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Achievements
当研究室の業績


2004年度

1. 御挨拶


 平成16年度は新潟大学大学院医歯学総合研究科・分子細胞医学・薬理学教室(医学部薬理学教室)にとって制度上、および実際の研究室の施設上、大きな転換点となる節目の時期でありました。大学は国立機関から独立行政法人に移管し、私たちも国家公務員から一私人である団体職員に身分が変わりました。新潟大学が独法化する祝い金でしょうか、大学の研究室が医学部西研究棟の改修工事に伴い改修されることになり、耐震構造のほとんど新築の研究室に変身しました。改修工事によって研究設備はほとんど古いままでしたが、建物(入れ物)はとにかく新しく快適になり、丈夫になりました。その改修数ヵ月後に新潟中越地震が起きましたが、研究室内への被害は全くなかったのは不幸中の幸いでした。(平成16年度は新潟にとって新潟中越地震によって記憶される年になるだろうが、実に2兆円に至る社会資産への被害が出たと算定されている。)
改修工事の今後は一層、教室員によって行われる研究・教育自体の中身が問われるようになると思われます。大学の研究に真にオリジナリティーのある、役立つ研究・教育が求められています。
 私が研究室を主宰してから既に7年が経過しました。教授時代の3分の1が過ぎたことを意味しており、今までに成し遂げたことを考えると自分の研究者としての能力に忸怩たる思いがあります。今までは全身の血管系を用いた神経ペプチドYの反応性の研究が主でありましたが、末梢性の実験からできれば中枢神経機能を解析する実験に飛躍したいと思っています。その意味で最近はじめた中枢摂食機構のメカニズムの実験がその突破口になって欲しいと願っています。
 最後にこの年度は私の恩師の大阪大学医学部薬理学教室教授三木直正先生のご退官の年でもありました。私が曲がりなりにも研究者として独り立ちできたのはこの恩師の教えが大変大きかったと思っています。私は三木先生の言動を一つ一つ書き留めていましたが、新潟大学薬理学教室の研究者の皆が大きく育つように三木先生の教えをこの挨拶の最後に添えたいと思っています。


三木直正先生の教え(退官記念誌の原稿より転載)

 三木先生が金沢大学癌研究所薬理部の教授から母校の大阪大学医学部第一薬理学教室の教授に栄転されたのは、1989年の春ではなかったかと記憶している。吉田前教授門下で大学院同期入学の内田先生との教授選で薬理学教授に選ばれて就任したもので、私はその時、選考委員の末席で書記係をしていたので、選考理由は教授会選挙で最終的に選ばれるので解らなかったが、故和田教授が「三木先生のNOのGuanylate cyclase活性化の仕事はごっついことだ」と高く評価されていた。その当時のお仕事はノーベル賞受賞者のMuradには遅れるが、IgnarroやFurchgottのEDRFの仕事よりも相当に早く十分ノーベル賞級のお仕事であった。その見識があった大阪大学医学部教授会に敬意を表したい。私は内田助教授と仕事を一緒にしていた経緯があり、基礎系の教授選はいろいろ大変であることが理解された。
 赴任されてからの三木教授は私の仕事(神経ペプチドNPYの遺伝子発現の機構)に興味を持っていただいたので、幸い仕事を継続することができた。これは三木先生のポリシーで幹部以上の研究者は自分自身の研究テーマを持ち、教授とは独立して仕事を完遂し、一家を構えるようにという親心であったと理解している。その時はこれがなかなか大変で助教授時代から何でも研究は一人でやることを義務付けられた。しかし、この経験は新潟大学に赴任して独立した1つの研究室を立ち上げるときに大いに役立っている。
 三木先生は吉田博前教授の一番弟子であり、教授就任以前からお名前はお聞きしていた(初めて名前を聞いたのは私が吉田先生の薬理学大学院に入ったときに弟の三木哲郎愛媛大教授(阪大中ノ島登山部の先輩)から名前をお聞きした)。三木兄弟の性格から想像されるように創造力に富む活発な人柄であり、大いに影響を受けた。
 三木先生の研究者訓話の厳しさは、その当時は大したことはないと思っていたが、実際7年後に自分が新潟大学で薬理学研究室を立ち上げてみると、自分の研究室の下の人を活性化し、自主的に研究する創造的な研究者を育てるのが如何に難しいかを本当に実感している。
 三木先生の研究語録をまとめてみよう。これは研究室の立ち上げに際して三木先生がホワイトボードに貼り付けた標語集であり、私は大事にそれを保存していた。多分、三木研究室の立ち上げ時に居られた山形要人、平 英一、郭 哲輝、田中秀和、中野浩一の各先生はよくご存知で肝に銘じていると思っている。

