新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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留学だより

ロンドン留学記(1)

2019年7月19日

 2019年4月よりBrexitで揺れる英国ロンドンのQueen Mary University of Londonに留学中の高橋です。現在はWhitechapelという地域にあるQueen Mary University of Londonと併設するRoyal London Hospital(Figure 1)で研究を行っています。Whitechapelはその昔、切り裂きジャックが出没した地域であり、被害者の方たちは当時のRoyal London Hospitalに搬送されたそうです。中心部から比較的近い地域ですが、多種多様な人種の方が生活しており、ロンドン中心部とは異なったエキゾチックな雰囲気を醸し出しています。留学準備~現在までの経験を簡単ではありますがご報告させていただきます。

留学準備~渡英まで
 さて、思い出すのも嫌になるVisa申請。3月末の渡英を目標に、年明け1月より本格的に準備をはじめました。準備に際しては、新潟県立中央病院の先生方には大変お世話になりました。必要な手続等は速やかに済ませましたが、事務手続きの遅れがあり、結果3月末には渡英できず・・。フライトの予約はとってあったので、かなり焦った挙句、結局フライトをキャンセルする羽目になりました。イギリスのVisa申請は煩雑で、ルールもよく変わり、事務手続きが非常に遅いので注意が必要です。今後イギリス留学を予定される方がいたらいつでも相談してください。
 予定より遅れること3週間、4月半ばにようやく渡英することができました。(なぜか1歳の息子のVisa取得が遅れ、一人で渡英することりました。同時に申請しているのに・・。)Visa取得に関しては時間と心に余裕をもって臨むことが大切かと思います。

>渡英後~現在
 ロンドンには日系の不動産会社がいくつかあり、基本的に日本人が対応してくれるので、住居探しであまり困ることはありませんでした。ただ契約等々で何かと時間がかかるので注意が必要です。私の場合は渡英翌日にアパートを決めましたが契約に時間がかかり、入居できるまでに2週間以上かかりました。ホテル暮らしは想像以上に窮屈で、辛かったです。部屋にこだわりがなければ、あらかじめインターネットで契約を済ませておくのもよいかもしれません。ロンドンの家賃相場は異常に高いですが(恐らく東京以上)、食品類や生活雑貨などはむしろ日本よりも安い印象です。さらに、Brexit騒動真っただ中の影響か、ポンド安が続いているので、大変助かっています。5月になって家族も合流し、現在はロンドン北部のFinchelyという地域に住んでいます。日本人が多く住んでいる地域であり、家族(妻、子)がこちらの生活に慣れるにはよい場所かなと思います。通勤にはtubeを利用しており、毎朝1時間弱、満員電車に揺られながら通勤しています。
 言わずと知れた大都会ロンドンですが、緑も多く、人も優しく、暮らしやすい所です。特に子供に対しては寛容な人が多く、子連れで電車に乗ると大概やさしく話しかけられます。最近は犯罪率の上昇が問題となっているようですが、生活圏内の治安は良いと思います。ただし観光地などは注意が必要で、私もWestminster寺院 (Figure 2A) を訪れた際にスリにあうという残念な体験をし、途方に暮れました・・。皆さんもイギリスにお越しの際はご注意ください。ロンドンはBig Ben (Figure 2B)、St. Paul Cathedral (Figure 2C)、Tower Bridge(Figure 2D)等々、歴史的建造物・名所が数多く存在し、見どころの多い街です。スリにあったことにめげず、ここ3か月間、週末には家族で街巡りを楽しんでいます。

 春先にはBirminghamに留学中の木村先生がロンドンまで遊びに来てくれました(Figure 3)。頻繁に連絡を取るわけではありませんが、同じ国内に日本の同僚がいるのはどこか心強いものです。今度は私がBirminghamを訪ねようと思います(木村先生が迷惑でなければ)。 研究について さて肝心の研究ですが、(1) 迷走神経刺激の内臓痛に対する効果とbrain activityの解析、(2)迷走神経刺激のIBD患者に対する効果、が主なテーマになります。最近Grantに応募するチャンスを頂き、もしかすると今後もう少し研究内容が増えるかもしれません。 今までの仕事とはやや毛色が異なりますが、非常に興味深いテーマで、楽しみながら研究に取り組んでいます。基本的には臨床研究が中心であり、参加者のrecruitや説明、必要な処置等を行っています。研究に参加される方、外来のDr等、様々な方とコミュニケーションをとる機会がありますが、言葉の壁は非常に高いと感じます。日常生活は勢いでなんとかなりますが、仕事上のdiscussionになるとなかなか誤魔化しがききません。留学を目指す先生方は、こつこつ英語のトレーニングを行うことをお勧めします。研究に関しては次回以降にもう少し詳しくお話しできればと思います。

 留学は準備の煩わしさ、慣れない現地での生活、コミュニケーション等大変なことは多々ありますが、それ以上に今までにない経験、知見が得られるチャンスがたくさんあります。まだ3か月しか経っていませんが、こちらに来ることができて本当によかったと思っています。このような機会をくださった寺井教授、医局の先生方に心より感謝いたします。

高橋一也 記

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