新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

Ⅰ型胃神経内分泌腫瘍(胃NET)とA型胃炎

長岡中央綜合病院
佐藤 祐一

要旨

 萎縮性胃炎を背景に発生するⅠ型胃NETは、腫瘍径は小さく多発性であり、組織学的にも低悪性度で、予後がよいのが特徴とされる。一方、リンパ節転移や肝転移を来たすⅠ型胃NETが低頻度ながら存在し、その危険因子として、①腫瘍径10mm以上②Ki67 index高値③固有筋層以深の深部浸潤、などの臨床的特徴が挙げられている。
 A型胃炎は、特徴的な拡大内視鏡像として、保存された血管のネットワーク像と腺管開口部の消失が認められ、また自己免疫性甲状腺炎を合併する例があることに注意する。さらに除菌判定の際には、尿素呼気試験で偽陽性になる場合に注意しなくてはならない

胃NET(Neuroendocrine tumor; 神経内分泌腫瘍)の臨床分類

  胃NET(Neuroendocrine tumor;神経内分泌腫瘍)はその発生の背景の相違により、Ⅰ型;萎縮性胃炎に合併する胃NET、Ⅱ型;多発性内分泌腫瘍症1型(multiple endocrine neoplasm syndrome type1)/Zoll inzer-Ellison 症候群に合併する胃NET、Ⅲ型;散発性胃NETの3種類に分類される(1)。臨床的特徴として、Ⅰ型、Ⅱ型は、ECL細胞由来の腫瘍で、高ガストリン血症を合併し、腫瘍径は小さく多発性で、予後がよいのに対し、Ⅲ型は血中ガストリン値は正常で、単発で大きく、予後が悪い。また、3つのタイプの中ではⅠ型胃NET が最も頻度が高い(表1)。

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