2026/09/08
SNSは子どものこころに悪い?―10万人規模の研究から考える上手な付き合い方
スマートフォンやSNSは、今や子どもたちの日常生活の一部です。
一方で、「SNSを長く使うとうつ病になるのではないか」「一日何時間までなら大丈夫なのか」と心配する保護者も多いのではないでしょうか。
2026年1月、JAMA Pediatricsに、オーストラリアの児童・生徒100,991人を対象とした大規模研究が発表されました。[1]
この研究から見えてきたのは、SNSとこころの健康との関係は、「使えば使うほど悪い」という単純なものではないということです。
利用が多い人だけでなく「全く使わない人」にも注目
研究では小学4年生から高校3年生相当までの若者を対象に、放課後のSNS利用と幸福感、生活満足度、悲しさ、心配、感情の調整など複数の指標との関係を調べました。
全体として、SNS利用が非常に多いグループでは、適度に利用しているグループと比べて、心の健康状態が良くない割合が高い傾向がみられました。[1]
興味深いのは、年齢によってはSNSを全く利用しないグループでも、適度に利用するグループより良好な状態とは限らなかったことです。
特に年齢が上がるにつれて、SNSが友人関係や社会的なつながりを維持する場になっている可能性があります。
つまり、SNSは単純に「良いもの」「悪いもの」の二つに分けられるものではなさそうです。
「2時間なら安全」という研究ではありません
研究では放課後のSNS利用時間を複数のグループに分けて解析していますが、この結果から「一日○時間以下なら安全」という明確な基準を決めることはできません。
また、この研究は観察研究です。SNS利用が多かったこと自体が心の健康状態を悪化させたと断定することはできません。
もともと気分が落ち込んでいるためSNSを長く利用する人がいる可能性もありますし、睡眠、家庭環境、友人関係、学校生活など、ほかの要因が影響している可能性もあります。
2026年のレビューでも、SNSと若者のこころの健康との関係は複雑で、利用方法、本人の特徴、周囲の環境などによって影響が異なることが指摘されています。[2]
時間だけでなく「生活への影響」を見る
家庭でSNSについて考えるときには、利用時間だけではなく、生活全体への影響を見ることが重要です。
例えば、SNSを見るために睡眠時間が短くなっていないか、勉強や学校生活に支障が出ていないか、やめようと思ってもやめられなくなっていないか、利用した後に強く気分が落ち込んでいないか、オンライン上で嫌がらせやいじめを受けていないか、といった点です。
特に睡眠は、こころの健康を考えるうえで重要です。夜遅くまでスマートフォンを見る習慣がある場合には、利用時間全体を厳しく管理する前に、就寝前の使い方について親子で考えることも一つの方法です。
禁止する前に「話せる関係」を
保護者が心配になると、SNSを全面的に禁止したくなることもあります。
しかし、一方的な禁止によって、子どもがSNS上で経験した困りごとを相談しにくくなる場合もあります。
「最近どんなものを見ているの?」「SNSで嫌なことはなかった?」など、普段から自然に話せる関係をつくっておくことも大切です。
現在の研究が示しているのは、単純な時間制限だけではありません。年齢や本人の特徴を考えながら、睡眠、学校生活、人間関係、気分への影響を含め、バランスのとれたSNSとの付き合い方を一緒に考えていくことが重要です。
参考情報
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。