厚生連柏崎総合医療センター 近況報告
厚生連柏崎総合医療センター
内科部長
五十川 修
当院の概略
当院は、遡ること80年前の昭和12年10月に20床の病院として開設され、長らく「刈羽郡総合病院」の名称で運営されてきましたが、平成24年4月に現病院名の「柏崎総合医療センター」に名称変更されました。地元では「郡病院」の略称で呼ばれていましたが、最近になってようやく「医療センター」で通じるようになってきました。
病床数は400床(一般355床、回復期リハビリ45床)で、柏崎市・刈羽村の約9万人の急性期・救急医療を支える唯一の総合病院です。地元の開業医からの紹介も多く、管内の救急車はほとんど当院で対応しています。中規模の病院であり常勤医師の数も40人弱と少ないため顔を覚えやすく、各科の連携も非常に良好で働きやすい環境です。一方で、心臓血管外科、呼吸器外科、耳鼻咽喉科、眼科は常勤がいないため、当該疾患の診療(特に救急診療)には不安があります。
当直は一人体制であるため救急診療の能力は格段に上がりますが、前述したように救急車が次々と来て疲弊してしまうことが問題となっていました。この点を少しでも緩和するため、開業医の先生方が交代で、平日の夜間7時から10時までと日曜日の午前中に救急診療をサポートする体制が構築されています。
病院としてできる限りの努力は行っていますが、残念ながら研修医は少なく、去年・今年は幸いなことに一人研修しておりますが、研修医がいない年もあります。一般的な視点からすれば中途半端な地方都市にあり、常勤医のいない診療科が複数あり、再稼働するかもしれない原発も近くにあるとなれば、研修医が少ないのも仕方がないのかもしれません。このような状況下で、当院で研修を行った限られた先生方の中から、佐藤 宗広先生(現新潟市民病院)、林 和直先生(新潟大学医歯学総合病院)、高橋 祥史先生(当院)の3名の先生方が消化器内科に入局されたのは大変嬉しいことでした。
消化器内科について
当院消化器内科は、第3内科同門会の先輩で言いますと、能澤明宏先生(のざわ内科医院)、中澤俊郎先生(中沢消化器科・内科医院)のお二方が礎となって診療体制が整えられました。
近年は、3人から4人体制で診療を行っていましたが、消化器内科の入院患者は60人前後と多く極めて多忙でした。このため、勤務医の疲弊が常に問題となっていましたが、昨年は4人から3人に減員となったことにより多忙を極め、秋口には来年以降の存続が危ぶまれるほど深刻な状況に陥りました。この窮状を寺井教授、川合医局長にお伝えしたところ、迅速なご対応をいただき、年度途中の今年2月より丸山正樹先生が着任され4人体制に復帰し、更に4月からは当院では初となる5人体制となり、過酷な勤務状況が改善し感謝しております。
現在は、五十川 修(平成2年卒)、丸山 正樹(平成11年)、高橋 祥史(平成21年)、中島 尚(平成23年)、杉田 萌乃(平成27年)の5名で診療を行っております。また、大学より月曜日に小林 隆昌先生、金曜日に渡邊 雄介先生に上部消化管内視鏡検査、火曜日には小国で開業されている横田 剛先生(横田内科消化器科クリニック)に下部消化管内視鏡検査を担当していただいております。出張の先生方には、検査の件数をこなしていただくばかりではなく、現在3年目の杉田先生に対して積極的にご指導いただいております。
消化器内科は救急症例が多く、これらに対して迅速かつ確実な対応が、その病院を評価するひとつの指標になっているものと思われます。当院は内視鏡室と放射線科の看護師が同一グループとなって勤務しており、休日.夜間への迅速な対応に加え、他の緊急処置への移行(ERCP下ドレナージ不成功でPTCD又はPTGBDへの移行、内視鏡的止血術からアンギオ下止血術など)も大変スムースであり、患者さんにとって有益な体制となっております。また、外科との関係も大変良好で、余計なストレスなく緊急手術を依頼できます。
消化器内科全員が特定の分野に偏よらないように患者さんを診療していますが、当院の立地的な要因から、症例は多くかつバラエティーに富み、若い先生方が消化器内科全般の経験を積むにはよい病院だと思われます。
学会活動や研究業績に乏しく、特にアピールできる分野がないのは残念ですが、今までの労働環境を考えますとやむを得ないものと思われます。一方で、特に苦手な分野もなくどのような症例が来ても、それなりのレベルで診療できる点はよいところだと考えております。今後は、学会活動を少しずつでも行い、各種学会の認定施設取得などを目指して頑張っていきたいです。今後ともよろしくお願い申し上げます。
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学会認定
- 日本内科学会認定医制度教育病院
- 日本消化器病学会認定施設(申請中)
- 日本肝臓学会認定関連施設
主な検査、治療件数 (2016年度)
- 消化器内視鏡:上部消化管内視鏡検査 2764件、下部消化管内視鏡検査 674件
- 内視鏡的逆行性膵胆管造影 177件
- (ERBD+ENBD 78件、EPBD+EST 56件、EMS留置術 5件)
- 上部消化管ESD 75件 上部消化管EMR 5件
- 下部消化管ESD 17件 下部消化管EMR 222件
- 上部消化管内視鏡的止血術 64件、下部消化管内視鏡的止血術 9件
- 内視鏡的食道静脈瘤硬化療法 5件、内視鏡的食道静脈瘤結紮術 2件
- 上部消化管ステント留置術 15件、大腸ステント留置術 7件
- 経鼻イレウス管留置術 39件、経肛門的イレウス管留置術 10件
- 内視鏡的胃瘻造設術 26件、カプセル内視鏡 21件
- 超音波内視鏡検査 24件、超音波内視鏡下穿刺吸引術 5件
- 超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ 4件、超音波内視鏡下膵嚢胞ドレナージ 1件
経皮的検査・治療
- 経皮経肝胆管ドレナージ 41件、経皮経肝胆嚢ドレナージ術 40件
- 経皮経肝胆管ステント留置術 15件
- 肝細胞癌治療:カテーテル 50件、ラジオ波焼灼術 5件
- 経皮的膿瘍ドレナージ術 20件、エコー下肝生検 20件
- 経皮的肝嚢胞ドレナージ術 2件、経皮的腎瘻造設術 2件
血管造影下治療
- 肝動脈塞栓術 24件、肝動注リザーバー挿入 5件
- 膵動注3件、腹部血管造影下消化管止血術 3件
- PSE 1件、BRTO 1件

後列左から 中島 尚、五十川 修、高橋 祥史