
  平成12年3月  桜井浩技官 定年退職(勤続35年)
       4月  樋口宗史教授 医学部付属動物実験施設施設長併任
仲澤幹雄助教授 
 新潟大学医学部保健学科検査技術科学専攻
基礎生体情報学講座生体情報工学教授昇任
           村岡修助手 講師昇任
6月  吉田豊講師 新潟大学医学部腎研究施設
構造病理学分野へ異動
           川井和夫非常勤講師 退任
       7月  山口剛 助手就任
3.教育活動

平成12年薬理学講座講義(3年次および4年次)
「3年次」
 4月12日 総論T:歴史、概念 樋口宗史
 4月13日 総論U:薬の作用様式・作用機序 樋口宗史
 4月19日 総論V:受容体 @概念 樋口宗史
 4月20日 総論W:分子薬理学―遺伝子発現の薬理 樋口宗史
 4月26日 総論X:シグナルトランスダクション@ 吉田 豊
 4月27日 総論Y:シグナルトランスダクションA 吉田 豊
 5月10日 総論Z:特別講義―受容体A 長友孝文
 5月11日 総論[:特別講義―受容体B 長友孝文
 5月15日 総論\:薬物動態 村岡 修
 5月17日 総論]:薬物動態(薬物代謝) 村岡 修
 5月22日 自律神経系入門 樋口宗史
 5月24日 アドレナリン作動性神経系と薬物@ 樋口宗史
 5月29日 アドレナリン作動性神経系と薬物A 樋口宗史
 5月31日 アドレナリン作動性神経系と薬物B 樋口宗史
 6月 5日 コリン作動性神経系と薬物@ 村岡 修
 6月 7日 神経筋接合部作用薬、知覚神経作用薬 佐藤 博
 6月12日 コリン作動性神経系と薬物A 村岡 修
 6月19日 中枢神経作用薬@ 樋口宗史
 6月26日 コリン作動性神経系と薬物B 村岡 修
 7月 3日 中枢神経作用薬A 樋口宗史
 8月28日 中枢神経作用薬B 樋口宗史
 9月 4日 中枢神経作用薬C 樋口宗史
 9月11日 中枢神経作用薬D 樋口宗史
 9月18日 内分泌薬理@ 吉田 豊
 9月25日 内分泌薬理A 吉田 豊
10月 2日 内分泌薬理B 吉田 豊
10月16日 内分泌薬理C 吉田 豊
10月23日 オータコイドの薬理@ 河田登美枝
10月30日 オータコイドの薬理A 河田登美枝
11月 6日 オータコイドの薬理B 河田登美枝
11月13日 神経内分泌 樋口宗史
11月20日 麻薬法規 中村 勉
11月27日 神経ペプチド、情動と神経機能 樋口宗史
12月 4日 炎症薬@ 吉田 豊
12月11日 炎症薬A 吉田 豊
 1月15日 免疫抑制薬(移植と免疫) 村岡 修
 1月22日 遺伝子治療 樋口宗史
 1月29日 試験
 2月 5日 試験

