成人心臓血管外科グループについて

グループスタッフ

名村理写真
名村理
榛沢和彦写真
榛沢和彦
青木賢治写真
青木賢治
岡本竹司写真
岡本竹司
佐藤裕喜写真
佐藤裕喜
長澤綾子写真
長澤綾子

主な対象疾患

手術風景写真
手術風景写真

当院は、国内でも古くから心臓手術に取り組んできた施設の一つであり、長い歴史の中に多くの手術実績を有しています。

成人心臓血管外科グループでは、次の様な疾患の外科治療を担当しています。

対象疾患
  1. 虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
  2. 心臓弁膜症
  3. 心臓腫瘍
  4. 胸部大動脈瘤
  5. 腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤
  6. 末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症、急性動脈閉塞症、他)
  7. 静脈疾患(下肢静脈瘤、他)

これらの疾患の多くは、加齢とともに発症する傾向があり、人口の高齢化に伴い、手術が必要となる患者様も増加しております。図1、2のように、当院でも手術症例数が年々増加しています。

手術症例数グラフ

我々、成人心臓血管外科グループでは、毎週1回、循環器内科医、放射線科医と合同のカンファレンスを行っており、患者様一人一人について、診断、治療方法に関して意見を交わし、患者様にとってより低侵襲で最適な治療方法の選択を行っています。近年、患者様の高齢化に伴い、様々な持病を持っている患者様も多くいらっしゃいます。さらに、医療技術の進歩によって治療方法も一つとは限らず、治療方法の選択に迷う患者様も多く見られます。このような場面において、我々は、患者様・ご家族に十分な説明を行い、患者様・ご家族のご意見を尊重し、治療方法の選択を行います。手術を受けられる患者様が増える中にあっても、この姿勢を貫き、患者様本位の診療を心掛けて参ります。

当グループの取り組み

【1】虚血性心疾患に対する手術

  1. 低侵襲治療であるOPCAB(人工心肺を用いない冠動脈バイパス術)を標準術式としています。
  2. 完全血行再建を目指しています。
  3. 良好な長期成績が期待できる両側内胸動脈グラフトの使用を積極的に行っています。
  4. 複合手術も積極的に行い、心機能の改善に努めています。

狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する治療は、薬物治療、カテーテル治療、冠動脈バイパス術があります。毎週行われる循環器内科医との検討会で、患者様にとって最も良い治療法を選択し、冠動脈バイパス術が最適と判断された患者様に対しては、低侵襲かつ良好な長期成績を見据えた手術を目指しています。

また、低心機能の患者様では、バイパス術のみならず、僧帽弁手術や左室形成術を併施することで更なる心機能の改善が得られるため、複合手術も多く行っています。

冠動脈バイパス手術の内訳グラフ

【2】心臓弁膜症に対する手術

  1. 可能な限り弁形成術を行い、生活の質(quality of life)の向上を目指しています。
  2. 積極的な生体弁の使用、メイズ手術の導入により、術後抗凝固療法が不要な手術を目指しています。

心臓弁膜症治療は、当科では古くから取り組んできた分野で、1965年に第1例目の人工弁置換術を行っており、長年培われてきた実績を有しております。

心臓弁膜症の手術は、人工弁置換術と弁形成術の2つの方法があります。人工弁置換術は、傷んだ患者様の弁を切除して人工弁に取り換える手術です。人工弁置換術は、心機能の劇的な改善をもたらし、優れた手術です。しかし、自己の弁を可能な限り温存し、傷んだ部分を手直しする弁形成術の方がより生理的で、心臓にとって優しい手術と言えます。また、人工弁には、弁不全や感染という、頻度は決して高くはありませんが、遠隔期の重篤な合併症の発生も見られます。従って、患者様の生活の質(quality of life)の面からは、弁形成術の方がより良い手術と言うことができます。また、心臓弁膜症治療を考える上で重要な問題の一つとしてとして、血液をサラサラに保つためのワーファリン内服の問題があります。ワーファリン内服は、食事に制限が必要なこと、併用薬の影響を受けること、定期的に医療機関を受診しなければならないことなど、患者様によっては、生活の質(quality of life)が低下することがあります。

当科では、心臓弁膜症の手術方針を決定する際に、quality of lifeの向上を重視しています。弁形成術は、僧帽弁閉鎖不全症が最も適応となる疾患で、当科では可能な限り僧帽弁形成術を試みています。また、人工弁選択においては、生体弁を選択することで、ワーファリン内服を回避できる可能性が高まるため、高齢者では生体弁を第一選択としています(図6)。一方で、生体弁は劣化の問題があり、15年程度での再手術の必要性も考えなくてはならず、大動脈弁置換術において、現在のガイドラインでは、65歳以上での使用が推奨されています。しかし、65歳以下の若年者程、quality of lifeの向上を重視すべきこともあり、当科では、再手術の可能性などのデメリットも充分説明した上で、同意して頂ける患者様には、若年者にも生体弁を用いた大動脈弁置換術を行っています(図6)。また、ワーファリン内服回避の達成には、不整脈の一つである心房細動を洞調律に復帰させることも重要です。当科では、心房細動を伴う心臓弁膜症手術では、心房細動に対する手術であるメイズ手術をほぼ全例に行っています。