89年9月
1. 研究者も芸術家も最高のものを求めるべきである
2. 職制、地位に関わらず、実力のあるものが研究を優先的に推し進められる。
3. 地位は自分が取るものでなく、人が与えてくれる。

幸運は勤勉の余慶である。

ブラッグ卿の言葉
1. 過去の栄光にとらわれるな
2. 流行のテーマに乗るな
3. 理論家の結論したことを信じるな

江崎玲於奈の言葉
1. 今までの行きがかりにとらわれない
2. 権威ある大御所にのめりこまない
3. 無用な情報を溜め込まない
4. 条理があるときは戦うことを避けてはいけない
5. 初々しい感性・好奇心を失わない

90年9月
1. できるだけ早くえらくなること。ポジションは人がくれる。
2. 人及び自分に厳しくなければ偉くはなれない
3. ホモジーナスな世界なのでできるだけ他の分野の本や知識を得なさい

93年10月
思想の貧困をデータの多さでごまかすな

94年12月
1. 仕事は人にやって頂く
2. 高気圧にならないと人は寄ってこない
3. 情報発信源になること、情報にはお金を掛ける
4. 公私の区別を大切に

 これは全て三木先生がオリジナリティーのある仕事をするために心の中の戒めにされていた言葉である。オリジナリティーに関して三木先生が深く考えるようになったきっかけはご自分の大学院時代の博士論文の公聴会でその当時の高次神経研の教授で世界に誇るカルモジュリンの発見者である垣内史朗教授に君の学位の仕事のオリジナリティーは?と追求され言葉に窮したことがたことがその発奮の原動力になっていると伺っている。留学されてからの三木先生の網膜rod細胞でのcGMP phosphodiesteraseの仕事、NOのguanylate cyclaseの仕事、visinin, MEKAの仕事 gicerinの仕事など本当にオリジナリティーの高い目を見張る仕事を完成された。研究者のお手本になる人であると強く尊敬申し上げている。
 私は97年10月に三木先生のご推挙で新潟大学医学部薬理学教室を主宰することになった。その時以来物心ともに三木先生にはお世話になり、遠い新潟まで出張講義に来て頂き、新潟の古町で薫陶を頂いたこと、また昨年度、一度は新潟の佐渡を訪れたいとのご意向を受け、新潟真野町の八幡温泉に滞在したことが印象深く思い出される。三木先生は江戸時代300年にも及ぶ佐渡金山の歴史に強い興味を持たれ、金山の鉱山師の欲望の結晶である道遊の割戸(山が金山の地層に沿って縦に削られている)に深い印象を持たれた。人間の欲望とか熱意に研究者の情熱に通ずるものがあると感じられたのではないだろうか?三木先生の研究者としての情熱は暖かい人間に対する愛情がその元になっていると感じた瞬間であった。  今回三木先生は大阪大学の教授をご退官になられる。まだまだお元気で、お得意のコンピューターも益々技術が上達されているように拝察する。今後とも我々門下生の行く末に対して、暖かいまなざしを注いで頂きたいと切に願っている。

(文責 樋口宗史)

2. 人事異動


薬理学講座 現教室員(平成17年1月1日現在)