「4年次」
 4月10日 実習ローテーションT
 4月11日 実習ローテーションU
 4月17日 実習ローテーションV
 4月18日 実習ローテーションW
 4月24日 実習ローテーションX
 4月25日 実習ローテーションY
 5月 9日 薬物受容体・シグナル伝達の薬理学 渡辺康裕
 5月 9日 抗生剤@ 川井和夫
 6月13日 抗生剤A 川井和夫
 6月14日 実習まとめ 樋口他
 6月20日 ヒスタミン・オータコイドの薬理学 前山一隆
 6月21日 向精神薬@ 樋口宗史
 6月22日 シグナル伝達系(cGMPシグナリング) 吉田 豊
 6月27日 向精神薬AB 樋口宗史
 6月28日 向精神薬C 樋口宗史
 6月29日 向精神薬D 樋口宗史
 8月29日 中枢神経系ヒスタミンの薬理学 渡辺建彦
 8月30日 循環器作用薬@(総論T) 樋口宗史
 8月31日 循環器作用薬A(総論U) 樋口宗史
 9月 5日 薬物依存症 三木直正
 9月 6日 骨の細胞生物学 川島博行
 9月 7日 循環器作用薬B(不整脈T) 樋口宗史
 9月12日 循環器作用薬CD(不整脈U・心不全T) 樋口宗史
 9月13日 循環器作用薬E(心不全U) 樋口宗史
 9月14日 循環器作用薬F(降圧薬T) 吉田 豊
 9月19日 心筋の興奮・伝導、不整脈とその治療 飯島俊彦
 9月20日 抗腫瘍薬 樋口宗史
 9月21日 循環器作用薬G(降圧薬U) 吉田 豊
 9月26日 臨床薬理学@A 樋口宗史
 9月27日 循環器作用薬H(降圧薬V) 吉田 豊
 9月28日 臨床薬理学B 樋口宗史
10月 4日 利尿薬@ 吉田 豊
10月11日 利尿薬A 吉田 豊
10月18日 利尿薬B 吉田 豊
10月25日 呼吸器作用薬 村岡 修
11月 1日 血液疾患治療薬―止血・凝固と貧血薬@ 村岡 修
11月 8日 血液疾患治療薬―止血・凝固と貧血薬A 村岡 修
11月15日 消化器作用薬 村岡 修
11月29日 試験


4年次実習項目
カフェインの中枢作用
平滑筋T・U
エタノールの中枢作用
自律神経作用薬と血圧
βブロッカーの臨床試験

教養講義
   医学序説 「脳にはたらく薬と毒」 (樋口宗史)

出張講義
  1.愛媛大学医学部:        非常勤講師 (樋口宗史)
  2.秋田大学医学部:        非常勤講師 (樋口宗史)
  3.新潟薬科大学:         非常勤講師 (樋口宗史)
  4.新潟青陵大学看護福祉心理学部: 非常勤講師 (樋口宗史)
4.研究活動(研究成果)

平成12年の研究成果
 神経分子薬理学の研究が本格的にスタートしました。当教室では以下のような研究を行っています。

神経薬理学領域
1)東京医科歯科大学の深間内らとの共同でLidocaine痙攣ラットを作成し、この痙攣モデルにおいて、痙攣発症とNPYとSomatostatinの扁桃核、海馬での発現の増加が重要であることを明らかにしました。60mgのLidocaineを腹腔内に投与されたSDラットは20%が痙攣発作をおこし、kindlingになります。kindlingになった20%のラットの扁桃核ではSomatostatinレベルが増加しました。同時にNPYレベルは扁桃核、海馬、大脳皮質、線条体で増加しました。Somatostatin mRNAは扁桃核で、NPY mRNAは扁桃核と海馬で増加しました。このデータは以前の電撃痙攣や薬物誘導性の痙攣モデルのデータと一致しました。また、痙攣におけるこれら2つのペプチドの重要性を示唆しています。

2)神経ペプチドNPYと、脂肪組織から分泌されるペプチドLeptinは摂食行動・エネルギー代謝をコントロールする中心的役割を担っていると考えられています。そこで、LeptinとNPYの関係を遺伝子レベルで解析することにより、中枢神経による摂食行動制御のメカニズムを解明できると考えています。モデル系として培養細胞を使用し、NPY遺伝子プロモーターをもつレポーター遺伝子を導入し、Leptinで刺激するという方法をとりました。この結果、NPYはLeptin刺激により活性化されることを見出しました。またこの活性化には転写因子STAT3が関与していることが明らかになりました。

