2026/09/03
小さな職場でもストレスチェックが義務化へ―2028年から何が変わる?
職場のメンタルヘルス対策として2015年に始まった「ストレスチェック制度」が、大きく変わります。
これまで労働者50人未満の事業場では実施が努力義務でしたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法によって対象が拡大され、2028年4月1日から小規模事業場でもストレスチェックが義務化されます。[1]
厚生労働省は制度拡大に向け、2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。[2]
ストレスチェックとは?
ストレスチェックは、質問票への回答を通じて、仕事に関連した心理的な負担などを確認する制度です。
ここで大切なのは、ストレスチェックは「うつ病かどうかを診断する検査」ではないということです。
本人が自分のストレス状態に気づき、必要に応じて生活や働き方を見直したり、相談につながったりすることが主な目的です。
また、個人の結果だけではなく、部署や職場など一定の集団ごとに結果を分析し、仕事量、人間関係、職場環境などの改善に役立てる「集団分析」という仕組みもあります。
なぜ小さな職場にも広がるのでしょうか
これまで50人未満の事業場では、産業医などの専門職を確保しにくいことや、事業者の負担などを考慮して努力義務とされていました。
しかし、こころの不調は会社の規模にかかわらず起こります。むしろ小規模な職場では、従業員と経営者の距離が近いため、「結果を知られてしまうのではないか」「相談したことが職場で分かってしまうのではないか」といった心配が生じやすい面もあります。
厚生労働省の新しいマニュアルでは、小規模事業場でもプライバシーを守りながら現実的に実施できる体制や方法が整理されています。[2]
結果を会社に知られてしまう?
ストレスチェックを受ける際に、結果が上司や会社にそのまま伝わるのではないかと心配する方もいるでしょう。
制度では、本人の同意なく個人の検査結果を事業者へ提供しないことが基本です。また、検査結果などを理由とした不利益な取り扱いを防ぐためのルールも設けられています。
ストレスが高いと判定され、一定の条件を満たした場合には、本人の申し出によって医師による面接指導を受ける仕組みがあります。
数字だけで一喜一憂しないことも大切です
ストレスチェックで「高ストレス」と判定されたからといって、必ず精神疾患があるわけではありません。
逆に、結果に大きな問題がなくても、眠れない、食欲が落ちた、以前楽しめていたことを楽しめない、仕事に行くことが非常につらい、といった状態が続いている場合には、専門家への相談が必要なことがあります。
ストレスチェックは、人を「精神的に強い、弱い」と判定するための制度ではありません。
働く人にとっては、自分のこころの状態を振り返るきっかけとして利用すること。そして事業者にとっては、ストレスの高い個人だけに対応するのではなく、より働きやすい職場環境をつくること。それが制度本来の目的です。
2028年の義務化を機に、ストレスチェックが単なる年1回の行事ではなく、こころの健康を守るための実質的な仕組みとして活用されることが期待されます。
参考情報
- [1] 厚生労働省「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策」(2026-06-30)
- [2] 厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアルを公表します」(2026-02-25)
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。