教授
樋口宗史
助手
弦巻 立、 仁木剛史
技官
三富明夫
技術補(秘書)
荒川英子
技術補(実験助手)
長谷川歩未
大学院課程
朴 紅蘭(D3)、長井慎吾(眼科D2)
谷 桂(新潟薬科大M2)
研究生
豊里 晃(歯科麻酔科助手)
医学部基礎配属学生
中牟礼道秀 渡邊 史
保健学科配属学生
深沢みず奈
非常勤講師
青柳孝一(新潟県福祉保健部)、飯野正光(東京大)
牛首文隆(旭川医大)、川島博行(歯学部)
中木敏夫(帝京大)、東田陽博(金沢大)
堀尾嘉幸(札幌医大)、前山一隆(愛媛大)
三木直正(大阪大)、三輪聡一(北海道大)
渡邊康裕(防衛医大)

平成16年度教室内人事異動
平成16年  4月 仁木剛史 助手に着任
平成16年  7月 浦山勝裕 休学
平成16年 12月 山口 剛 助手を退任


3. 教育活動


  • 平成16年度 基礎薬理学講義(3年次)

  •  4月 5日 総論(1)(2):歴史、概念、作用様式・作用機序 樋口宗史
     4月12日 総論(3)(4):受容体の概念、シグナル伝達@ 樋口宗史
     4月19日 総論(5):シグナル伝達A 樋口宗史
            総論(6):神経化学伝達総論、自律神経薬理総論
     4月26日 総論(7)(8):薬物動態学@A 弦巻 立
     5月11日 交感神経系と薬物@ 山口 剛
     5月27日 副交感神経系と薬物@A 弦巻 立
     6月10日 総論(9)(10):受容体@A 樋口宗史
     6月 3日 副交感神経系と薬物B 弦巻 立
            特別講義-麻薬法規 青柳孝一
     6月10日 交感神経系と薬物AB 山口 剛
     6月14日 臨床医学入門@ 樋口宗史 他
            特別講義-受容体と薬物学@A 渡邊康裕
     6月15日 臨床医学入門A 樋口宗史 他
     6月17日 中枢神経作用薬@A 樋口宗史
     6月21日 中枢神経作用薬BC 樋口宗史
     6月21日 特別講義-薬物依存@A 三木直正
     6月23日 鎮痛・抗炎症@A 樋口宗史
     6月30日 循環器薬理@A 樋口宗史
     7月 7日 循環器薬理BC 樋口宗史
     7月14日 抗生物質@A 山口 剛
     7月20日 特別講義-チャネル病と老化@A 堀尾嘉幸
     7月21日 特別講義-骨の薬理学-メカニカルストレスと骨形成 川島博之
     7月26日 特別講義-COE研究、MチャネルとcAMPリボース@A 東田陽博

  • 平成16年度 病態薬理学T講義(3年次)

  • 10月 5日 循環器薬理@A特別講義-カルシウムシグナリング入門 飯野正光
    10月19日 血液疾患@A 樋口宗史
    11月16日 呼吸器薬理学@A 弦巻 立
    12月 7日 脳・神経系薬理特別講義@A-ヒスタミンの薬理学 前山一隆
    12月14日 向精神薬@A 樋口宗史
     1月 4日 抗癌薬仁木剛史
     1月18日 内分泌・代謝薬理@A-糖尿病 樋口宗史
     1月25日 内分泌・代謝薬理特別講義BC-NOの薬理学 中木敏夫
     2月 1日 運動器薬理特別講義@A-プロスタグランジンの薬理学 牛首文隆

  • 平成16年度 病態薬理学U講義(4年次)

  •  4月 6日 皮膚・形成@A 樋口宗史
     4月20日 消化器系薬理@A 樋口宗史
     5月18日 泌尿器薬理@A 山口 剛
     6月15日 生殖・発達@A 山口 剛
     6月29日 眼科薬理学@A 樋口宗史
     7月13日 麻酔・救急甦生@A 弦巻 立

  • 平成16年度 薬理学実習(3年次)

  •  6月28日 薬理学実習@A 樋口宗史 他
     6月29日 薬理学実習BC 樋口宗史 他
     7月 5日 薬理学実習DE 樋口宗史 他
     7月 6日 薬理学実習FG 樋口宗史 他
     7月12日 薬理学実習HI 樋口宗史 他
     7月13日 薬理学実習JK 樋口宗史 他
     7月21日 薬理学実習L-総括 樋口宗史 他