3)褐色細胞腫由来細胞株PC12細胞を神経成長因子NGFで刺激したときに活性化される転写調節因子としてラットNDF-1をクローニングしました。これまでの研究によりNDF-1は神経系に発現し、NPY遺伝子の上流に結合し転写を抑制することを明らかにしました。私たちはNDF-1が神経細胞の発生・分化に関与するものと予想し、ノックアウトマウス等によるアッセイを行うため、ラットNDF-1 cDNAをプローブとして、マウスおよびヒトのcDNAライブラリーをスクリーニングし、複数のクローンを単離しました。現在、アイソタイプが存在する可能性を考え、サブクローニングと塩基配列の決定を行っています。

4)栄養状態(インスリン、グルコース、甲状腺ホルモンや絶食等)が変化すると、その変化に適応する為に、脳内では様々な物質の変化が見られます。これらの物質の中で、NPYは摂食に関わる主要な神経ペプチドと考えられています。そこで栄養状態の変化によって脳内のNPYの遺伝子発現量が、どのように変動するかをin situ hybridizationやNorthern blot解析で検討しています。これまでに甲状腺ホルモン投与でNPY遺伝子発現が変化することを明らかにしました。

5)NPYは不安、摂食、記憶、日周リズム等、多様な生理機能をもっています。これまでにNPY受容体は6つあることが明らかにされ、NPYの機能の多様性は受容体の多様性に起因すると考えられています。そこでこれらNPY受容体の遺伝子発現が、内的変化によって、どのように変わるかをin situ hybridizationやNorthern blot解析で検討しています。これまでにNPY受容体の遺伝子発現が絶食によって変化することを明らかにしました。

6)これまで6種類のNPY受容体が同定されています。蛋白レベルでの機能について培養細胞・遺伝子導入技術・生体分子間相互作用解析装置を用いて、これらNPY受容体サブクラスの生化学的特性を明らかにしようとしています。

循環器薬理学領域
7)自己免疫性心筋炎によるラット拡張性心筋症モデルおよびラットLangendorff灌流心モデルを用いて、虚血心の保護作用薬を検索しました。CarvedilolやDiltiazemの心保護作用と冠血流増加作用を明らかにし、その作用機序も明らかにしました。例えば、diltiazemは心筋虚血に対して保護的に作用します。今回diltiazemの作用が虚血時間の差でどうなるかを非放射性のcolored microsphereを用いて調べました。Diltiazemは20分虚血の心虚血量の減少を抑制しましたが、40分虚血に対しては抑制しませんでした。心内膜層と心外膜層との血流比の減少もdiltiazemで抑制されました。L型Caチャネル阻害薬のNifedipineはこのような心保護作用は示しませんでした。このdiltiazemの血流に対する心保護作用は臨床上虚血性心疾患にこの薬物が特に有効であることと相関しています。

8)種々のラット摘出静脈を用いて、NPYによる血管の収縮実験を行い、NPY反応の感作現象・脱感作現象を明らかにしました。また、これを起こす収縮反応のほとんどがY1受容体経由である事をY1受容体遮断薬を用いて確かることができました。また、RT-PCRの実験で確かめたところ、血管に発現しているNPYレセプターのサブタイプがほとんどY1であることを確かめることができました。

9)正常マウス、Y1ノックアウトマウス、Y5ノックアウトマウス、の摘出血管を用いてNPYによる収縮実験を行い、下大静脈の収縮がY1ノックアウトマウスを除き認められることを確認しました。

神経発生学領域
10)ゼブラフィッシュより新規転写因子をクローニングしKheperと命名しました。Kheper遺伝子は神経組織の原基である神経外胚葉に発現し、過剰発現により神経組織の拡大が認められました。さらにKheperの機能を阻害すると神経組織の発生が阻害されることから、Kheperは神経組織の発生を司る必須の役割をもっていることが明らかになりました。


5.科研・厚生省研究費   
  
  1)文部省平成12年度科学研究費補助金(基盤研究(A)) [継続]
「新しい薬物作用点としての遺伝子転写制御
        ――神経分化・記憶に関する新規転写因子と薬物」
        (代表 樋口宗史)
  2)文部省平成12年度科学研究費補助金(萌芽的研究) [新規]
    「ゼブラフィッシュ胚を用いたダイオキシンの神経奇形・発癌機構の解明」              (代表 樋口宗史)

