ミャンマーの医学教育協力プロジェクト調査報告 その4 【 7月9日 (水) 】

 
7月9日(水)

               
           写真16 新ヤンゴン総合病院           写真17 1984年築を示す記念碑
 
 午前中は新ヤンゴン総合病院へ。ここは日本が作った病院で、通称JICA病院という(写真16)。丁度建設してから30年になる(写真17)。私は2000年に一度ここを訪れたが、1室に錆びついた大型機器が集められているのを見て、悲しい思いをした。手術室に行くとJICAマークの機器が沢山あった。古くて、修理しながら使用しているものもあるが、今度、かなりの機器がJICAによって更新されるので、一安心である。
 ここは第一医科大学の教育病院で、多数の医学生がいた。先生について病棟で診察の実習をしていた(写真18)。この病院の充実は医学教育の向上にも直結する。本プロジェクトは教育研究の指導者の育成に目的があるので、若い医学生の教育にも直接影響することになると思うとわくわくする。

             
         写真18 患者を前に実習する医学生          写真19 がたがたのミクロトーム

             
            写真20 使えない顕微鏡                   写真21 病理医同士で

 検査室を回った。生化学検査の機器は多少あった。しかし、病理の機材は旧態然。こちらでは珍しい(日本では一般的な)滑走式のミクロトームがあり、古くて摩耗し、ねじはがたついていた(写真19)。30年前に入れた機材に間違いない。ティッシュープロセッサーも使用部位2か所のうち、1か所が壊れていた。顕微鏡は壊れてまったく使われていないが、置いてある(写真20)。これらは優先的に更新されなければならない機器なのに、更新リストに入っていない。JICA病院内部で優先的に取り扱われなかったのかも知れないが、日本側が気づかなかったのかも知れない。後で第二医科大学病理のチン医師にこの話をすると、JICA病院の病理医はマンダレーから移動してきた時、病理の機材の状況を見て泣いたという。彼女はにこやかに説明してくれたが、目は何とかしてほしいと訴えていた(写真21)。
 午後はヤンゴン婦人病院(写真)。赤い壁が鮮やかだが、昨年ペンキを塗り直したとのこと(写真22)。Mammographyがあった。ミャンマーでは乳がんが多く、このような機器は重要である。この機器があれば日本での研修成果を確実に発揮できる。新生児室にはたくさんの新生児がいた(写真23)。新しい命がこれからのこの国を支えていくのだ。母子保健、周産期死亡率の低下もこの国の大きなテーマである。

             
           写真22 イギリス風の建築                    写真23 新生児室

(2014.7.15、文責:内藤 眞)

BACK