  • 3年次実習項目

  •  エタノールの中枢作用
     カフェインの中枢作用
     平滑筋T、U
     自律神経薬と血圧
     αブロッカーの臨床試験

  • 大学院特別講義

  • 11月12日 エンドセリンの心血管系における作用とその分子機構 三輪聡一

  • 大学院修士講義

  •  5月20日 神経薬理学 樋口宗史

  • 大学院博士講義

  • 10月14日 神経薬理学 樋口宗史

  • 教養講義

  •  5月17日 医学序説T「脳に働く薬と毒」 樋口宗史

  • 出張講義

  • 愛媛大学医学部(非常勤講師) 樋口宗史
    大阪大学医学部(非常勤講師) 樋口宗史
    新潟薬科大学(非常勤講師)  樋口宗史
    新潟青陵大学看護福祉心理学部(非常勤講師) 樋口宗史
    新潟医療福祉大学医療技術学部(非常勤講師) 樋口宗史
    防衛医科大学校医学部(非常勤講師) 樋口宗史


    4. 研究活動


    I. 神経遺伝子転写機構の研究
    A. NPY遺伝子転写のleptinによる抑制機構の研究
     中枢食欲制御の主たる制御機構であるNPY神経細胞はレプチンが末梢で増加すると、中枢でそれを感受してNPY遺伝子転写を減少させる。この機構は不明であった。平成15年度まで私達は培養神経細胞ではレプチンがSTAT3を活性化して逆に転写を活性化する機構を明らかにして報告した(Neurochem. Int.42, 591, 2003)。それに引き続いて研究を行い、中枢神経ではSTAT3活性化後にSOCS2,3というシグナル抑制因子が誘導されることと、特にSOCS3がNPY遺伝子転写制御を特異的に抑制することを明らかにした。現在、NPYプロモーター領域のデリーションを作製し、どの領域を介してSOCS3がNPY遺伝子転写を抑制しているか検討中である。
    B. NPY受容体遺伝子ノックアウトマウスを用いた摂食関連ペプチドの研究
     摂食促進ペプチドであるNPYのY1およびY5レセプターをノックアウトしたトランスジェニックマウスを用いて摂食摂水量および体重を測定した。このY1-,Y5-RKOマウスではControlマウス(C57BL/6N)に比べて著しい肥満が見られ、摂食量も増えていた。現在、脳内でのNPYおよび他の摂食関連ペプチドの発現量変化について検討している。 Y5-RKOマウスにおいてはControlマウスとの摂食、節水行動の比較と、摂食関連ペプチドの脳内発現について検討した。定常時における摂食量はControlマウスより有意に増加していた。また、絶食後の摂食量がControlマウスより有意に増加し、絶食後の体重増加量はControlマウスより雄性において有意な減少が見られた。17週令のY5-RKOマウスの脳を用いて、in situ hybridization(ISH)、RT-PCRを行ったところ、ISHではMCH、AgRPは増加、NPY、POMCは減少した。Orexin はほとんど変化が見られなかった。RT-PCRではNPY、POMCが 減少し、CARTはほとんど変化は見られなかった。このような現象は摂食を増加させるのか、あるいは何らかの原因で増加した結果として起こっていると考えられ、今後はこれらのペプチドを投与するなど、更なる研究が必要だと考えられる。
    C. マウス脳内神経ペプチドの遺伝子発現に対するカフェインの影響
     カフェインは茶やコーヒーに含まれる最も身近な薬物であり、その作用はアデノシン受容体A1、A2Aの阻害による覚醒亢進や摂食抑制が知られている。カフェインの摂食抑制メカニズムを解明するために、ICRマウスにカフェインを腹腔内に3日間投与し、神経ペプチドの遺伝子発現の変動をRT-PCRおよびISHにより検討した。その結果、視床下部では神経ペプチドの遺伝子発現に変化は見られなかった。対照的に、大脳皮質では、カフェインはNPY遺伝子発現を増加させた。また、摂食行動や体重変化は3日間のカフェイン投与によって影響されなかった。以上の結果より、大脳皮質でのNPY遺伝子発現がカフェインによりアデノシン受容体の阻害を介して増加することが示唆された。

