新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

新潟県厚生農業協同組合連合会 豊栄病院 紹介

新潟県厚生農業協同組合連合会 豊栄病院 院長
関 慶一
2025年1月7日

豊栄病院の現状と近況をお伝えいたします。
当院が立地する新潟市北区は、阿賀北地域にあり新潟と新発田の医療圏の境界にあります。面積は新潟市の8区中で2番目と広大で人口は約7万2千人、人口密度は677人/km²で中央区の1/7です。この地域は農業が盛んで美味しい産物が育つ果樹園や田畑が広がっています。そのおかげで産直市場はいつも新鮮な野菜や果物があふれていてとても楽しいです。特にトマト、なす、スイカは「推し」です。海に面しては松浜漁港、キャンプ場もあります。川は大河の阿賀野川、湖沼は福島潟でラムサール条約湿地登録を目指しており、自然豊かなまちです。第一次産業が盛んで大家族が多いためか、地区ごとの神楽や祭事も盛んで歴史と伝統の息づく地域コミュニティーがしっかりと残る興味深い地でもあります。地域医療を展開する病院には、社会の共通資本として人々の生活を支える役割がありますがそれが根付くネットワークがある地域と考えています。

北区はご多分にもれず高齢者率は約30%と高く、人口の粗密がみられることも地域の特徴です。2050年までに総人口は50,000人を割り込みますが75歳以上の高齢者は13,000人と現在とあまり変わらず2020年を100とした医療需要指数は85へ漸減しますが、介護需要指数114と漸増高値を維持する予想です。(日本医師会 地域医療情報システムより)

豊栄病院はこの北区の真ん中あたりにあります。アクセスは日本海東北自動車道の豊栄新潟東港ICから5分、新新バイパスの競馬場ICから10分、電車でも特急も止まる豊栄駅から徒歩2分と、新潟市の中央から1時間もかからない良い場所です。車通勤も運動兼ねての電車通勤も可能です。心身を癒す効果を期待できる温泉所の月岡までは、車で30分程度も走ればたどり着きます。

病床は199床で北区唯一の内科系の地域密着型病院です。地域のかかりつけ医機能を期待されており、急性期病棟1つ,地域包括ケア病棟2つ、障碍者病棟1つの全4病棟の入院病棟を有し、小児と産婦人科を除く一般診療をはじめ、高齢者救急、保健・予防活動、また近隣の20以上の介護福祉施設の後方支援などを担っています。医師は内科9名、外科3名、歯科1名、整形外科1名、エルダー医1名、神経内科1名、健診3名(うち非常勤1名)、加えて外来部門には非常勤医による循環器内科、眼科、もの忘れ外来、心療内科、皮膚科、泌尿器科があります。患者数は外来が一日平均320名程度、入院患者は内科と外科、整形外科、眼科で一日平均160名程です。内科は外来・入院とも自身の専門性のみならず科横断的に対応しています。

この様にこじんまりとした病院ではありますが、運営に関しては設置場所の地代の借金もなく、これまでは大きな設備投資がなかったため固定費が抑えられて、200床以下の病床規模からも大きな黒字になりませんが大赤字も出さない施設でした。しかしながら昨年秋に電カルを導入したことが大きな負荷となり、昨今の物価上昇、光熱水費の上昇、施設老朽化整備、各種のDX関連施設整備なども相まって頑張りが必要なところにいます。

さて、当院の消化器内科医ですが、写真のごとく宮島前院長と小林医師、相羽医師、工藤医師、健診の非常勤に杉谷先生に私という構成です。上部消化管内視鏡検査は、大学から冨永先生の助勤を頂きつつ、年間6,500件超、下部消化管内視鏡検査は900件超行っています。さらに年間の60件程度の処置ERCPや経皮的胆道ドレナージに加え、胃のESDも年間60件程度行っており、概ね消化器内科の処置には対応してきています。
当院では消化器診療はもとより一般内科診療も経験できて、又、外科との連携もしやすい環境です。

宮島前院長は内科医としての外来、入院、在宅診療と部下そこのけのご活躍中。小林先生は当院での勤務歴が宮島先生に次いで長く、その人柄からも担当患者数が一番多いと思っています。肝臓系から胃瘻造設、超音波下の穿刺処置など中心的な存在です。工藤先生は育児しながら、昨年内科専門医の試験に合格しましたし、時短勤務でありますが真摯に診療に取り組んでくれており、私の新患外来があふれるとそっと診てくれる仲間想い、優れた感覚の頼もしい臨床家です。時間できたらピアノを弾いて皆を楽しませてくれると嬉しいです。相羽先生は子育て期で当直免除以外はフル勤務ですが、他科の先生から患者相談を受ける窓口になってくれています。多くの患者対応と処置の経験も積み、元々努力家でもあるので当院赴任の頃より内視鏡操作もESD、ERCPも修得してぐっと成長されました。内視鏡検討会の司会もしてくれて助かります。杉谷先生はご実家の医院と掛け持ちで当院では非常勤健診科医としての業務と上部内視鏡検査を担当してくださっています。早期胃癌などの病変発見数は、間違いなく当科で一番多いです。内視鏡検討会でも積極的に発言してくださり皆の勉強になります。私は新米院長で多くのことはできていませんが、折々の寺井教授のお言葉にありますように、職員が自らの仕事にやりがいと誇りが持てるような、職場づくりが目標です。女性医師のキャリア支援も豊栄という地の利を生かして整えていけるのではないかと思っています。消化器診療を自身のキャリアの基本に持ち、広く患者を診る、地域を見る、そして社会をもみる先生のご参入を当院は求めています。

最後に寺井教授を始め大学の先生方、地域の先生、多くの関係者のご支援、協力あって地域病院の運営は成り立っておりますこと感謝申し上げます。これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

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