「尿が出にくい」「頻尿で困っている」「尿が漏れてしまう」といった排尿トラブルは、加齢だけでなく、脳梗塞・パーキンソン病・糖尿病などの全身疾患や、骨盤手術後など多様な原因で起こります。当科の排尿機能部門では、患者さんのQOL(生活の質)向上を目指し、正確な診断と最適な治療を提供しています。
尿を完全に出しきれないと、残尿による機能的膀胱容量の低下、尿路感染、高圧膀胱による二次性膀胱尿管逆流、腎後性腎不全などを来すことがあります。どんな人でも薬や手術の治療をすれば自力ですっきり排尿ができる、というわけではありません。大切なのは、排尿ができない状態を的確に評価することです。当科では、排尿機能の悪化による腎機能低下を防ぐため、必要に応じて尿道留置カテーテルや間欠導尿を取り入れ、その手技についての指導を行っています。
また、患者さんの症状を把握するためには診察時だけでは十分な情報が得られません。普段の排尿の状態を把握するため、排尿記録の記載をお願いすることがありますのでご協力をお願いいたします。
当科の特徴・診療内容
過活動膀胱とは、膀胱の活動が異常に亢進するために、尿意切迫感(急に生じる我慢できない強い尿意)・頻尿(尿が近い)を必須症状とし、時に切迫性尿失禁(トイレに間に合わず尿が漏れる)などの症状も出現する疾患です。過活動膀胱の原因は蓄尿期における膀胱の異常収縮といわれており、脳血管障害や脊髄障害、後で触れる前立腺肥大症などの疾患と関係していると考えられています。
高度な診断技術(尿流動態検査など)
問診や超音波検査をはじめ、必要に応じて尿流動態検査(ウロダイナミクス検査)を実施し、膀胱や尿道の機能を精密に評価します。ウロダイナミクス検査は排尿機能と蓄尿機能をみる検査になります。尿道カテーテル、直腸カテーテル、括約筋筋電図のシールを貼り、膀胱内に生理食塩水を注入し、膀胱内圧、直腸内圧を計測します。蓄尿時に膀胱が高圧にならないか、異常収縮がないか、尿意を感じることができるかを評価します。排尿ができる方は排尿していただき、腹圧をかけずに膀胱を収縮させることができるか、括約筋がうまく弛緩するかについて調べます。検査の結果で病態把握を行い、導尿の必要性や、回数を決める指標にします。生理食塩水の代わりに造影剤を使用し、透視室で行うビデオウロダイナミクス検査は、膀胱の形態や逆流の有無を評価することができます。
多角的な治療アプローチ
行動療法や生活指導、薬物療法を基本とし、難治性の排尿障害に対しては、外科的治療や先進的な排尿機能改善治療を含めた幅広い選択肢をご提案します。なお、前立腺肥大症に対する低侵襲手術や女性骨盤臓器脱に伴う手術など、排尿症状の改善を目的とした手術は当院では行っておりません。手術で症状が改善すると思われる症例に対しては、必要に応じて専門施設にご紹介いたします。
専門チームによる包括的ケア
手術後や廃用に伴う神経因性膀胱・排尿障害のために尿道留置カテーテルを留置している患者さんに対し、多職種(排尿専門看護師、作業療法士、理学療法士)と連携し、排尿管理を行う排尿ケアチームを立ち上げる予定です。
