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Achievements
当研究室の業績


2005年度

1. 御挨拶


新潟大学大学院医歯学総合研究科・分子細胞医学・薬理学教室
教授 樋口宗史

 平成17年度は薬理学教室にとって研究方針の転換を考える節目になる年かもしれません。既に世の中はポストゲノムの時代に移り、体系的な遺伝子発現解析(DNA chip)は勿論のこと、個別遺伝子発現の解析にヒトゲノムの多様性や体系的な多型解析(SNP)までが必要な時代を迎えつつあります。薬理学会でも薬物の作用に薬物代謝酵素CYP450のSNP解析が必須の時代になってきましたが、これまで多因子遺伝病として生活習慣病(高血圧症、動脈硬化、糖尿病、肥満など)の解明にいろいろな動物モデルが使われていた薬理学研究にもゲノム薬理学の進歩が押し寄せています。つまり、ヒトの多因子遺伝病ではそれぞれの疾患感受性遺伝子の同定が必要になっており、その同定の後にヒト一人一人の疾患感受性遺伝子のSNP解析などが疾患発症リスクの予後や薬物治療のために行われるようになりつつあります。究極的にはヒトの疾患の薬物療法には個人個人での遺伝子差異に基づくパーソナライズド医療が大事になってくると思われます。
 しかし、現時点では私達の薬理学教室の研究はゲノム薬理学の最先端レベルに到達しているとはいえません。疾患モデル動物を使い、いろいろな病態での機能遺伝子の発現の変化をin situ hybridizationで捉えたり、RT-PCRでその発現量変化を捕らまえたりしている段階です。
 従って、今年からは最近の遺伝子工学技術の発展を踏まえた、当薬理学教室の研究技術の進歩を計り、現在行っている肥満、摂食行動の中枢神経遺伝子発現機構の解明の研究にさらに邁進したいと願っています。研究員各位の一層の努力をお願いします。

2.人事異動



薬理学講座 現教室員(平成18年1月1日現在)

教授
樋口宗史
助手
弦巻 立、仁木剛史
技官
三富明夫
技術補(秘書)
荒川英子
大学院課程
朴 紅蘭(D4)、長井慎吾(眼科D3)
賀川公美子(M1)、椎谷友博(M1)
非常勤講師
新井 信(東海大)、川島博行(歯学部)
久野高義(神戸大)、倉智嘉久(大阪大)
中木敏夫(帝京大)、長友孝文(新潟薬科大)
平 英一(岩手医科大)、丹治敏秀(新潟県福祉保健部)
東田陽博(金沢大)堀尾嘉幸(札幌医大)
前山一隆(愛媛大)、山田充彦(信州大)
吉川和明(大阪大)、渡辺康裕(防衛医大)

平成17年度教室内人事異動
平成17年 4月 賀川公美子、椎谷友博 入局
平成17年 9月 長谷川歩未 退職


3. 教育活動


  • 平成17年度 基礎薬理学講義(3年次)

  •  4月 4日 総論(1)(2):歴史、概念、作用様式・作用機序 樋口宗史
     4月11日 総論(3)(4):受容体の概念、シグナル伝達@ 樋口宗史
     4月18日 総論(5):シグナル伝達A
            総論(6):神経化学伝達総論、自律神経薬理総論 樋口宗史
     4月25日 総論(7)(8):薬物動態学@A 弦巻 立
     5月 2日 交感神経系と薬物@A 仁木剛史
     5月10日 交感神経系と薬物B 仁木剛史
     5月19日 副交感神経系と薬物@A 弦巻 立
     5月26日 副交感神経系と薬物B 弦巻 立
            特別講義-「麻薬法規」 丹治敏秀
     6月 2日 中枢神経作用薬@A 樋口宗史
     6月 9日 循環器薬理@A 樋口宗史
     6月13日 特別講義-「薬理学の特異性の概念」@A 渡邊康裕
     6月16日 特別講義-「鎮痛薬」@A 吉川和明
     6月20日 臨床医学入門@ 樋口宗史 他
     6月21日 臨床医学入門A 樋口宗史 他
     6月22日 中枢神経作用薬BC 樋口宗史
     6月29日 特別講義-「受容体」@A 長友孝文
     7月21日 特別講義-「骨の薬理学」 川島博行
     7月11日 循環器薬理B 樋口宗史
     7月11日 抗癌薬@A 仁木剛史
     7月12日 鎮痛・抗炎症@A 樋口宗史
     7月13日 特別講義-「接着因子の薬理学」@A 平 英一
     7月19日特別講義-「老化の薬理学」@A 堀尾嘉幸
     7月20日 抗生物質@A 仁木剛史

