新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野-旧内科学第三講座-

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Sun Ship通信

厚生連小千谷総合病院 紹介

厚生連小千谷総合病院 新院長 柳 雅彦
2021年3月25日

小千谷の地より・・・新院長として皆様へ

<小千谷の地>

 小千谷市は越後平野の南端に位置し、ここからさらに信濃川や魚野川を遡ると十日町方面や魚沼方面へと向かい、地理的には中越の山間地への玄関口に位置しています。

 歴史的にみても陸路として三国街道(現国道17号線)や善光寺街道(現国道117号線)や高田街道などが当地を通り宿場町として発展してきました。戦国時代には上杉謙信の関東出兵の経由地、また江戸時代には小千谷縮が名産となり柏崎を経由し京都、大阪、江戸に輸送した記録があるそうです。

 さらに近世越後の交通は川船による水運が主体であり、魚沼郡の幕府年貢米が信濃川を川で新潟まで下り、帰りに塩や海産物や雑貨を上り荷として流通させていたようです。

 当地はそのような水路陸路の中継地として栄えていたようで、驚くことに京都の文化が入って小千谷の元町地区には花柳界で華やいでいた時代があったと聞きます。(医師会の重鎮医師から伺いましたので昭和後期までは実存していたようです。)


参照:絵紙と小千谷のひいな祭り ホームページより

<心優しく情け深い田舎人>

 現代にも残る小千谷の名産や民俗文化も数多く、

  • 小千谷縮(苧麻(チョマ)100%の麻織物。江戸中期に越後上布を更に技術改良した麻織物の最高峰で2009年にユネスコ世界無形文化遺産登録。)
  • 錦鯉(泳ぐ宝石と言われ2017年に新潟県の観賞魚に指定。江戸時代から山腹の棚田を養鯉池として利用し鯉の品種改良が進む。近年は中東や中国の富豪など海外のバイヤーが多く来訪。)
  • 牛の角突き(小千谷市や長岡市山古志地区で開催され1978年に国の重要無形民俗文化財に指定。全国各地の闘牛とは異なり小千谷の牛の角突きは原則として引き分けで終わらせ、その「最高の引き分け」を創り出すの勢子の仕事も魅力の一つ。)
  • 片貝花火(越後三大花火として「川の長岡」、「海の柏崎」、と並んで「山の片貝」と評される。浅原神社秋季例大祭奉納大煙火としての神事であるが世界一の四尺玉が大迫力。)

    などなど挙げられますが、一つご紹介したい名所が「船岡公園」です。船岡公園は市中心部近くの小高い丘にあり、桜や紅葉やホタルの鑑賞で人気の場ですが、その一角に北越戊辰戦争での西軍(新政府軍)戦没者墓地があります。幕末に故郷を遠く離れ越後の地の激戦に倒れた西軍兵士の無念を思い慰霊のために設立されたようです。


    船岡公園 西軍戦没者墓地

     また激戦地であった朝日山古戦場の近くの浦柄神社境内には東軍兵士の慰霊碑もあります。戦乱で大切な田畑が荒廃した中でも、当時の小千谷住民は東軍西軍の区別なく手厚く弔っていたことが分かります。現代にも通じますが、小千谷の住民の方々とお話すると、心優しく情け深い田舎人の気質が伝わってきます。

    <新築・統合されスタートした厚生連小千谷総合病院>

     皆様ご存じのとおりですが、当院は2017年4月に新築・統合された病院としてスタートをきっています。前身は公益財団法人小千谷総合病院と厚生連魚沼病院の二病院でありますが、両病院の統合過程には紆余曲折あり完遂に10年近くを要しています。やはり経営主体の異なる病院同士の統合はほとんど前例がなく、計画推進には困難を極めたようです。しかし当地域においても少子高齢化や人口減少は急速に進行し、また両病院の施設の老朽化、医師の都市部偏在による勤務医不足などの諸問題は着実に進んでおりました。そのため待ったなしの危機として、新潟県や小千谷市、大学医局、医師会、厚生連、両病院関係者など関係諸機関のご理解とご協力が結実しようやく新病院として開院した経緯であります。ご協力をいただきました皆様にはあらためて深く感謝申し上げます。


    厚生連小千谷総合病院 外観

    <新院長として皆様へ>

     2016年に私が小千谷に赴任してから取得してきた資格の特徴としては、臨床研修医への指導のため臨床研修指導医講習やプログラム責任者養成講習(臨床研修協議会(P-MET))、また地域保健活動の一環を担うべく産業医学研修(日本医師会)など、それまでの消化器内科専門性の方面から医学教育や社会医学の方面へシフトしてきました。そのなかで共通してきた認識としては、研修医にしても職員(勤労者)にしても「こころとからだを大切に慮って初めて育成できる」との想いを一貫して抱いています。一朝一夕にできるものではありませんが、組織として強くなるためには「人材育成」で一歩一歩進んでいくことが欠かせない根幹の課題と思っております。

     2021年4月からの新院長を私が拝命いたしましたが、このような幾多の困難を乗り越えて新病院が開設して4年、地域に密着した素晴らしい「舞台」を用意いただいたと思っております。その素敵な舞台で、大切に思っています職員たちとともに「小千谷・北魚沼地域の医療・保健・福祉」という演目を舞い踊ってみたいと思っております。これからもよろしくご理解ご支援をお願い申し上げます。

    新病院外観
    消化器内科スタッフ

    厚生連小千谷総合病院のホームページはこちら

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