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新潟臨港病院 紹介

社会医療法人新潟臨港保健会
新潟臨港病院 院長 鈴木 裕

 新潟市は信濃川と阿賀野川を中心として形作られた港町です。

 新潟市東区は信濃川河口部の東に位置し、区の北側は日本海に面しています。当院の位置する東区山の下地区は、古くは旧阿賀野川(現・通船川)の右岸に位置する沼垂湊の一部であったそうです。その後、河口の変化や増水による河川流路の変更によって現在の地形がつくられ、1889年(明治22年)の町村制施行によって松島村となり、1898年(明治31年)に沼垂町に編入され、1914年(大正3年)に沼垂町が新潟市と合併し新潟市の一地区となった歴史があります。1929年(昭和4年)の都市計画で山の下地区が工場地帯に指定されたことで工業地帯として発展してきましたが、現在は大規模工場の撤退や縮小とともに公営住宅を含む住宅地として変貌してきています。東区の面積は新潟市8区の中で中央区に次いで2番目に小さいものの、人口は中央区、西区に次いで3番目に多く(約13万人 [令和6年10月])、新潟市全体の人口の約17%を占めています。

 当院は、みなとトンネル山の下側入口近くに位置しており、高層階からは新潟西港に出入りする船舶が眺められます。昭和21年に新潟臨港開発株式会社(現・リンコーコーポレーション)の診療所として開設され、昭和26年に医療法人新潟臨港保健会を設立、昭和29年に新潟臨港病院と改称し運営されてきた民間病院です。平成16年4月には旧病院から隣接地へ新築移転し現在の建物で診療を開始しました。平成26年には社会医療法人の認可を受け、現在の病床数は196床(一般147床、地域包括ケア30床、療養 [医療] 19床)です。内科(一般内科・消化器・呼吸器・腎臓・リウマチ膠原病)・外科(消化器・肛門)・整形外科・泌尿器科・眼科・婦人科・麻酔科・脳神経外科・歯科口腔外科の各科で常勤医による入院を含めた診療を行っているほか、皮膚科・循環器内科・糖尿病内科・神経内科(慢性頭痛外来)で非常勤医による外来診療を行っています。

 病院開設当初からしばらくの間、内科常勤医は新潟大学旧第二内科(腎・膠原病内科、呼吸器・感染症内科)出身の先生のみでしたが、平成7年5月に初めての消化器内科常勤医として林俊壱先生(現・林俊壱クリニック内科・胃腸科院長)が赴任されました。林先生の退職に伴い平成12年10月から半年間は消化器内科常勤医不在の時期がありましたが、平成13年5月に上原一浩先生(現・上原消化器内科クリニック院長)が赴任され、平成15年5月から私が赴任し常勤医二人体制となりました。また、同月から風間咲美先生(現・奥羽大学歯学部総合臨床医学講座教授)にも外来・検査の常勤医として勤務(平成28年5月まで)していただくことができ、日本消化器病学会認定施設・日本消化器内視鏡学会指導施設となることができました。上原先生の退職に伴い平成22年4月から井上聡先生が着任され、更に平成25年4月から窪田智之先生にも勤務していただけるようになり、消化器内科常勤医三人体制となりました。令和6年6月から私自身は院長の任に就いておりますが、消化器内科としては現在のところ窪田先生を中心として、肝疾患や消化器がん化学療法なども含めて標準的な検査・治療に対応できるよう体制を整えています。また、窪田先生には診療部長と地域医療部長も務めていただき、診療部の取りまとめや病病連携・病診連携の調整など院内外に関する重責を担っていただいてます。井上先生は消化器内科部長・内視鏡センター長として、臨床機器や薬剤の検討、関連スタッフの指導・教育などの業務にも深く関わっていただいています(写真:内視鏡ミーティング後にスタッフと共に)。年間の内視鏡検査数は上部が約2200件、下部が約1200件、胆膵が約70件です。内視鏡治療に関しても可能な限り自院で対応するようにしておりますが、設備・医療機器やスタッフ数に限界もあり、対応困難な症例について大学をはじめとする各病院に治療をお願いすることも少なくなく、御協力をいただき大変感謝しております。

内視鏡ミーティング後にスタッフと共に

 最近は、種々の併存疾患を有する高齢者に、進行がんを含めた消化器疾患が新たに発見されることも多く、個々の患者さんに対して消化器内科医としてどこまで治療に介入するか、という点で悩むこともしばしばあります。近年の急速な人口高齢化に伴って、病院としても専門科に縛られすぎない総合診療的対応や、内科全体としての高齢者救急への対応が求められるようになっており、2040年に向けた新たな地域医療構想では、かかりつけ医や在宅医療、介護施設などと連携して地域の医療提供体制を構築してゆくことが検討課題にあがっています。当院は以前より「地域に密着し地域に信頼される病院」を主な理念としておりました。中小民間病院であり診療設備等に制限はありますが、逆に小回りのきくフットワークを生かして、信頼できるスタッフと共に新潟市東区の地域を守れるような医療を心がけてゆきたいと思います。今後とも、寺井教授をはじめとした大学・同門の諸先生方には御支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。