疾患と治療について

当科では、所属医師を上部消化管(食道・胃)、下部消化管(大腸・小腸)、肝胆膵・移植、乳腺・内分泌の4つの専門チームに分け、常に最先端の医療を意識し、患者様により良い医療を提供できるよう診療にあたっています。各チームの行なっている診療・研究の詳細につきましては、こちらのページをご参照ください。

以下では、各チームの取り扱う疾患とその治療の大枠につき、ご説明いたします。

上部消化管チームでは、食道癌、胃癌を主な対象疾患としています。食道癌に対しては胸腔鏡下あるいはロボット支援下での食道切除術を積極的に行い、根治的かつ低侵襲な治療を行っております。また、高度局所進行癌に対しては導入化学療法・放射線治療後の食道切除も行っております。胃癌治療においても食道浸潤胃癌やスキルス胃癌など一般に難治性といわれる胃癌も積極的に受け入れる一方、術後のQOLを重視して「胃を温存する」ことを意識した、噴門側胃切除術や幽門保存胃切除術といった機能温存手術を導入して、良好な成績をおさめています。また、ロボット支援下での鏡視下胃切除術についても患者さんへの身体への負担軽減を考慮して積極的に取り組んでおります。さらに、消化管間質腫瘍(GIST)の分子標的治療においては国内有数の症例実績をもち、遺伝子分析を含めた多角的なアプローチで治療成績の分析を行っています。

下部消化管チームでは、大腸癌、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、家族性大腸腺腫症をはじめとする遺伝性腫瘍を主な対象疾患としています。炎症性腸疾患においては、難病に指定されている潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘、回腸嚢肛門吻合術では30年以上の実績がある全国屈指の施設となっております。大腸癌においては、根治性を重視する一方、低侵襲手術としての腹腔鏡補助下手術、肛門温存手術にも積極的に取り組んでいます。また、再発・転移大腸癌に対しては、新規抗癌剤、放射線照射、積極的な外科治療を組み合わせた集学的治療を行っています。遺伝子解析に基づいた治療にも力を入れておりますので、ご要望のある方は担当医までご相談ください。

肝胆膵・移植チームでは、肝臓・胆道・膵臓・脾臓・門脈に関する外科診療を行っています。悪性疾患の治療から良性疾患の治療まで、さらには膵・肝移植まで幅広い領域を担当し、患者様の治療成績向上に努めています。主として、胆道癌(胆嚢癌、胆管癌、十二指腸乳頭部癌)、肝癌、膵癌に対する手術治療に取り組み、進行癌症例に対しては拡大手術を含めた集学的治療も積極的に実施しています。胆石症や脾疾患に対する腹腔鏡下手術は、侵襲の少ない外科治療法として定着していますが、近年、肝癌や膵腫瘍の治療にも腹腔鏡下手術を導入しています。膵移植を2016年から開始し、肝移植に関しましても再開する準備が整いました。

乳腺・内分泌チームでは、乳癌をはじめ、乳腺の良性腫瘍、乳腺症、乳腺炎など、乳腺に関する疾患全般を対象疾患としています。特に乳癌は日本女性が最も多くかかる癌であり、年々増加し続けています。乳癌の治療は、手術治療、薬物治療、放射線治療が3本柱となります。私たちは、様々な分野の医師、医療スタッフと協力し、患者様に寄り添いながら最善、最良の医療が提供できるよう日々努力しています。また、併存疾患を抱えた方や病状の進行した方の受け入れも積極的に行っています。