  • 平成17年度 病態薬理学T講義(3年次)

  • 10月18日 特別講義-「酵母を用いたゲノム薬理学」@A 久野高義
    10月25日 呼吸器薬理学@A 弦巻 立
    11月15日 特別講義-「イオンチャネルの薬理学-不整脈との関連」@A 倉智嘉久
    12月 6日 内分泌薬理@A(糖尿病) 樋口宗史
    12月13日 向精神薬@A 樋口宗史
     1月10日 向精神薬B 樋口宗史
     1月17日 特別講義-「NOの薬理学」 中木敏夫
     1月24日 特別講義-「ヒスタミンの薬理学」 前山一隆
     1月31日 特別講義-「アセチルコリン誘導性M電流の薬理学」@A 東田陽博

  • 平成17年度 病態薬理学U講義(4年次)

  •  4月12日 皮膚・形成@A 樋口宗史
     4月19日 消化器系薬理@A 樋口宗史
     5月17日 泌尿器薬理@A(利尿薬) 仁木剛史
     6月14日 生殖・発達@A 仁木剛史
     6月28日 視覚器系@A 樋口宗史
     7月19日 麻酔・救急蘇生@A 弦巻 立

  • 平成17年度 臨床医学講義(集中)(6年次)

  •  7月29日 東洋医学入門@A 新井 信

  • 平成17年度 薬理学実習(3年次)

  •  6月20日 薬理学実習@A 樋口宗史 他
     6月21日 薬理学実習BC 樋口宗史 他
     6月27日 薬理学実習DE 樋口宗史 他
     6月28日 薬理学実習FG 樋口宗史 他
     7月 4日 薬理学実習HI 樋口宗史 他
     7月 5日 薬理学実習JK 樋口宗史 他
     7月 6日 薬理学実習L-総括 樋口宗史 他

  • 3年次実習項目

  •  エタノールの中枢作用
     カフェインの中枢作用
     平滑筋T、U
     自律神経薬と血圧
     βブロッカーとセロトニン作動性抗不安薬の臨床試験

  • 大学院特別講義

  • 11月18日 ATP感受性K+チャネルの分子薬理学 山田充彦

  • 大学院修士講義

  •  5月26日 神経薬理学 樋口宗史

  • 大学院博士講義

  • 11月10日 神経薬理学 樋口宗史

  • 教養講義

  •  6月 6日 医学序説T「脳に働く薬と毒」 樋口宗史

  • 出張講義

  • 愛媛大学医学部(非常勤講師) 樋口宗史
    大阪大学医学部(非常勤講師) 樋口宗史
    新潟薬科大学(非常勤講師)  樋口宗史
    新潟青陵大学看護福祉心理学部(非常勤講師) 樋口宗史
    新潟医療福祉大学医療技術学部(非常勤講師) 樋口宗史
    防衛医科大学校医学部(非常勤講師) 樋口宗史


    4.研究活動


    I. 神経遺伝子転写機構の研究
    A. NPY受容体遺伝子ノックアウトマウスを用いた摂食関連ペプチド発現の研究
     摂食促進ペプチドであるNPYのY1およびY5受容体をノックアウトしたトランスジェニックマウスを用いて摂食摂水量および体重を測定した。このY1-,Y5-受容体ノックアウトマウスでは野生型マウス(C57BL/6N)に比べて著しい肥満が見られ、摂食量も増えていることを16年度までに明らかにした。現在、脳内でのNPYおよび他の摂食関連ペプチドの遺伝子発現量変化について検討している。 Y1受容体ノックアウトマウスでは予想に反して摂食の亢進と肥満を引き起こす。これは、Y1受容体のノックアウトにより代償的摂食調節ペプチド遺伝子発現変化が起こるためと考え、摂食調節ペプチドの遺伝子発現を検討した。その結果、摂食抑制ペプチドα-MSHの遺伝子であるPOMCと摂食促進ペプチドNPY mRNAの発現が減少していた。また、AgRPなどについては変化がなかった。これらの結果より、Y1受容体ノックアウトマウスの体重増加を伴う摂食量の促進は主としてPOMC mRNAの発現減少が寄与していることが明らかとなった。
    B. 絶食による摂食ペプチド遺伝子発現変化
     脳内での摂食ペプチド遺伝子発現が絶食によりどう変化するかを検討した。実験ではC57BL/6Nマウスを50h絶食させ、in situ hybridization により摂食ペプチド遺伝子発現変化を観察した。その結果、絶食によって弓状核でのNPY,AgRP mRNAが増加し、POMC mRNAが減少した。また、視床下部背内側核でのgalanin mRNAの増加も認めた。しかし、海馬,大脳皮質でのNPY及び青班核、視索前内側核でのgalanin遺伝子発現は変化しなかった。
    C. T3によるNPY遺伝子転写の調節
     甲状腺ホルモンはヒト及びげっ歯類において中枢神経細胞のNPY遺伝子発現を減少させることを見い出した。この減少に対するメカニズムを明らかにするため、NPY遺伝子をトランスフェクションしたN18TG2細胞を用いて、甲状腺ホルモンT3存在下におけるNPY遺伝子転写の抑制作用を明らかにした。この機構に対するをヒストンデアセチレースの関与に着目し、現在評価中である。

