2026/09/28
認知症は予防できる?WHOが2026年に新しい予防ガイドラインを公表
「認知症は予防できるのでしょうか」。これは多くの方が関心を持つテーマです。世界保健機関(WHO)は2026年7月、「認知機能低下と認知症のリスク低減ガイドライン」の第2版を公表しました。[1]
WHOは、認知症のリスクのうち最大45%程度が、生活習慣や健康状態、社会・環境要因など、変えることのできる要因と関連するとしています。[2] ただし、これは「生活に気をつければ45%の人が必ず認知症にならない」という意味ではありません。認知症には年齢、遺伝、さまざまな脳疾患など多くの要因が関係し、十分に対策していても発症することがあります。
今回のガイドラインで何が新しくなったのでしょうか
前回のWHOガイドラインは2019年に公表されました。その後、多数の研究が蓄積したことを受け、第2版では対象となる予防策が広がりました。[1]
従来から重視されてきた運動、禁煙、過度の飲酒を避けること、健康的な食事に加えて、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症などの管理が改めて重要とされています。[2]
さらに、社会的な交流や認知的な活動、聴力低下への対応、大気汚染への曝露を減らすことなども取り上げられました。単独の対策だけではなく、複数のリスク要因を一緒に改善する「多面的介入」も重視されています。[1][2]
脳だけを健康にしようと考えなくてよい
認知症予防というと、脳トレや特別な食品を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし今回のガイドラインが示す方向性は、むしろ「全身の健康を保つことが脳の健康にもつながる」という考え方です。
定期的に体を動かす、喫煙をやめる、飲酒量を見直す、血圧や血糖値を適切に管理する、人との交流を保つ、聞こえにくさがあれば評価を受ける、といった日常的な健康管理が中心になります。[2]
一方、明らかな欠乏症がない人が認知症予防だけを目的としてビタミンB・E、オメガ3脂肪酸、マルチビタミン・ミネラルを摂取することについて、WHOは推奨していません。[2] 「認知症に効く」とされる食品やサプリメントを自己判断で大量に摂取することには注意が必要です。
「予防」と「早期発見」は別のものです
物忘れがあるからといって、必ずしも認知症とは限りません。加齢による変化のほか、うつ病、睡眠障害、薬の影響、身体疾患などでも認知機能が低下することがあります。
「同じことを何度も聞くようになった」「金銭管理が難しくなった」「仕事や家事に以前にはなかった支障が出てきた」など、生活上の変化が続く場合は、予防法を探すだけでなく医療機関に相談することが大切です。
認知症予防に万能な方法はありません。しかし、心臓や血管、身体活動、社会とのつながりを大切にすることが、結果として脳の健康を守ることにもつながるというのが、現在の科学的知見から得られる重要なメッセージです。
参考情報
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としたもので、個別の診断・治療を代替するものではありません。