新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

経頸静脈的肝生検
(Transjuglar Liver Biopsy: TJLB)

済生会新潟第二病院 消化器内科
石川 達

はじめに

肝生検は一般に慢性肝炎の診断を中心に、通常は経皮的におこなわれている。しかし、原因不明の肝疾患の場合には予想外の出血などの合併症をもたらす危険性もあり、また、腹水貯留症例や高度の凝固異常患者など出血傾向を示す症例では経皮的肝生検は原則的に禁忌とされている。経頸静脈的肝生検(Transjuglar Liver Biopsy:以下TJLB)は上記の症例でも安全に肝組織の摂取が可能であり、手技の選択肢が増えることは患者の利益になりえる。TJLBは欧米では確立されており、様々な病態においてTJLBは重要な情報を与えてくれる。しかし、本邦での報告は少なく、煩雑な手技であることから、一般に普及するまでにはいたっていない。本稿ではTJLB手技の方法、合併症とその対策を含め解説する。

TJLBとは

1964年にDotterがイヌでのTJLBを報告し1)、1967年にはHanafeeが経頸静脈的胆道造影を2)、1970年にWeinerら3)によりTJLBの最初の臨床応用が報告された。その後、1973年にRöschら4) が本格的に臨床を行い、数多くの報告はなされている。経頸静脈的肝生検は、肝静脈に留置したカテーテルを介して生検針を肝静脈側より肝実質に穿刺し、組織を採取する方法である。

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