新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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留学だより/学会報告

AASLD2017旅行記

はじめに

2017年10月20日~24日までWashington DCで開催されたThe Liver Meeting 2017, The 68th Annual Meeting of the American Association for the Study of Liver Disease (AASLD)に当教室からは寺井崇二教授、山際訓先生、上村顕也先生、薛徹先生、堀米亮子先生、木村成宏先生、渡邉雄介先生、清野智先生、小川光平先生が参加し、さらにFDA(Food and Drug Administration)への訪問など非常に貴重な経験もありました。以下は国際学会での発表やレセプションパーティーへの参加などの様子について、大学院生からの寄稿となります。

Poster Presentation and Dinner Party 小川光平 先生

 AASLD第1日目に上村(顕)先生、薛先生と私、3日目には木村先生のPoster Presentationがありました。Poster sessionはPresenterが指定時間中はPoster前で待機しておりAudienceからの質問があれば答えるという形式でした。私の発表内容に関しては2人の方に質問をしてもらいました。1人目は白人の女性でした。所々質問内容が聞き取れなく、何度か聞き返してしまいましたが自分の研究内容について伝えたいことは伝えられたと思います(相手に理解してもらえたかは自信ありませんが)。2人目は「Oh! Shuji Terai」と共同演者である寺井教授の名前を見つけて、韓国の方が話しかけてくれました。話を聞くと、どうやら寺井先生のお友達の様でした。私のポスターをご覧になり、いくつかSuggestionくださいました。その時は非常にフレンドリーで陽気な方だと思いましたが、後で寺井教授にご紹介いただき、この方は韓国延世大学教授で韓国肝臓病学会理事長のHan教授であったと知り、びっくりして久しぶりに変な汗が出ました(笑)。
Posterではありますが、国際学会で発表する機会を頂けたことに感謝すると同時に、世界共通言語である英語で自身の考えを、他国の相手に伝え共有できることの素晴らしさを改めて感じました。
また最終日には山口大学の高見先生、石川先生、松本先生とDinnerをご一緒させていただきました。場所は「Tosca Restaurant」でオバマ元大統領やイチロー選手もよく訪れるという有名店らしい(木村先生談)。ですが町中に非常に溶け込んでおり、お店の入り口は、これぞ有名店!!というオーラはない感じでした。しかし店内は開放感のある落ち着いた雰囲気のRestaurant。サービスも非常に気持ちの良い対応で、スタッフの方も陽気で心地よい時間を過ごせました。また料理・ワインも申し分なく、個人的にはポルチーニのクリームパスタは風味が絶妙で美味しかったです。Washingtonへ訪れた際は、訪問することをお勧めします。Washington DC最後の夜に、とても美味しい料理とワイン堪能させていただきまして、お店の予約をしてくださいました石川先生、木村先生ありがとうございました。

Award Reception 渡邉雄介 先生・小川光平 先生

 学会2日目の10月21日に、今回のAASLD2017においてPosterならびにOral sessionで優秀演題として選出されたAward受賞者を祝うAward Receptionに、当教室で受賞された渡邉雄介先生とMentorの寺井崇二教授、そして渡邉先生のguestとして私の3人で参加致しました。Awardを受賞できるのは数百もの演題の中からわずかです。また受賞者の多くは世界各国の若手研究者で、受賞者の中から今後の世界のリーダーとなる人物が出てくるのだそうです。その中で同期である渡邉先生がAwardを受賞したことは、本当にうれしく思うと同時にいつかは自分も同じpositionへ行けるように精進していこうと思えた非常に刺激的な機会となりました。
また立食パーティーでは、世界トップの研究者たちと同じ空間にいるというだけで、渡邉先生とただただ緊張していました。しかしそのような状況でも、寺井先生が率先して海外の先生方と会話をされている姿を見て、改めて寺井教授のコミュニケーション能力の高さとグローバルな姿勢に驚かされました。 今回のAward Receptionへの参加を通して、次回は自分もAwardを受賞できるようにこれからの臨床および基礎研究に取り組み、いつかは私自身が次の世代に今回の様な貴重な経験をさせてあげられる様なリーダーになれるよう邁進していこうと思いました。このような機会を与えてくださいました、寺井教授および渡邉先生、本当にありがとうございました。

Oral Presentation 渡邉雄介 先生

 2017年10月20~24日、米ワシントン・コンベンションセンターにてAASLD the liver meeting 2017が開催されました。幸運にもInternational young investigator awardを頂きオーラルセッションでの発表に採用されました。まずは10月21日、Awardeeを祝う公式なパーティーにMentorの寺井崇二教授と同期の小川光平先生と参加し著名な先生方の話を伺い挨拶をしながら楽しいひと時を過ごしました。発表は10月22日、座長は有名なAlbert Einstein大学のGupta教授、内容はLive image and mechanistic analysis of MSCs and id-BMMs combination therapy for liver cirrhosis in mice, 肝硬変に対する細胞治療のメカニズムを大阪大学へ行き二光子顕微鏡を使って解明してきたというものです。英語のオーラル発表は初で、不安と緊張にさいなまれましたが、寺井教授の「何かあったら任せなさい」と言わんばかりの頼りがいのある表情をみてとても落ち着きました。また何よりも、会場の空気が和やかで印象・welcomeな印象を受けました。発表と質疑応答は無事に終わりいくらかのDiscussionを行った有意義なものとなりました。また発表が終わった後もamazingな内容だと称賛を頂きました。
今回の発表で特に考えさせられたことは、質問者の態度です。礼節を持つことは当然ですが、何より相互に理解するため、互いに歩み寄る態度を示すことが重要と思うに至りました。英語が苦手で余裕の無い日本人に対して、それにもわかるように話してくれる外人をみて、自分も質問する際には、ただ自分の意見を押し付けるだけではなく相手に伝わるようにシンプルにわかりやすく話すことを心がけようと考えました。Discussionの基本ですが以外とできていないことです、外国での経験を通じてとても学習できたことでした。今後、幸運にも(不幸にも?)、苦手な英語でオーラル発表をされる大学院生の方がいらっしゃいましたら、外国の発表の場は思った以上に和やかな空気であることをぜひ知っていて頂きたいです、こちらが不安に思う以上に外人はwelcomeです。今後、さらに新潟大学消化器内科の大学院生の活動は盛んになっていくと思いますが、海外での発表へも恐れずにどんどん挑戦していってください。

