教授挨拶
新潟大学救命救急医学講座は、皆さんと一緒に世界最先端の救急
集中治療の実現を行っていきたいと考えています。
- 初期診療(ER)と集中治療(ICU)との双方が実行できる医師を育成します
- 幅広いサイエンスから世界に向けてイノベーションを発信し、世界をリードする救急集中治療モデルを新潟医療圏に導入します
- 教えあい、学びあう、多様性を大切にしたチーム医療を展開します
- 「世帯を支える」視点で、柔軟かつ持続可能な労務設計を行います
初期診療(ER)と集中治療(ICU)との双方が実行できる医師を育成します
社会構造の変化・医療技術の進歩に伴い、臨床システムは急速に変化し、さらに情報通信科学や人工知能の進歩はその変化を加速度的に早めています。在宅医療の推進は緊急入院の割合を増やすこととなり、高齢化により多臓器障害や合併症を有した重症患者は増加の一歩です。このような背景の中、急性期疾患に対し領域横断的診療を行い、重症管理も行うことができる救急集中治療医への社会の要請は日増しに高まっています。 我が国の救命救急センターは外傷センターから始まり、外傷医や麻酔科医が中心的存在となりICUでの集中治療を行ってきました。一方、同時期に北米では主としてERでの初期診療を行うER physicianが確立し、現在では我が国でも多くのER physicianが活躍しています。このような急性期疾患への診療において初期診療(ER)と集中治療(ICU)とを継続的かつシームレスに行うわが国のスタイルは世界的に見ても先進的であり、COVID19パンデミックにおいてもその力が十分に発揮されています。 進まれる診療分野に関わらず、これから急性期医療を行っていくには初期診療(ER)と集中治療(ICU)との双方が実行できることが絶対に必要です。新潟大学には、救命救急医学講座を中心に救急部・高度救命救急センター・集中治療部・ドクターヘリが一体化し、診断(ER)から治療(ICU)までを一貫して実行できるシステムが整備されています。私たちは、この恵まれたフィールドを活用し、初期診療(ER)と集中治療(ICU)との双方が実行できる医師を育成していきたいと考えています。 いま、世界中で多くの救急集中治療の仲間がこの新しい領域を確立していこうと活動を始めています。新潟大学救命救急医学講座は、皆さんと一緒に世界最先端の救急集中治療の実現を行っていきたいと考えています。
世界に向けてイノベーションを発信し、世界最先端の救急集中治療モデルを新潟医療圏に導入します
私はこれまでも、データサイエンティストと共同での臨床データ解析、工学者との医療機器開発、再生医学者との新治療法開発、物理学者や数学者との人工知能を用いた診断法の開発などを行ってきました。このように、生物学にとどまらず、工学・数学・社会学・倫理学など幅広いサイエンスに基づき、救急集中治療医学におけるイノベーションを進めます。 さらに情報通信科学や人工知能などを応用し、人口200万人の新潟医療圏に「世界」と「地域」とをダイレクトに繋いだ世界をリードする救急集中治療の地域モデルを創生していきたいと考えています。
「Diversity & Inclusion」、「教えあい、学びあう」をモットーに新しいチーム医療を構築します
COVID19パンデミックは人間性の戦いであると思います。実にCOVID19パンデミックにより私たちが再び学んだことは、救急集中治療がカバーするべき範囲は余りに広く、深いものであり、この分野を一個体がカバーすることは不可能であることです。この余りに大きな分野を克服していくには、diversity(多様性)を持ったヒューマン・ネットワーキング以外に方法がありません。 情報技術の進歩は知識や技術の陳腐化のスピードを早め、私たち医療者は早すぎる医療の進歩にどう対峙していくのか、大きな課題を負っています。そのためにも、いかに自分たちと異なる個体とcivility(礼節)を持って向き合いそこから学びを得るか、いかに大学というフィールドを活用し各分野のエキスパートと協調し、「教えあい、学びあっていく」かは、私たち救急集中治療医にとっての最大の挑戦のひとつです。このような、diversityを大切にした頑強でしなやかなプロフェッショナル・チームこそ、私たちが目指しているものです。
「世帯を支える」視点で、柔軟かつ持続可能な労務設計を行います
医療者は医療の主体であるとともに、育児・介護など社会的弱者を扶養する主役でもあります。時代の要請により、多くの医療者がこの二つの役割をともに果たさなければならない状況が生じています。私たちは、医療者個人のみならず、その世帯全体を支えるという視点で労務設計を行っていきます。 新潟大学病院ではいち早く完全交代勤務制による診療スタイルを確立し診療を行っています。さらに労働集約性を向上させ、チーム医療のスキルの向上を図り、制度やルールを整備することにより、医療者を取り巻く多様な環境変化に対応できるような柔軟かつ持続可能な診療システムを構築しています。
教授略歴・主な役職
現職
新潟大学 大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野 教授
福井大学医学部客員准教授
略歴
- 1995年
- 京都大学医学部卒業
- 1997年
- 小倉記念病院 循環器科 医員
- 2004年
- 京都大学 循環器内科 医員
- 2006年
- 京都大学 初期診療・救急科 特定病院助教
- 2011年
- 京都大学 初期診療・救急科 講師
- 2015年
- 国立病院機構京都医療センター 救命救急センター長
- 2021年
- 新潟大学大学院医歯学総合研究科 救命救急医学分野 教授
学会活動
日本救急医学会
- 評議員、専門医、指導医
- 脳死・臓器組織移植に関する委員会(委員)
- 学会主導研究評価特別委員会(委員)
- 救急AI活性化特別委員会(委員)
日本集中治療学会
- 専門医
- CCU委員会(委員)
- 社会保険対策委員会(委員)
- 臨床研究ワーキンググループ(委員)
日本内科学会
- 認定内科医
日本循環器学会
- 専門医
- 蘇生科学小委員会(委員)