新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

胃静脈瘤の治療

新潟市民病院 消化器内科・血管撮影室
和栗 暢生

はじめに

 穹窿部孤発性胃静脈瘤(GV)は食道静脈瘤(EV)と同様に肝硬変を代表とする門脈圧亢進症の主たる表現型であるが,そのシャント経路は異なる.GVの主たる供血路は短胃静脈と後胃静脈で(一部は左胃静脈),排血路は胃腎シャント(gastrorenal shunt: GRS)であることが多い.その流速の速さから内視鏡的硬化療法 (endoscopic injection sclerotherapy: EIS)では硬化剤が瞬時に流れ去り,治療困難となる場合も多い.金川らが胃腎シャントの排血路側から逆行性にアプローチして硬化療法を行うバルーン下逆行性経静脈的塞栓術 (balloon-occluded retrograde transvenous obliteration: B-RTO)を開発し1, 2),その後もその良好な治療成績から,GV治療の主軸として確立し3-5),肝硬変診療ガイドライン2015でも推奨治療となっている6).当科ではB-RTOに引き続いて起こる門脈圧上昇を緩和する目的で部分脾動脈塞栓術(partial splenic embolization: PSE)を同時併用しており,シャント圧(≒門脈圧)上昇の緩和と食道静脈瘤増悪の抑制に寄与することを報告し7, 8),こちらもガイドライン6)に引用いただいている. 我々は破裂緊急例から予防例まで,一貫してB-RTO・PSE同時併用療法を主軸として治療を行っている.本稿では,当科におけるGV治療の実際を解説する.

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