AASLD Member Reception 木村成宏 先生

 AASLD3日目にReceptionへ参加させていただきました。 ReceptionはNational Museum of Natural History、スミソニアン博物館群の自然史博物館で行われました。皆様ご承知のとおり、National Museum of Natural Historyは映画ナイトミュージアム2の舞台ともなっています。今回のReceptionでも夜間にAASLD memberとその連れ添いのみ入館可能となっており、まさにナイトミュージアムでした。メインホールでは像の剥製を中心にムーディーなライトアップ、音楽、そしてBarと立食を楽しみました。2階の一部を除き、ほとんどの展示物は解放されており、お酒や食事を片手に存分に展示物の鑑賞も行うことができました。映画に入り込んだような非日常感を大いに楽しむことができ、アメリカ合衆国におけるAASLDの実力と、参加しているMemberの社会的信頼性を窺い知れるよい機会となりました。本会に参加させていただき、今後もこのような機会に恵まれるよう、より一層の精進を行いたいと思えました。

FDA (Food and Drug Administration) 堀米亮子 先生

今回AASLDでワシントン訪問が決まった際、寺井教授からFDAの友人を訪ねようとのご提案がありました。FDAって…foodとdrugに関するアメリカの国家機関であることまでは分かったものの、どんなところでどんな人がいるのか、何をしているところなのか、具体的な想像がつかないまま当日を迎えました。
寺井教授以下、薛、木村、小川、堀米の5名でタクシーに乗り、ワシントンDC中心部から40分程でFDAに到着しました。広大な敷地に近代的な建物が整然と並んでおり、中には巡回バスが走っていて、さながら大学のキャンパスのようでした。到着してまず驚いたのはセキュリティの厳しさで、事前申請を行っていたにも拘わらず、屈強なガードマンに囲まれながら(実際は気さくなおじさまたちでしたが)更に写真撮影や指紋登録などを要求されました。これでもうアメリカで悪いことはできないなあ、などとあまりの緊張からおかしな考えを巡らせていると、教授のご友人であるDr.Steven Bauerが笑顔で出迎えてくださいました。Dr.Bauerは、元々リンパ球を専門に研究されていたそうですが、現在はFDAの細胞治療部門で幹細胞治療を中心に研究されており、寺井教授とは自己骨髄細胞治療のつながりで知り合われたとのことでした。Dr.Bauerからは、ドナーや精製法によるMSC(間葉系幹細胞)の質、治療効果の違いなどについて、最先端の研究結果を交えながらお話ししていただきました。日本と異なり、研究部門と承認部門が同一機関内にあることで、より連携をとりながら新薬や治療法の開発が進められるのは大きなメリットなのであろうと感じました。
FDAの中庭ではジョギングをしている人がいたり、各個人の研究室のドアには子供の描いた絵が飾ってあったりと、国家機関とは言え、自由の国アメリカらしい開放的な雰囲気が印象的でした。Dr.Bauerからは別れ際に「Don’t work hard!」と冗談っぽく言われましたが、働くときに働いて休むときは休む、長く走り続けるにはメリハリのある生活が大切であることをあらためて感じました。今回のワシントン滞在中にも国際学会への参加のみならずFDA訪問や観光、他大学の先生との交流など、様々な経験をすることができました。経験し難い貴重な機会を設けてくださった寺井教授に感謝し、今後の臨床や研究に邁進していきたいと思います(英会話も勉強します!)。

Sightseeing 清野智 先生

学会の合間を縫って、ワシントン市街地の街並み見学にも行ってきました。10月下旬でしたが、天候は雲ひとつない快晴続きで、とても過ごしやすい気候でした。中心部から近い位置に有名な観光名所が点在しており、日頃の運動不足解消も兼ねて、歩きでの名所巡りをしました。
ホワイトハウス、ナショナルミュージアム、ワシントン記念塔、アーリントン国立墓地、リンカーン記念館、リフレクティングプール等々がワシントンの代表的な観光地となります。名前はもちろんですが、映画の中で何度も見たことがある光景を実際に目の前でみるのは非常に感慨深いものがありました。個人的には、ちょうど行きの飛行機内で蜘蛛男(スパイダーマン)の新作が放映していたこともあり、劇中の舞台として登場していたワシントン記念塔が印象的でした。 ワシントンDCの美しい街並みで英気を養い、学会への意気込みを新たに会場へと向かいました。

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