6.受賞・助成金      
  
  1)新潟大学学術奨励会 [新規]
 「内分泌攪乱物質による神経発癌遺伝子の転写調節機構の解明」
                   (代表 樋口宗史)
  2)佐川がん研究助成  [新規]
「ゼブラフィッシュを用いたダイオキシンの神経発癌遺伝子転写制御の解明」               (代表 樋口宗史)

7.業績(英文原著)(著書は含まない)

1)Nagaki, S., Fukamauchi, F., Sakamoto, Y., Higuchi, H., Miki, N., Miki, N., Ono, M., Sadamitsu, M., Kato, N. and Osawa,M.
Upregulation of brain somatostatin and neuropeptide Y following lidocaine-induced kindling in the rat. Brain Res. 852, 470-474, 2000.

2)Katsumata, N., Ma, X. and Higuchi, H.
Protective effect of diltiazem against ishemia-induced decreases in regional myocardial flow in rat heart. Eur. J. Pharmacol. 398, 83-91 2000.

3)Watanabe, K., Ohta, Y., Nakazawa, M., Higuchi, H. Hasagawa, G., Naito, M., Fuse, K., Ito, M., Hirono, S., Tanabe, N., Hanawa, H., Kato, K., Kodama, M. and Aizawa, Y.
Low dose carvedilol inhibits progression of heart failure in rats with dilated cardiomyopathy. Br. J. Pharmacol. 130, 1489-1495, 2000.

4)Niu, S-Y., Kuo, C-H., Taira, E., Muraoka, O., Irie, Y., Do, E., Gan, Y-H., and Miki, N.
Inhibition by naloxone of promoter activity of the neurofilament gene in SK-N-SH cells.
Jpn. J. Pharmacol., 82: 34-39, 2000.

5)Chen, J., Wang, Y., Nakajima, T., Iwasawa, K., Hikiji, H., Sunamoto, M., Choi, D-K., Yoshida, Y., Sakai, Y., and Toyo-oka, T.
Autocline action and its underlying mechanism of nitric oxide on intracellular Ca2+ homeostasis in vascular endothelial cells
Journal of Biological Chemistry, 275: 28379-28749, 2000

6)Yamaguchi, T., Takei, N., Araki, K., Ishii, K, Nagano, T., Ichikawa, T., Kumanishi, T. and Nawa, H.
Molecular characterization of a novel gamma-glutamyltranspeptidase homologue found in rat brain.
J.Biochemistry. 128(1), pp101-106, 2000

7)Muraoka, O., Ichikawa, H., Shi, H., Okumura, S., Taira, E., Higuchi, H., Hirano, T., Hibi, H., and Miki, N.
Kheper, a novel ZFH/δEF1 family, regulates the development of the neuroectoderm of zebrafish (Danio rerio)
Developmental Biology 228, 29-40, 2000

8.著書

1)樋口宗史 
「mRNAの精製法とハイブリダイゼーション」 
ニューロサイエンス講座 第3巻「新しい神経伝達研究法II」(佐藤公道、野村靖幸) 
広川書店、97-104頁、2000年

9.総説

1)村岡修、三木直正
ゼブラフィッシュ/突然変異体のスクリーニング
辻本豪三、田中利男編
羊土社 実験医学別冊 ゲノム機能研究プロトコール 202-209頁、2000年

2)村岡修、三木直正 
ゼブラフィッシュ/cDNAのスクリーニングと機能解析
辻本豪三、田中利男編
羊土社 実験医学別冊 ゲノム機能研究プロトコール 210-220頁、2000年

