2026/09/17
子どもの自殺が過去最多に―周囲の大人にできること
2025年、日本の自殺者数は19,188人で、前年より1,132人減少しました。一方、小学生・中学生・高校生の自殺者数は538人と前年から9人増え、統計のある1980年以降で最も多くなりました。[1]
日本全体の自殺者数が減少しているなかで、子どもたちの自殺が依然として深刻な状況にあることは、社会全体で考える必要があります。
一つの原因だけで説明することはできません
子どもの自殺が起きると、「学校が原因だったのか」「家庭に問題があったのか」など、一つの理由を探したくなることがあります。
しかし、自殺の背景には通常、学校生活、人間関係、家庭の状況、心身の不調、将来への不安など、さまざまな要因が重なっています。
厚生労働省・警察庁の資料でも、自殺の多くは多様かつ複合的な原因や背景を持ち、さまざまな要因が連鎖するなかで起きていることに留意が必要とされています。[1]
そのため、周囲から見れば「それほど大きな問題ではない」と思える出来事であっても、本人がどれほど苦しんでいるかは外からだけでは分かりません。
普段との変化に目を向ける
こころのSOSは、必ずしも「助けて」という言葉で現れるとは限りません。
眠れなくなった、食欲が落ちた、学校に行きたがらなくなった、好きだったことをしなくなった、友人との交流を避けるようになった、自分を強く責めるようになった、といった変化として表れることもあります。
特に「消えてしまいたい」「生きていても仕方がない」「死にたい」といった言葉が出た場合には、単なる反抗や気を引くための発言と決めつけず、その背景にある苦しさに目を向けることが重要です。
まずは話を聞くことから
つらさを打ち明けられたとき、大人は何とか励まそうとして「もっと頑張ろう」「考えすぎだよ」「みんな同じようにつらいよ」と言ってしまうことがあります。
しかし、まず必要なのは答えを出すことよりも、「そんなにつらかったんだね」「話してくれてありがとう」と本人の話を聞くことです。
原因を問い詰めたり、すぐに正しい考え方を教えようとしたりせず、安心して話せる時間をつくることが支援の第一歩になります。
一人の大人だけで抱え込まない
本人から相談を受けた家族や先生だけで、すべてを解決する必要はありません。
学校の先生、養護教諭、スクールカウンセラー、かかりつけ医、児童精神科や精神科など、複数の支援者につなぐことが大切です。
本人が自分を傷つける危険が差し迫っていると考えられる場合には、一人にせず、速やかに医療機関など専門的な支援につなげる必要があります。
厚生労働省の2025年版自殺対策白書でも、若者の自殺が特集され、電話だけでなくSNSなどを活用した相談支援について取り上げられています。[2]
周囲の大人が子どもの苦しさを完全に理解することは難しいかもしれません。しかし、「変化に気づく」「話を聞く」「孤立させない」「必要な支援につなぐ」ことはできます。
特別な専門知識がなくても、身近な人がその役割を果たすことが、自殺予防の大切な一歩です。
参考情報
- [1] 厚生労働省・警察庁「令和7年中における自殺の状況」(2026-03-27)
- [2] 厚生労働省「令和7年版自殺対策白書」(2025)
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。