このページの目次

  1. 血管性合併症
  2. 胆道系合併症

血管性合併症

血栓症

術後早期に肝動脈の血流が何らかの要因で途絶える肝動脈血栓症は重篤な合併症の一つであり、直ちに血栓除去のための処置が必要となる。外科的に血栓を取り除くため再手術になることもある。肝動脈はグラフトに及ぼす影響が大きいため危急を要するが、門脈・肝静脈などでも血栓症が起こることがある。

術後出血

末期肝疾患患者は肝機能の一つである凝固機能が低下しているため、もともと出血しやすい傾向にあるが、術後に血管吻合部や肝臓摘出の際の剥離面から出血することも多い。投薬治療しても出血が持続する場合や大量出血の時には、開腹して止血することになる。

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胆道系合併症

縫合不全

胆道再建部から腹腔内に胆汁が漏れ出してしまうことである。適切な処置で体外へドレナージ(排出)されれば問題ないが、十分でない場合には胆汁性腹膜炎となる。再手術を要することもある。

吻合部狭窄

胆汁がうっ滞することにより発熱、黄疸などが出現する。体外より胆管内へチューブを挿入し、拡張することで解決を図るが、これも開腹再手術となることがある。

拒絶反応

肝臓移植では血液型不適合移植の成功例もあり、他の臓器に比べ拒絶反応を起こしにくいといわれているが、それでも何らかの拒絶反応は起こる可能性がある。大きくは急性拒絶反応と慢性拒絶反応の2つに分けられる。

急性拒絶反応

通常移植後3ヶ月以内に発生する最も多く見られる拒絶反応で、発熱・全身倦怠感・肝機能異常などが認められる。確定診断には肝生検が必要であるが、大部分は免疫抑制剤の増量やステロイドパルス療法などで軽快する。

慢性拒絶反応

移植後3ヶ月以降に発生することが多く緩慢に進行するが、免疫抑制療法への反応が鈍く、肝細胞の繊維化・微細胆管の消失・閉塞性動脈性病変など、急性拒絶反応とは異なる様相を呈する。慢性拒絶反応に対する根本的な治療は再移植とされている。

後の研究テーマで詳しく述べるが、急性拒絶反応を回避し、免疫寛容を誘導するためドナー抗原と門脈内投与という世界で初めての試みを行っており、ABO不適合肝移植でも良好な成績を上げています。

感染症

末期の肝疾患患者ではもともと細菌やウイルスに対する抵抗力が弱く、術後は拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与されるため、感染しやすい状態にある。そのため本来なら病原性の少ない菌であっても日和見感染を起こすことが考えられる。

これに対して術前から感染源を治療しておくこと、術後の無菌的な処置、適切な抗生物質の選択などが必要となる。感染症を合併すると拒絶反応も起こりやすくなり、悪循環を招くことになる。

その他

PNF(移植肝早期無機能)、GVHD(移植片対宿主免疫反応)などもありうる。

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