    U. Langendorff法を用いたNPY-Y1受容体ノックアウトマウスにおける心臓機能の評価
    NPY-Y1受容体ノックアウトマウスにおいて虚血/再灌流に対する心臓機能の変化を調べるため、NPY-Y1受容体ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおいて心臓でのNPY、NPY-Y1受容体、およびNPY-Y5受容体のmRNA 発現について検討している。

    V.循環調節に関わる薬物と受容体、シグナル伝達の研究
    A.ラット血管を用いた研究
     アドレナリンα1受容体の3つのサブクラス(A,B,D)は血管平滑筋組織にタンパクあるいはmRNAレベルでの発現が3つとも認められているが、機能している受容体は限られているらしい。α1受容体サブクラス特異的な拮抗薬を用いて上腕動脈、大腿動脈、尾動脈での機能しているα1受容体サブクラスを部位別に検討し、上腕ではα1B・D、大腿ではα1A・B・D、尾ではα1Aが機能していると考えられた。また、NPYとα1アゴニストの協調作用は大腿・尾動脈での認められ、α1AとNPY−Y1受容体の連関が示唆される結果となった。 頚動脈、上腕動脈と大腿静脈では、NPYによるヒスタミン収縮反応への増強作用はphospholipase Cの特異的な阻害薬、neomycinとNCDCより有意に抑制されることから、頚動脈、上腕動脈と大腿静脈では、NPYによるヒスタミン収縮反応の増強作用はPI選択的なphospholipase Cの活性化によることを明らかにした。 ヒスタミンH2受容体アゴニストdimapritを累積投与して、各部位での弛緩作用を観察した。腹部下大静脈、頚静脈、大腿静脈、上腕静脈では濃度依存的な弛緩反応曲線が得られたが、興味深いことに動脈系の頚動脈、上腕動脈、大腿動脈では弛緩反応を認めなかった。
    B.ブタ血管を用いた研究
     ブタ脳血管および毛様体動脈におけるセロトニン、ヒスタミンの血管収縮に関与する受容体サブクラスを検討した。前大脳動脈、中大脳動脈、後交通動脈、脳底動脈および毛様体動脈を用いて種々の拮抗薬存在下で累積投与試験を行い、用量作用曲線の変化を調べた。またRT-PCRを用いて各血管に発現する受容体サブクラスのmRNAを調べた。ヒスタミンに関しては、累積投与試験ですべての血管においてH1特異的アンタゴニスト存在下で弛緩反応がみられたがH2特異的アンタゴニスト存在下では収縮反応がみられた。セロトニンに関しては、RT-PCRではすべての血管に5HT1B、1D、2A受容体のmRNAの発現がみられた。しかし、累積投与試験では5HT2A特異的アンタゴニストで用量作用曲線が右方移動したのに対し、5HT1B、1D特異的アンタゴニストいずれでも曲線の移動がみられなかった。以上よりブタ脳血管および毛様体動脈ではヒスタミン収縮にはH1 receptor、セロトニン収縮には5HT2A 受容体が関与していると考えられた。
    C.精神ストレスの臨床薬理学研究
     健常人の精神ストレス負荷に対して、抗不安薬5HT1Aアゴニストのタンドスピロンはβ-blockerメトプロロールと同様の心拍数への抑制作用を示し、中枢5HT1A受容体の精神ストレスへの関与が示唆された。