3)村岡修、樋口宗史  
薬物依存の分子生物学
星和書店 脳の科学 389-395頁、2000年

4)村岡修、市川久詞、施虹、奥村茂樹、平英一、三木直正
ゼブラフィッシュ神経外胚葉の発生調節に必須の転写因子Kheper
武田洋幸、岡本仁、成瀬清、堀寛編
共立出版 小型魚類研究の新展開 66-71頁(2732-2737頁)、2000年


10.シンポジウム

樋口宗史、村岡修、山口剛、貝津雅稔、三富明夫
摂食にかかわるNeuropeptide Y遺伝子発現制御
第43回日本神経化学会 シンポジウム“食欲調節の分子制御” 
               2000年10月18〜20日 金沢



11.国内学会(研究会も含む)

1)河田登美枝、仲澤幹雄、阪本英二、申偉秀、卜部匡司、John Monahan、小澤敬也、豊岡照彦重症心不全の遺伝子治療―δサルコガリカン欠損心筋症ハムスターをモデルとして
第73回日本薬理学会年会 2000年3月23〜25日 横浜

2)宮海浜、ラシッド・マムヌル、中村隆志、服部薫、大貫敏男、仲澤幹雄、木原秀晃、吉元良太、長友孝文
セロトニンによるブタ冠動脈収縮におよぼす新規5-HT2A遮断薬AT-1015の抑制効果
第73回日本薬理学会年会 2000年3月23〜25日 横浜

3)弦巻立、仲澤幹雄、貝津雅稔、許波、三富明夫、樋口宗史
Neuropeptide Y(NPY)のラット摘出血管における効果
第73回日本薬理学会年会 2000年3月23〜25日 横浜

4)村岡修、施虹、市川久詞、平英一、三木直正
神経外胚葉発生における新規転写因子Kheperの役割
第73回日本薬理学会年会 2000年3月23〜25日 横浜

5)樋口宗史、勝又直樹
虚血時間差による心筋局所流量回復に対するジルチアゼムの効果
第21回日本臨床薬理学会年会 2000年9月28〜29日 札幌

6)弦巻立、村岡修、山口剛、樋口宗史
Neuropeptide Yのラット摘出静脈収縮反応での感作および脱感作現象と受容体サブタイプについて
第51回日本薬理学会北部会 2000年9月30日 富山

7)村岡修、市川久詞、施虹、奥村茂樹、平英一、三木直正、樋口宗史
Zebrafishの外胚葉神経化因子Kheperは転写抑制因子として作用する
第51回日本薬理学会北部会 2000年9月30日 富山

8)山口剛、樋口宗史、河村美穂子、荒木一明、那波宏之
新規転写因子p270の細胞内局在及び分子多様性
第51回日本薬理学会北部会 2000年9月30日 富山

9)貝津雅稔、山口剛、長谷川歩未、樋口宗史
甲状腺ホルモンによる摂食ペプチドNeuropeptide Y遺伝子発現の変化
第51回日本薬理学会北部会 2000年9月30日 富山

10)山口剛、貝津雅稔、長谷川歩未、樋口宗史
絶食および甲状腺ホルモンによる中枢NPY受容体サブクラス遺伝子発現への影響
第43回日本神経化学会 2000年10月18〜20日 金沢

11)村岡修、許波、弦巻立、樋口宗史
LeptinによるNPY遺伝子プロモーターの活性制御機構の解析
第43回神経化学会 2000年10月18〜20日 金沢

12)貝津雅稔、山口剛、長谷川歩未、樋口宗史
甲状腺ホルモンによる摂食ペプチドNeuropeptide Y遺伝子発現の変化
第43回神経化学会 2000年10月18〜20日 金沢

13)村岡修、市川久詞、施虹、奥村茂樹、平英一、樋口宗史、三木直正
Zebrafishの神経外胚葉発生を調節する転写因子Kheper
第23回日本分子生物学会年会 2000年12月13〜16日 神戸

12.その他

テレビ新潟 「新潟一番」に出演:「肥満について」(計6回)
13.教室近況 (2000年)