    U. Langendorff法を用いたラット摘出虚血心臓灌流実験
     トロンボキサンA2(TXA2)受容体拮抗剤であるONO-3708、セラトロダストを用いてTXA2の虚血に対する作用を調べた。直接作用はあまり見られなかったが、前処置のみでなく虚血後も投与し続けることによりControl群に比べて虚血による冠血流量減少作用が抑制されることが明らかになった。

    V. 循環調節に関わる薬物と受容体、シグナル伝達の研究
    A. ラット血管を用いた研究
     アドレナリンα1受容体の3つのサブクラス(A,B,D)はタンパクあるいはmRNAレベルでの発現が3つとも認められているが、機能している受容体は限られていると考えられている。α1受容体サブクラス特異的な拮抗薬を用いて上腕動脈、大腿動脈、尾動脈での機能しているα1受容体サブクラスを部位別に検討している。 また、頚動脈、上腕動脈、大腿動脈、腹部下大静脈、頚静脈、上腕静脈、大腿静脈におけるH2受容体拮抗薬存在下でのヒスタミンの収縮反応を観察した。ヒスタミンの収縮反応はシメチジンの存在下で有意な増加を現した。RT-PCR法を用いて上記のラット血管平滑筋でのH1受容体とH2受容体の分布を検討したところ、H1受容体とH2受容体は全ての血管で発現し、発現量に血管部位での差を認めた。
    B. ブタ血管を用いた研究
     冠動脈に収縮に対するセロトニンとNPYの協調作用
    豚の心臓を用いて、冠動脈におけるserotonin(5-HT)収縮とNPYとの協調作用を調べ、内皮依存的にNPYがY1受容体を介して5-HT収縮を増強することを明らかにした。この増強作用はTXA2受容体拮抗薬やTXA2合成酵素阻害薬で抑制されたことから、内皮細胞からTXA2の遊離を介したものであると考えられる。
    脳血管および毛様体動脈におけるNPYでの収縮と血管収縮増強作用
    ブタ脳血管および網様体動脈に対して種々の血管収縮物質を用いて累積投与反応に対するNPYの影響を検討した。その結果、脳血管、毛様体動脈においては全身血管系とは違い血管収縮物質とNPYの間に協調作用がないことが考えられた。
    C. ノックアウトマウスを用いた研究
     循環動態に対するNPY受容体ノックアウトの影響
    観血的に測定した平均血圧、最大最小血圧、心拍数などの循環動態にはNPY-Y1, Y5受容体のノックアウトは影響を及ぼさなかった。これは受容体ノックアウトマウスでの何らかの代償作用が働いたためと思われる。


    5. 科学研究費


    1)文部科学省平成16年度科学研究費補助金(若手研究(B))「継続」
    「神経ペプチドNPYの血管平滑筋に対する作用と細胞シグナル伝達の解明」
    (代表 弦巻 立)


    6. 研究助成金・受賞


    1)平成16年度全日本コーヒー協会研究助成金 「新規」
    「カフェインによる抗肥満作用をもたらす中枢摂食ペプチド遺伝子の発現変化」
    (代表 樋口宗史)

    2)平成16年度塚田医学奨学金 「新規」
    「交感神経コトランスミッターNPYの心血管調節の分子メカニズム」
    (代表 弦巻 立)

    3)平成16年度新潟大学プロジェクト推進経費(若手育成A) 「新規」
    「RNAiを用いた摂食ペプチド遺伝子の中枢摂食制御メカニズムの解析」
    (代表 仁木剛史)


    7. 著書


    1)「ネスラー・ハイマン・マレンカ 分子神経薬理学−臨床神経科学の基礎」
    西村書店2004
    樋口宗史・前山一隆 監訳

    2)新潟大学ブックレット「細胞(仮題)」2004
    「細胞は細胞外から情報をどのように得ているか?」
    樋口宗史


    8. 業績(英文原著)


    1)Okada M, Hasegawa A, Higuchi H.
    Effect of neuropeptide Y on T-type Ca2+ channel current expressed in NG108-15 cells.
    Acta Medica et Biologica, 52, 103-110, 2004.