    5. 科学研究費・受賞


    1) 文部科学省平成17年度科学研究費補助金(萌芽)「新規」
    「RNAiを用いた摂食関連遺伝子の機能ターゲッティング法の開発」
    (代表 樋口宗史)

    2) 平成17年度 新潟大学超域研究機構プロジェクト推進経費「新規」
    「統合失調症を代表とする脳精神疾患の分子機序の解明」
    (分担 樋口宗史)

    3) 平成17年度 塚田医学奨学金「新規」
    「カフェインによる抗肥満作用をもたらす中枢摂食ペプチド遺伝子の発現変化」
    (代表 仁木剛史)


    6.著書


    1)「クーパー・ブルーム・ロス神経薬理学―生化学からのアプローチ―(第8版)」
    メディカル・サイエンス・インターナショナル 2005年
    監訳 樋口宗史

    2) 「医科薬理学」第4版
    南山堂 2005年
    編著 樋口宗史


    7.業績(英文原著・英文総説)


    1) Higuchi H.
    Transcriptional regulation of neuronal genes and its effect on neural functions.
    Journal of Pharmacological Sciences, 98, 198-199, 2005

    2)Higuchi H., Hasegawa A., Yamaguchi T.
    Transcriptional regulation of neuronal genes and its effect on neural functions: transcriptional regulation of neuropeptide Y gene by leptin and its effect on feeding.
    Journal of Pharmacological Sciences, 98, 225-231, 2005

    3)Piao H., Nagai S., Tsurumaki T., Higuchi H.
    Synergistic action of neuropeptide Y on histamine H1 receptor-mediated contraction in rat blood vessels.
    Vascular Pharmacology, in press


    8.業績(和文原著)


    1) 浦山勝裕、岡田誠剛、樋口宗史
    「精神ストレスによる循環反応に対するα1ブロッカーの影響の有無」
    臨床薬理 36巻,S244頁,2005年

    2) 仁木剛史、山口 剛、大谷 桂、長谷川歩未、三富明夫、樋口宗史
    「アデノシン受容体アンタゴニストによるマウス脳における神経ペプチドY遺伝子発現の変化」
    日本神経精神薬理学雑誌 25巻,2005年 印刷中


    9.特別講演・シンポジウム


    1) 樋口宗史、山口 剛、大谷 桂、仁木剛史
    Regulation of hypothalamic neuropeptide expression and feeding behavior in NPY-Y5 knockout mice
    NPY-Y5ノックアウトマウスの摂食ペプチド発現の制御と摂食
    第78回日本薬理学会年会 2005年3月22−24日 横浜

    2) 仁木剛史、椎谷友博、山口 剛、浦山勝裕、三富明夫、長谷川歩未、樋口宗史
    NPY-Y1ノックアウトマウスにおける摂食行動の調節
    第48回日本神経化学会大会 2005年9月28−30日 福岡

    3) 樋口宗史、長谷川歩未、仁木剛史、椎谷友博
    絶食による摂食ペプチド遺伝子発現の変化と抗肥満薬標的の可能性
    第33回薬物活性シンポジウム 2005年10月4・5日 新潟


    10.国内学会(研究会も含む)


    1) 仁木剛史、山口 剛、大谷 桂、三富明夫、樋口宗史
    マウス脳内神経ペプチドの遺伝子発現に対するカフェインの影響
    第78回日本薬理学会年会 2005年3月22−24日 横浜

    2) 弦巻 立、長井慎吾、樋口宗史
    ブタ冠動脈でのNPYによるセロトニン収縮増強作用における血管内皮由来トロンボキサンA2の関与
    第78回日本薬理学会年会 2005年3月22−24日 横浜

    3)朴 紅蘭、弦巻 立、山口 剛、樋口宗史
    ラット血管平滑筋におけるH2受容体の分布と収縮反応への関与
    第78回日本薬理学会年会 2005年3月22−24日 横浜

    4) 山口 剛、大谷 桂、三富明夫、浦山勝裕、樋口宗史
    NPY-Y5受容体ノックアウトマウスでの摂食行動変化と摂食関連ペプチド遺伝子発現
    第78回日本薬理学会年会 2005年3月22−24日 横浜

    5) 仁木剛史、山口 剛、大谷 桂、長谷川歩未、三富明夫、樋口宗史
    アデノシン受容体アンタゴニストによるマウス脳における神経ペプチドY遺伝子発現の変化
    第35回日本神経精神薬理学会 2005年7月6−8日 大阪