新潟大学医学部薬理学教室の同窓会員の皆様に最近の教室の様子をご報告申し上げます。度重なる戦争やコンピューターの爆発的な普及など、激動の20世紀が終わり新たな世紀を迎えて、世の中は益々発展しようとしております。
 当薬理学教室も新たな展開を見せています。現在のメンバーは樋口宗史教授以下、村岡修講師、山口剛助手、三富明夫技官、荒川英子技術補、大学院生の許波君、貝津雅稔君、弦巻立君(歯科麻酔科)、実験助手の長谷川歩未さん、研究生の勝又直樹さん、および豊里晃(加齢歯科・助手)の11名です。これまで助教授として薬理学教室を支えてこられた仲澤幹雄先生は、四月より新潟大学医学部保健学科検査技術科学専攻基礎生体情報学講座生体情報工学の教授になられました。また講師の吉田豊先生は六月より新潟大学医学部腎研究施設構造病理学分野に異動されました。また長年にわたり縁の下の力持ちとして技官を務めてこられた桜井浩さんは、めでたく定年を迎えられ現在は悠々自適の生活を楽しんでおられます。非常勤講師として数多くの医学生を指導していただいた川井和夫先生は六月の講義を最後にご引退なさることになり、教室を挙げて謝恩会を催し長年のご助力に感謝いたしました。
 新メンバーとしては平成十一年十月より、村岡修が大阪大学より転任し、四月から講師の任を仰せつかりました。また、脳研から山口剛先生が助手として入局し、院生の指導と研究に日夜精力的な活動を続けています。これまで研究生として実験を続けていた貝津雅稔君は4月から大学院生となり、正式に薬理学者への道をスタートしました。
 さらにタンパク質間相互作用解析装置(IAsys)と共焦点レーザー顕微鏡、および電気生理研究装置一式が導入され、研究環境も益々充実しました。
 当教室の研究内容としては樋口教授が東京医科歯科大学の深間内助教授らとの共同でLidocaine痙攣ラットを作成し、痙攣発症とNeuropeptide Y (NPY)とSomatostatinの扁桃核、海馬での発現の増加が重要であることを明らかにしました。また新潟薬科大学渡辺教授等とともに、自己免疫性心筋炎によるラット拡張性心筋症モデルおよびラットLangendorff灌流心モデルを用いて、傷害心の保護作用薬を検索しました。CarvedilolやDiltiazemの心保護作用と冠血流増加作用を明らかにし、その作用機序も明らかにした。村岡は、大阪大学大学院情報薬理の三木教授等とともにゼブラフィッシュよりクローニングした新規転写因子Kheperが神経外胚葉に発現し、神経外胚葉の発生に必須の役割をもっていることを明らかにしました。また培養細胞を用いた実験系で、脂肪組織から分泌されるペプチドLeptinの刺激によりNPY遺伝子プロモーターが活性化されることを見出しました。山口先生と貝津君はNPY受容体Y1,Y2,Y5のマウス脳における発現分布を調べ、絶食や甲状腺ホルモン投与によって受容体遺伝子発現が変わりうることを明らかにしました。弦巻君はラット摘出静脈を用いて、NPYによる血管の収縮実験を行い、NPY反応の感作現象・脱感作現象を見出し、収縮反応のほとんどがY1受容体によるものであることを明らかにしました。許君は樋口教授がクローニングしたNPY遺伝子の新規転写因子であるラットNDF-1遺伝子を用い、マウスおよびヒトのNDF-1をクローニングしています。
 このように、NPYをメインテーマとした新しい研究が次々と成果をあげつつあります。これらの研究は三富技官、荒川技術補、長谷川技術補の献身的なサポートが必要であったことは言うまでもありません。
 大学の独立行政法人化の問題など、大学に対する世間の評価が益々厳しくなってきております。また来年も大学としての使命を自覚し、諸先生方のご期待に応えるべく、樋口教授以下一丸となって教育、研究に取り組んでいく所存でおります。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
                     (村岡記)




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