    9. 業績(和文原著)


    1)樋口宗史、渡辺資夫、岡田誠剛、弦巻 立、浦山勝裕
    「精神ストレスによる昇圧反応とβブロッカーの抑制」
    臨床薬理 35巻、179S、2004年

    2)樋口宗史、大谷 桂、長友孝文、三富明夫、浦山勝裕、山口 剛
    「NPY受容体Y5Rノックアウトマウスの摂食行動変化」
    日本神経精神薬理学雑誌、24巻、397頁、2004年

    3)Yamaguchi T, Ohtani K, Nagatomo T, Mitomi A, Urayama K, Higuchi H.
    Feeding behavior of NPY-Y5 knock out mice.
    神経化学 43巻、413頁、2004年


    10. 総説


    1)樋口宗史
    「「精神疾患100の仮説(再版)」こころの臨床増刊号、2004年
    「分子生物学的仮説」

    2)樋口宗史
    「薬物依存と神経遺伝子発現変化―薬物依存に関与するNPY遺伝子」
    Clinical Neuroscience 22巻、648-650頁、2004年

    3)樋口宗史、山口 剛、大谷 桂、長友孝文、浦山勝裕、三富明夫
    「NPYの摂食制御機構とNPY-Y5受容体ノックアウトマウス」
    応用薬理 66巻、47-50頁、2004年


    11. 特別講演、シンポジウム


    1) 樋口宗史
    神経遺伝子NPYの転写と摂食制御
    日本薬理学会年会シンポジウム「神経遺伝子の転写制御と神経機能」
    第77回日本薬理学会年会 2004年3月8-10日 大阪

    2) 樋口宗史
    摂食ペプチドNPYのレプチン制御
    防衛医科大学校セミナー第97回バイオを論じる会 2004年7月15日 所沢

    3) 樋口宗史、山口 剛、大谷 桂、長友孝文、浦山勝裕、三富明夫
    NPYの摂食制御機構とNPY-Y5受容体ノックアウトマウス
    第6回応用薬理シンポジウム 2004年8月26・27日 新潟

    4) 樋口宗史
    神経ペプチドNPYの遺伝子転写制御と摂食行動
    大阪大学蛋白質研究所セミナー「神経系の特異機能を制御する蛋白質の細胞分子機構」 2004年10月21日 吹田


    12. 国内学会


    1) 山口 剛、樋口宗史
    IAsysを用いたNPY-Y1受容体の結合実験
    第77回日本薬理学会年会 2004年3月8-10日 大阪

    2) 大谷 桂、弦巻 立、長井慎吾、長友孝文、樋口宗史
    ブタ冠動脈におけるNPYによるセロトニン収縮増強作用
    第77回日本薬理学会年会 2004年3月8-10日 大阪

    3) 弦巻 立、樋口宗史
    NPYはY1受容体を介してα1アドレナリンレセプター刺激による収縮反応を増強する
    第77回日本薬理学会年会 2004年3月8-10日 大阪

    4) 朴 紅蘭、弦巻 立、樋口宗史
    ラット血管平滑筋のヒスタミン収縮反応とNPYの協調作用
    第77回日本薬理学会年会 2004年3月8-10日 大阪

    5) 樋口宗史、大谷 桂、長友孝文、三富明夫、浦山勝裕、山口 剛
    NPY受容体Y5Rノックアウトマウスの摂食行動変化
    第34回日本神経精神薬理学会 2004年7月21-23日 東京

    6) 浦山勝裕、岡田誠剛、樋口宗史
    精神ストレスによる循環反応に対するα拮抗作用
    第25回日本臨床薬理学会年会 2004年9月17・18日 静岡

    7) 山口 剛、大谷 桂、長友孝文、三富明夫、浦山勝裕、樋口宗史
    NPY-Y5受容体ノックアウトマウスでの摂食行動の調節
    第47回日本神経化学会大会 2004年9月21-23日 大阪

