新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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留学だより

ハーバード大学留学記(5)

 早いもので、渡米後2年が経過しようとしています。2021年3月中旬には帰国を予定しており、総まとめとして今回の留学記を書いていこうと思います。

 2020年6月末、3か月に渡るロックダウンが明け、職場および子供のchild careがオープンとなりました。しかしながら、ラボのオープンの割合は33%から(5日間働いて10日間在宅ワーク)であり、動物実験も開始が許されませんでした。また、週一回のコロナウイルスPCR検査が義務付けられ、厳戒態勢での幕開けとなりました。

 夏には感染がやや収束し、動物実験などもスタートすることができたのですが、秋以降に感染が爆発。アメリカ国内でのCOVID-19感染者は多い日で一日に30万人を超え、それによる死者も一日に5000人を超えることもありました。
 私の住んでいるボストンはマスク着用が義務付けられており、違反すると$500の罰金となります。スーパーなどでも入店制限があり、約2メートル離れた状態で長蛇の列を作り、並ぶのが嫌いなアメリカ人も辛抱強く待っています。また、レストランなどは店内での飲食および21時30分以降の営業が禁止され、あっという間に平和な日常は奪われてしまいました。
 COVID-19の足音は徐々に大きくなり、隣のラボのメンバーなどが感染したというメールが頻繁に流れるようになりました。2020年12月には娘のchild careの担任の先生が感染し、child careは2週間閉鎖となりました。「ついにこの時が来たか」と覚悟しましたが、幸い、私および私の家族は無事であり、心からほっとしています。

 このような状況の中で仕事をするのは、正直かなり辛く、何度も心がくじけそうになりました。しかし、三密を避けてのマサチューセッツ州内旅行やハロウィーンなどのイベントを楽しむことができたのは、心の負担を取り除くのに大きく役立ちました。

 2021年1月末、なんとか全ての実験を終え、今は論文執筆を行っています。ここにいた証を残すためにも、是非かたちにできればと思っています。

 COVID-19、Black Lives Matter、大統領選など、この2年間は本当にいろいろなことがありました。個人的に最も大きな収穫だったのが、よい人々(Mitragotri教授、ラボの優秀なメンバー、留学中の多くの日本人)と出会えたことです。ここで出会った人たちはみな魅力的で、自分の人生観にも少なくない影響を与えてもらいました。
 また、家族の時間を多くとることができたことも特筆すべき点です。夕方以降、そして週末は必ず家族で過ごし、数え切れない思い出を作ることができました。

 もし留学に興味のある方がいらっしゃいましたら、どんなことでもよいので気軽に聞いてください。こちらに来たからこそ分かることなど、いろいろな情報を共有できると思います。

最後になりますが、このような貴重な機会を与えてくださった寺井教授、サポートいただいた医局の皆様、妻の留学・帯同を快諾していただいた本学歯学部多部田教授、支えてくださった全ての方に感謝を申し上げ、結びの言葉とさせていただきます。

中島 尚 記

同門会の皆様へ