新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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留学だより

バーミンガム大学留学記(4)

 早いもので英国バーミンガム大学での留学が2年を終えようとしております。皆様ご承知の通りにCOVID19の流行により、特に英国は大きな被害があり、自分の研究および生活も大きな影響を受けました。研究進歩については残念ながら当初の予定からは50-70%の達成率でしたが、制限のあるなか自分なりに精一杯やり切りました。内容はある程度論文として体制が整えるものになりましたので今後論文作成に移っていきたいと思います。

留学についてですが、非常に良い経験でした。いくつか良かった点を挙げてみます。

1)世界レベルを経験できた。

 大学内、イギリス内、国外から研究者が定期的に発表を行い、討論を行っており、居るだけで先端技術、知見をうかがい知ることができました。イギリスの研究室は世界中から留学生、指導者や教授が集まっているため、生え抜きの英国人はおよそ半数ほどです。そのため、イギリスからのデータや発表、論文はむしろ世界の中心から発信されているといっても過言ではないと思います。Fig1は2月11日に行った若手研究者のみの定期発表会。2年分のまとめをオンラインで発表させてもらいました。その際にもJournalの査読者から指摘されるような有意義な指摘をうけました。

2)英語の垣根が下がった。

 自分の英語力は留学前から低かったものの2年たった今でも非常に低いです。ですが上記でも書いたように世界中から人が集まっていますので、英語の多様性もまた受け入れられています。正確な発音は必要ありません。英国内でもスコットランド訛りは有名ですが、バーミンガム訛りもまた非常に有名で、正直言いますと地元の方の日常英会話は全く理解できませんでした。日常生活もセルフレジが浸透していることもあり会話0で済ますことも可能です。英語のために留学しない理由はないと思います。

3)新しい文化と出会う楽しみを知った。


 茶器メーカであるWedgwood本店でハイティーを楽しんだり(Fig.2)、日曜午後からPUBでローストビーフとビールを楽しんだり、主に食方面で英国を大いに楽しみました。多くの風評通り、イギリスの中華とインド料理はレベルが高く、特に中華料理は上司が台湾人であったこともあり帰国後に恋しくなりそうです。

4)日本の良いところが認識できた。

生活面の利便性は比べる必要もありません。研究面に関して、1)に書いたようにイギリスからの論文はほぼ世界選抜です。一方で日本からの臨床データはほぼ日本人による日本人からのデータです。さらに専任よりも兼任で行っていることが多く、それでもUK,USなどの世界選抜と戦っていることから個々のレベルの高さがうかがえます。

5)家族との時間が多く取れた。

マウスの体調が悪く祝日に動物舎から呼ばれることが2年間で2回ほどありましたが、ほぼ平日は9時から17時、休日の出勤は0でした。留学開始直後に長男が生まれたこともあり、家族で過ごす時間が多く取れたことは良いことでした。休日にはロックダウン前にはイギリス各地へ出かけ、高橋先生と合流したり、名所旧跡を訪ねたりできました。

 医師不足が懸念される新潟から2年間という少なくない期間、臨床から離れさせていただきました。このような機会をいただきまして、当科の寺井崇二教授はじめ、医局および同門の先生への感謝の念は絶えません。
 英語もろくに話せず、論文もほとんどない状態で渡英させていただきました。奨学金をいただきました新潟県医師会にもこの場を借りて感謝申し上げます。今後はこの経験を活かし、消化器領域のみならず、新潟の医療および研究の発展、学生や医師への留学へのアドバイスなどで貢献できればと思います。

最後に留学について興味がある方がいれば、一言
  やらぬ後悔よりやる後悔
ぜひ一歩進んでみてください。

木村成宏 記

同門会の皆様へ