    6) 朴 紅蘭
    ラット血管平滑筋ヒスタミン収縮におけるNPYの協調作用
    第12回みかんの会 2005年9月14日 新潟

    7) 仁木剛史、椎谷友博、三富明夫、長谷川歩未、樋口宗史
    NPY Y1受容体ノックアウトマウスにおける摂食行動の調節
    第56回日本薬理学会北部会 2005年10月4日 新潟

    8) 朴 紅蘭、弦巻 立、長井慎吾、樋口宗史
    ラット血管平滑筋ヒスタミン収縮におけるNPYの協調作用―Phospholipase Cの関与
    第56回日本薬理学会北部会 2005年10月4日 新潟

    9) 弦巻 立、朴 紅蘭、長井慎吾、樋口宗史
    ラット動脈でのNeuropeptide Yとの血管収縮協調作用に関わるアドレナリン
    α1受容体サブクラスの検討
    第56回日本薬理学会北部会 2005年10月4日 新潟

    10) 長井慎吾、弦巻 立、樋口宗史
    ブタ脳血管および毛様体動脈におけるヒスタミン及びセロトニン収縮に関与するreceptor subtypeの検討
    第56回日本薬理学会北部会 2005年10月4日 新潟

    11) 樋口宗史、長井慎吾
    コンピューター精神ストレスに対する抗不安薬タンドスピロンの作用
    第26回日本臨床薬理学会年会 2005年 12月1−3日 別府

    11.教室近況


     諸先生方におかれましては、益々ご活躍の事とお慶び申し上げます。平成17年度の教室の出来事についてご報告申し上げます。
     昨年度、西研究棟4階に引っ越してから1年以上が経過し、新しい実験室での実験機器のセットアップも完了して、フレッシュな環境下で日々実験に取り組んでおります。V期改修工事後にできる予定の実験室がもう一つあり、それまでは現状での研究室体制となります。
     教室内の人事異動としては、4月から医学修士課程の大学院生として賀川公美子さん、椎谷友博君の二名が加わりました。昨年12月には山口剛助手がアメリカ国立衛生研究所NIHに留学され、本年3月には大学院生の大谷桂さんが修士を終了し、製薬企業に就職しました。9月には、長谷川歩未技術補が退職されました。現在の教室員は樋口宗史教授以下、弦巻立助手、仁木剛史助手、三富明夫技官、荒川英子技術補(秘書)、大学院生の朴紅蘭、長井慎吾、賀川公美子、椎谷友博の合計9人です。
     研究室の研究活動は引き続き中枢神経系でのニューロペプチドY(NPY)遺伝子を中心として摂食に関わる遺伝子制御の研究、ラット灌流心並びに血管平滑筋を用いた循環器薬理学の研究を行っております。仁木助手はNPY-Y1受容体ノックアウトマウスでの、NPYと他の摂食関連中枢神経ペプチド遺伝子発現の変動をRT-PCRおよびin situ hybridizationにより検討し、NPY-Y1受容体ノックアウトマウスでの摂食量増加と体重変化の追求を行っています。朴さんはラット血管のヒスタミンによる収縮実験とレセプター発現解析により、興味深い結果を見いだしています。長井君はブタ脳の血管収縮物質による脳血管平滑筋収縮実験とセロトニンレセプター発現解析に取り組んでいます。賀川さんはラット心ランゲンドルフ標本を用いた心筋虚血保護作用薬の研究とNPYプロモーターアッセイにとりくんでおり、椎谷君は仁木助手とともにNPY-Y5受容体ノックアウトマウスの脳内摂食関連ペプチド遺伝子発現変化について研究解析を行っております。三富さんはNPYの循環動態に対する影響を主にノックアウトマウスを用いて観血的に検討しています。弦巻助手はラット血管でのNPYと他の収縮物質の関連ならびに、ブタ冠動脈、脳動脈でのセロトニンによる収縮の研究を行っています。これらの研究成果には、秘書である荒川さんのサポートがあったことはいうまでもありません。
     国立大学の独立行政法人化により、教育、研究ともに厳しく評価される状況の中、我々も研究・教育に関して益々努力を積み重ねる所存でございますので、今後とも当薬理学教室員への暖かいご支援をお願いするとともに、諸先輩・先生方のご健勝を心からお祈り申しあげまして、本稿を終わらせていただきます。
    (文責 弦巻 立)



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