大動脈弁置換術で使用した人工弁の弁種グラフ

【3】大血管に対する手術

1.(真性)胸部大動脈瘤、(真性)腹部大動脈瘤に対する手術

  1. 低侵襲治療であるステントグラフト治療を積極的に行っています。
  2. ステントグラフト治療では、診断から治療方針決定、手術に至るまで、放射線科専門医(カテーテル専門医)と共に行っています。
  3. 動脈瘤破裂にも積極的にステントグラフト治療を導入しています。

人口の高齢化と診断技術の進歩が相俟って、動脈瘤は近年、特に増加している疾患の一つです。かつて、動脈瘤の手術と言えば、開胸、開腹を要し、胸部では人工心肺装置も必要とするなど患者様にとって負担が極めて高い手術しかありませんでした。しかし、1990年代初頭から患者様への負担が少ないステントグラフト治療が開発され、2008年本邦での企業製造ステントグラフトの薬事承認後、爆発的にステントグラフト治療が普及してきました。

当科は、全国でも特に積極的にステントグラフト治療を行っている施設の一つです(図7,8)。ステントグラフト治療は、これまで我々外科医が行ってきた手術治療と放射線科専門医(カテーテル専門医)が行ってきたカテーテル治療の融合です。当科では、動脈瘤患者様の診断から治療方針決定、手術のプランニング、実際の手術施行に至るまで、放射線科専門医と共に行っています。これが、当科で動脈瘤治療の殆どをステントグラフト治療で行うことができる所以であり、お互いがこれまで培ってきた知識、技術を発揮することで、より困難な患者様に対してもステントグラフト治療を可能としてきました。ステントグラフト治療を行うことによって、これまで開胸・開腹手術では適応にならなかった高齢者や合併症を有する手術患者様も増えています(図9)。また、動脈瘤の破裂は極めて死亡率の高い病態で、従来の開腹、開胸による手術は非破裂状態の手術よりも一層、患者様への負担が大きくなります。そのため、動脈瘤破裂こそ、ステントグラフト治療の低侵襲性が発揮される病態と我々は考えており、積極的にステントグラフト治療を行い良好な手術成績を達成しています。

胸部・腹部大動脈瘤手術の内訳グラフ
動脈瘤手術症例の年齢分布グラフ

2.大動脈解離(解離性大動脈瘤)に対する手術

  1. 迅速に緊急手術を行います。
  2. 迅速なCT診断の下、適応症例には低侵襲治療である緊急ステントグラフト治療も行っています。
StanfordA型大動脈解離
救命のために、緊急的に上行(弓部)大動脈人工血管置換術が必要な疾患です。当科では、救急部、手術部、臨床工学技士と緊密に連携を取り、他院からの紹介患者様も含め、速やかに緊急手術を行うことが可能です。但し、上行(弓部)大動脈人工血管置換術は超低体温脳分離体外循環という特別な人工心肺の方法を必要とし、患者様にとっては、最も負担が大きな手術といっても過言ではありません。しかし、Stanford A型大動脈解離の中には、CT画像を詳細に解析することによって、低侵襲治療であるステントグラフト治療が可能な症例があることが判ってきました(図10)。当科では、救急の現場においても放射線科専門医(カテーテル専門医)と連携を取り、CT画像を検討し、可能な症例にはステントグラフト治療を行い、患者様の負担軽減に努めています。
Stanford B型大動脈解離
従来は、破裂、臓器虚血、瘤径拡大など急性期に症状を有する特別な患者様を除いて、殆どの症例で内科的治療(降圧療法)が行われてきた疾患です。しかし、Stanford B型大動脈解離では、瘤径が徐々に拡大する患者様が存在し、慢性期の大きな問題となっています。当科では、急性期に症状を有する患者様のみならず、将来の瘤径拡大予防を見据えて、無症状であっても急性期から亜急性期、患者様によっては慢性期にもステントグラフト治療を行っています。
Stanford A型急性大動脈解離に対するステントグラフト治療写真

【4】末梢血管疾患

末梢血管疾患の多くを占める閉塞性動脈硬化症の治療はまず、運動療法、薬物治療が試みられ、効果が得られない患者様では、カテーテル治療、バイパス手術などの外科的治療が選択されます。また、カテーテル治療とバイパス手術を組み合わせるハイブリッド手術を行うこともあり(図11)、より複雑な病変に対しても充分な治療効果が得られるようになりました。

当科では、ステントグラフト治療と同様に、放射線科専門医(カテーテル専門医)と意見を交換しながら、外科的治療の内、患者様に最適な方法を決定しています。

閉塞性動脈硬化症に対するハイブリッド治療写真

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