新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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留学だより

遵義医科大学訪問記

2019年4月26~5月1日

 2018年4月26日から5月1日にかけて、新潟大学医学部・遵義(じゅんぎ)医科大学早期消化管癌基礎臨床医学センターの設立の協定調印式ならびに寺井教授の客員教授就任式への出席のため、中国貴州省の遵義医科大学訪問に同行させていただきしました。
 遵義市は中国南西部の貴州省の行政区の一つでおよそ新潟県の2.5倍の面積に730万の人が暮らしています。遵義医科大学はこの地区の中心として機能する病院となります。行政機能の移転により医学部は郊外へ移動し真新しい校舎や付属施設が広大な敷地に建設されていました。医学部の学生は医科・看護科など含めて約15000人の生徒が勉強しているとのことでした。最新施設の図書館を訪問した時には設備の整った勉強スペースで学習や課題に励む学生がたくさん見られました。

遵義医科大学正門にて
図書館の前にて

 遵義医科大学付属病院は都市の中心部に位置しベッド数は約3000床程度です。複数のビルからなり現在も新しい建物の建設が進められていました。市内はたくさんの人と車が行き交い、至る所でビルの建設が進められており、発展する中国の勢いをダイレクトに感じることができました。
 調印式は4月30日に行われました。今回、我々を招いてくださった消化器内科教授のBiguang Tuo 教授やChanyin Yu病院長のご列席のもと消化器内科のスタッフの先生方も集まり、盛大に執り行われました。センターの設立により早期消化管癌の基礎研究ならびに臨床研究などのコラボレーションを進めていくこととなります。また、式典では寺井教授が新潟大学消化器内科の紹介として当科の目指す医師像や研究、社会への取り組みなどを講演されました。特に守破離のコンセプトについては共感が得られ、たくさんの反応を頂きました。この会では私も講演の機会を頂き、大腸拡大内視鏡について講演いたしました。会の最後には今回設立した早期消化管癌基礎臨床医学センターのパネル(看板)が披露されました。現在は病院の目立つところで掲示されているとのことです。

調印式の様子(右よりBiguang Tuo 教授、Chanyin Yu病院長)
寺井教授の講演
パネルの除幕式

 滞在期間中にはスタッフの先生方の案内で観光に出かける機会がありました。遵義市の北西部にある赤水市は「丹霞」と呼ばれる地形で有名な地域です。この丹霞とは鉄やマンガンを含む赤色の堆積岩が作る景観で風雨による浸食や地形の変動により断崖や滝が見られるもので世界自然遺産にも登録されています。独特な赤色の地形や赤い川も日本で見られない光景で中国の自然の大きさを体感できたものでした。

丹霞地形の四洞溝滝群の一つ飛蛙崖滝にて

 滞在中の食事の際に茅台酒(マオタイ酒)という白酒(パイチュウ)の一種を頂く機会がありました。マオタイ酒は貴州省の茅台地域でのみ生産される蒸留酒で大変貴重なお酒であり中国の国酒となっているものです。53度と大変強いお酒でしたが香りがよくコクのある味で、何度も乾杯してしまったほどです。話を伺うとマオタイ酒のおいしさにはその土地の独特な微生物環境が影響していると考えられているそうで、他の土地では再現できないのだそうです。

茅台鎮の夜景と噴水
茅台酒の巨大モニュメント

 滞在期間の後半には付属病院の内視鏡室にて実際にESDを行いました、不慣れなため質疑に答えながらの手技は苦労しましたが、熱心な質問に応えるべく全力で頑張りました。また、ESDトレーニングモデル「EndoGel」を持参しており実際に使用してもらいました。たくさんの先生が実際に夢中になって使用している姿を見られたのは今回の訪問の貴重な1シーンでした。

 今回の新潟大学医学部・遵義医科大学早期消化管癌基礎臨床医学センターの設立が両大学の発展につながることを祈念し、またこのような貴重な機会を与えてくださった寺井教授、ならびに今回の訪問の手配をしてくださった遵義医科大学付属病院のXuemei Liu准教授に深謝いたしまして終わりの言葉とさせていただきます。ありがとうございました。

 
早期胃癌ESDの様子

水野研一 記

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