新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

新潟県立新発田病院 近況報告

新潟県立新発田病院
内科部長
夏井 正明

歴史ある病院
 新潟県立新発田病院は新潟市の東約27kmに位置し、JR白新線を利用した場合の所要時間は新潟駅から新発田駅まで30分、新発田駅西口から病院まで徒歩3分です。当院は明治18年に陸軍衛戊病院として新発田城跡に創立され、昭和20年に国立新発田病院、昭和28年に新潟県へ移管され新潟県立新発田二の丸病院、昭和34年に新潟県立新発田病院と改称されました。昭和28年~34年と昭和50年~58年の2度にわたり大規模な増改築が行われ、平成18年11月に現在の新発田駅前に新潟県北の救命救急医療と高度先進医療を担う基幹病院として新築移転されました。
好評な臨床研修
 病床数は478床で11階建ての近代的な建物の中に内科、外科を含む23の診療科が配置され、現在勤務する医師は104名です。CT 2台、MRI 2台、血管造影装置 2台、RI装置、リニアック、結石破砕装置などを保有し、平成28年度にはPET/CTが導入されました。設備ではありませんが、職員の福利厚生施設として未就学児童を対象とした院内保育所「すまいる保育園」が設置され、女性医師や看護師が安心して働ける配慮もなされています。これらの人員と設備を背景に年間約6000件の救急搬送を受け入れ、県北の最後の砦として急性期医療に貢献しているだけでなく、地域がん診療連携拠点病院、エイズ治療の拠点病院、臨床研修指定病院、地域医療支援病院などの指定を受け、高度医療から地域連携までの幅広い責務を担っています。また、当院は臨床研修医のみなさんの教育に大いに力を入れています。多くの科の症例を偏りなく経験できるように消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科+代謝内分泌内科、血液内科、神経内科、放射線検査科、外科、整形外科、脳外科、産婦人科、麻酔科、小児科、精神科、救急救命科、地域医療(県立坂町病院)の16分野を5週ずつ研修した後に希望する科を20週選択するスーパーローテート方式を採用しています。この方式と主体的に考えながらも上級医のバックアップ下に安心して豊富な症例を経験できる救急当直、そして何よりも研修医のみなさんの視点に立った思いやりのある指導が好評で、マッチングは現在の新臨床研修制度が始まって以来14年連続でフルマッチしています。
豊富な胆膵内視鏡
 消化器内科医師は全員が新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野からの派遣医で塚田芳久院長(S54年卒)を筆頭に、渡辺雅史(S60年卒)、松澤 純(H4年卒)、津端俊介(H10年卒)、影向一美(H13年卒)、佐藤聡史(H17年卒)、小林雄司(H22年)、岩澤貴宏(H27年卒)、夏井正明(H元年卒)の9名です。肝疾患の診断・治療に関してはH27年度にコーンビームCT搭載の最新型DSA装置が導入され、血管の3D-DSA画像をナビゲーションとして肝細胞癌に対する迅速かつ的確なTACEが可能となりました。また、近隣の開業医の先生や調剤薬局のスタッフの方々にウイルス性肝炎の情報をアップデートする活動もしています。内視鏡室は4つの検査室から成り、うち2室はX線発生装置を備えているため透視が必要な検査や治療を並列で行うことが可能です。内視鏡室と放射線科所属看護師が常に救急当直に配置されるため夜間であっても速やかに内視鏡的止血術、内視鏡的経鼻胆管ドレナージ、経皮経肝胆管ドレナージなどの緊急処置を行うことができます。毎年の上部消化管および下部消化管内視鏡検査数はそれぞれ3300件および1800件前後です。当科の特徴としては近隣の病院から多くの胆膵疾患を有する患者さんをご紹介いただくため胆膵内視鏡検査・治療件数の多いことが挙げられます。ERCP関連手技件数は5268件/10年、EUS関連手技件数も1013件/5年と県内屈指の件数であり、若手消化器内科医の胆膵疾患に対する診断能力と治療技術の向上には絶好の環境です。研修医のみなさんの教育に関しては今年度から当科で研修する5週間で「いかに消化器内科研修を充実させ、消化器内科の面白さを伝えるか」をコンセプトに1. 腹部エコーのやり方、2. 内視鏡所見の読み方、3. 肝機能障害の考え方、4. 膵炎の診断と治療の仕方の4テーマについてはじめの2週間で各々1時間ずつのレクチャーを始めました。以上、簡単ですが当科の紹介をさせていただきました。今後とも研修医のみなさんや若手消化器内科医の先生方の育成に尽力したいと考えております。

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学会認定
日本内科学会認定医制度教育病院
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会指導施設

主な検査、治療件数  2016年度
消化器内視鏡:上部消化管内視鏡検査 3336件、下部消化管内視鏡検査 1967件
内視鏡的逆行性膵胆管造影関連手技 550件
上部消化管ESD 147件(食道6, 胃141)
下部消化管治療内視鏡(EMR) 754件
超音波内視鏡検査 167件、超音波内視鏡下穿刺吸引術 32件
上部消化管内視鏡的止血術 96件、下部消化管内視鏡的止血術 26件
内視鏡的食道静脈瘤治療 29件、内視鏡的食道静脈瘤結紮術 5例
内視鏡的食道ステント留置術 4件、十二指腸ステント留置術 6件、大腸ステント留置術 27件
内視鏡的胃瘻造設術 49件、カプセル内視鏡 10件

肝細胞癌治療:カテーテル 50件,ラジオ波焼灼術 19件
経皮的胆道治療:経費経肝胆管ドレナージ 41件、経皮経肝胆嚢ドレナージ術 40件、経皮経肝胆管ステント留置術 15件

病院全景

病院全景

内視鏡室

内視鏡室

血管造影室

血管造影室

内視鏡X線室

内視鏡X線室

スタッフ

スタッフ

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