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ファブリー病について

概要

ファブリー病はリソソーム酵素であるα-ガラクトシダーゼA(GLA)の遺伝子変異によるX連鎖性遺伝性疾患です。変異GLA酵素の活性は低く、基質である糖脂質グロボトリアオシルセラミド(Gb3 注1)やグロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-Gb3 注2)が分解されずに全身臓器の細胞のリソソームに蓄積し細胞障害を引き起こします。
GLA酵素が全身性に欠損するにもかかわらず、機能障害の起こりやすさは臓器によって差があります。特に心障害と腎障害は予後に関わり早期死亡を引き起こします。
臓器に重大な損傷が生じる前に診断が下されれば、病態の進行を遅らせる機会を得られます。
臨床医がファブリー病を診断するためには臨床的な疑いと、ファブリー病に特徴的な症状およびそれに類似した症状を伴う他の疾患に関する十分な知識が必要です。

図1 グロボトリアオシルセラミド(Gb3)、グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso-Gb3)

注1)グロボトリアオシルセラミド(globotriaosylceramide: Gb3)
Gb3はセラミドに糖鎖が結合した両親媒性分子です(図1)。すべての脊椎動物の細胞に存在します。
小胞体、ゴルジ体で糖鎖が付加され合成されたGb3はリソソームへと運ばれます。リソソーム内でGLAが糖鎖を加水分解することで代謝されます。ファブリー病ではこのGLAの働きが低下するため合成されたGb3が分解されず蓄積が進んでしまいます。
臓器に過剰蓄積したGb3は血中・尿中へ排出されます。血中Gb3値・尿中Gb3値を調べることは診断・治療の指標の一つになります。

注2)グロボトリアオシルスフィンゴシン(globotriaosylsphingosine: lyso-Gb3)
Lyso-Gb3はGb3のセラミド部分から脂肪酸が外れ、より親水性を増した糖脂質です(図1)。
血中lyso-Gb3値は血中Gb3値の約1000分の1ですが、ファブリー病患者の血中lyso-Gb3値は、ファブリー病でない対照者の血中lyso-Gb3値よりも高いことが多く、診断の指標として有用です。

古典型と遅発型

ファブリー病は表現型から古典型と遅発型に分類されます。
● 古典型(幼年期から前期思春期に発症)
● 遅発型(成人期に発症)
古典型と遅発型では臨床所見が異なるため、区別をして診断にあたる必要があります。

表現型の分類

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ファブリー病の研究に取り組んでいます

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