    8) 大谷 桂、長友孝文、山口 剛、三富明夫、浦山勝裕、樋口宗史
    NPY-Y5受容体ノックアウトマウスの摂食行動と脳内摂食関連ペプチド発現変化
    第55回日本薬理学会北部会 2004年9月23・24日 小樽

    9) 仁木剛史、仁木(高橋)加寿子、 平 敬宏、 有賀(井口)早苗、 樋口宗史、 有賀寛芳
    パーキンソン病PARK7原因遺伝子DJ-1のプロテアーゼとしての機能解析
    第55回日本薬理学会北部会 2004年9月23・24日 小樽

    10) 長井慎吾、弦巻 立、樋口宗史
    ブタ脳血管および毛様体動脈におけるNeuropeptide Y (NPY)の収縮と血管収縮増強作用
    第55回日本薬理学会北部会 2004年9月23・24日 小樽

    11) 弦巻 立、長井慎吾、許 波、樋口宗史
    ブタ冠動脈における血管内皮依存的なNeuropeptide Y とセロトニンの血管収縮協調作用
    第55回日本薬理学会北部会 2004年9月23・24日 小樽


    13. 教室近況


     諸先生方におかれましては、益々ご活躍の事とお慶び申し上げます。平成16年度の教室の出来事についてご報告申し上げます。
     まず、医学部西研究棟の改修工事(U期)終了に伴い、我々薬理学教室は本年6月に旧看護宿舎2階の仮移転先から西研究棟4階に引っ越しました。新しい実験室での実験機器のセットアップもある程度完了し、フレッシュな環境下での実験に取り組んでおります。V期改修工事後にできる予定の実験室がもう一つあり、それまではとりあえず現状での研究室体制となります。
     教室内の人事異動としては、4月から北海道大学より仁木剛史が助手として加わりました。残念ながら7月から耳鼻科からの大学院生、浦山勝裕君が都合により休学になりました。現在の教室員は樋口宗史教授以下、山口 剛助手、弦巻 立助手、仁木剛史助手、三富明夫技官、荒川英子技術補(秘書)、長谷川歩未技術補、大学院生の朴 紅蘭、長井慎吾、大谷 桂の合計10人です。
     研究室の研究活動は引き続き中枢神経系でのニューロペプチドY(NPY)遺伝子を中心として摂食に関わる遺伝子制御の研究、ラット灌流心並びに血管平滑筋を用いた循環器薬理学の研究を行っております。山口助手は、NPY及び摂食関連ペプチド受容体mRNAのNPY受容体欠損マウスにおける発現変化、IAsysを用いた生体物質相互作用検討をNPYとPC12細胞を用いて行うなど広範な研究を遂行されています。仁木助手はカフェインによる脳内神経ペプチドの遺伝子発現の変動をアデノシン受容体阻害機能と関連付けてRT-PCRおよびin situ hybridizationにより検討しています。大谷さんは、NPY受容体欠損マウスを用いて中枢神経系での摂食ペプチドとその受容体mRNAの発現変化について有意な変化を見出しました。朴さんはラット血管のヒスタミンによる収縮実験とレセプター発現解析により、興味深い結果を見いだしています。長井君はブタ脳の血管収縮物質による脳血管平滑筋収縮の研究に取り組んでいます。技術補佐員の長谷川さんは、ラット心ランゲンドルフ標本を用いた心筋虚血保護作用薬の研究とNPYプロモーターアッセイという2つの仕事を両立させ、三富さんはNPYの循環動態に対する影響を主にノックアウトマウスを用いて観血的に検討しています。弦巻助手はラット血管でのNPYと他の収縮物質の関連ならびに、ブタ冠動脈でのセロトニンによる収縮の研究を行っています。これらの研究成果には、秘書である荒川さんのサポートがあったことはいうまでもありません。
     このように我々も、本来の仕事である研究に関しても益々努力を積み重ねる所存でございますので、今後とも当薬理学教室員への暖かいご支援をお願いするとともに、諸先生方のご健勝を心からお祈り申しあげまして、本稿を終わらせていただきます。
    (文責 弦巻)



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