新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

HOME > Sun Ship通信 > 済生会新潟第二病院 近況報告

Sun Ship通信

済生会新潟第二病院 近況報告

済生会新潟第二病院
副院長
消化器内科 本間 照

 済生会新潟第二病院の前身は、「医療を受けることができないで困っている人たちに施薬救療の途を講ずるように」という明治天皇の「済生勅語」を受けて、昭和2年に新潟診療所として新潟市田町に開設されました。その後早川町に移転し、昭和35年には総合病院となりました。しかし、昭和39年6月の新潟地震により壊滅的打撃を受け病院機能は全面的に停止に追い込まれました。全職員の懸命な努力と、地域の方々にも支えられて7月には外来診療再開、昭和40年2月には121床の緊急病棟が建築されました。昭和48年には279床の病床と特別養護老人ホーム50床を併合し総合病院として稼働してきました。歌川亨一先生(S43)、本間 明先生(S50)が、当時大歓楽街であった古町を支えて?いらしたのです。
 やがて、狭隘な敷地において施設の老朽化も激しくなり、他の地により充実した医療設備を有する総合病院建設が求められました。平成3年7月新潟市西区(旧西蒲原郡黒埼町)寺地に現在のA棟 地上10階350床が建築されました。尾崎俊彦先生(S47)、本間 明先生がこの時代に済生会新潟病院の消化器診療の基礎を作られたのです。さらに平成11年12月にB棟 地上5階150床の増築が行われました。平成12年1月時点で済生会に勤務していた同門会の先生は、上村朝輝(当時副院長)、吉田俊明、太田宏信、真船善朗、古川浩一、福原康夫の6名の先生がたでした。医療人として日本社会の成熟へどのように貢献できるのか、「心」ある医療を目指し、「命」を支え、救い、看取ることに職員と一緒に懸命に努力すること(済生会新潟第二病院 病院誌第4巻, 2007年 院長巻頭言)という上村先生の理念は、吉田院長にも引き継がれ、「地域医療構想、病床の機能分化」とかまびすしく喧伝されている今日現在にも、我々が常に立ち返るべき精神として大切にされています。
 現在許可病床数は427床(平成28年4月から一般病床364床、回復期リハビリ病棟42床)、診療科は22科目です。職員数は780名、医師84名(臨床研修医16名)。消化器内科は院長 吉田俊明(S53)、検診センター 須田陽子(S56)、石川 達(H4)、関 慶一(H4)、岩永明人(H16)、佐野知江(H16)、野澤優次郎(H17)、今井径卓(H17)、佐藤裕樹(H19)、高 昌良(H26)、本間 照(S59)です。大学医局との綿密な連携をもとに、日本内科学会認定医制度教育病院、日本消化器病学会認定施設、日本消化器内視鏡学会指導施設、日本肝臓学会認定施設になっています。恵まれた人材のお陰で、毎日消化器再来外来が3診、消化器新患外来が1診立ち、さらに内科新患外来に我々消化器内科医が週2回貢献しています。平成27年度消化器内科外来を受診した患者実数は25,548人(実患者数6,790人)で、毎日ほぼ100人以上の消化器外来患者さんを診ています(病院全体の1日当たり患者数は 外来939.2人、入院345.3人)。救急車受け入れ件数は542台、入院となったのは199件でした。
 内視鏡室は3台並列で、健診、ドックも一般患者さんと一緒に受けていただいています。透視台は1台なので、気管支内視鏡とうまく住み分けるよう工夫しています。昨年度は上部消化管検査件数が5572件、下部1643件、治療内視鏡773件でした。
 肝疾患については、劇症肝炎では早期に組織学的診断のため経頸静脈的肝生検(TJLB)を施行し、原因治療と同時に腎臓内科と協力し血漿交換・血液濾過透析を組み合わせた集学的治療を行っています。胃静脈瘤に対してはBRTOバルーン閉塞下逆行性静脈瘤塞栓術を行い、血小板減少が高度な症例では、部分的脾動脈塞栓術を併用し、再発抑制を含め、良好な成績を上げています。肝臓がんに対しては、肝硬変の合併症を管理しながら肝動脈塞栓術(TAE)、経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)を中心に治療を行なっています。TAE時にはCone-beam CTを中心にしたCT angio所見をもとに確実な画像診断下に治療しております。また、通常超音波で描出困難な部位に存在する肝臓がんに対する克服として人工腹水・胸水下にてRFAを施行し、さらにCT画像と超音波をリンクさせるFusion技術、Navigation技術により良好な治療成績をあげています。
 平成27年度消化器内科退院患者数は1,202人でした。豊富な症例から、多くの希少疾患をも経験することができ、大学との連携を取りつつ病態の解明、新たな治療戦略の検討にも繋げていきたいと思っております。
 さて、新潟済生会発祥の地である田町、早川町ですが、この辺りは新潟島の下町(しもまち)と呼ばれ、北前船の寄港した湊町新潟の風情を色濃く残す地域として、近年再整備が行われています。済生会新潟内科診療所、新潟県済生会特別養護老人ホーム康和園があり、しもまち地域連携ネットワークの一員として活動しています。このしもまちネットワークは、国が進めている、地域包括ケアシステム、在宅医療・介護連携推進事業の先鞭をつけるものとして、そのモデルにもなりました。第二病院は、平成28年4月から新潟市在宅医療・介護連携ステーション西を受託しました。今後一層加速する高齢化社会に向けて、最期は自宅で迎えたい、ギリギリまで自宅で過ごしたい、という願いを叶えるため、地域に合わせた「まちづくり」のお手伝いも、私たちの大切な仕事と考えています。

 ところで、新潟県最強心霊スポット10選に選ばれている当院7階ですが、現在不妊治療に関わるART(生殖補助医療)、医療安全管理部、診療支援室などが置かれています。私も当院に来て7年目になりますが、たった一回だけ怖かったことがありました。あれは忘れもしない平成23年3月12日の深夜、呼ばれて9階の病棟へ上がるエレベーターに一人で乗っている時でした。7階あたりで突然ガタガタガタ、と揺れだしたではありませんか。これが噂のポルターガイストか、えーぃ、来るなら来てみろ、魑魅魍魎め。強がってみたものの、エレベーターが止まり扉が開いたら、一体どんな風景が待ち構えているのか、生きた心地がしませんでした。悪魔の棲む家に繋がっていくのか、それとも星に囲まれた透明な宇宙空間に放り出されるのか、はたまた光り輝くお花畑なのか。 … はい、いつもの9階病棟のロビーが待っていてくれました。
 しかしどうして7階に普通の病棟がないのでしょうか? その答えはまた後で。

済生会新潟第二病院へのリンクはこちら

学会認定
日本内科学会認定医制度教育病院
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会指導施設
日本肝臓学会認定施設

主な検査、治療件数  2015年度
消化器内視鏡:上部消化管内視鏡検査 5572例、下部消化管内視鏡検査 1643例
内視鏡的逆行性膵胆管造影 222例(治療を含む)
上部消化管治療内視鏡 ESD:食道5例、胃:84例
下部消化管治療内視鏡(EMR) 646例
上部消化管内視鏡的止血術 62例、下部消化管内視鏡的止血術 24例
上部消化管ステント留置術 10例、下部消化管ステント留置術 17例
超音波内視鏡検査 142件(EUS-FNA 17例)
内視鏡的食道静脈瘤治療 EIS:11例、EVL 29例
肝細胞癌治療:カテーテル治療 195例、ラジオ波焼灼療法 221例

病院全景

病院全景

スタッフ

消化器内科スタッフ

同門会の皆様へ