腎がん

腎がん(腎細胞がん)について

腎がんは、腎臓にできる悪性腫瘍です。腎臓は左右の腰のあたりにある臓器で、血液をろ過して尿を作る働きをしています。
近年では健康診断や人間ドック、他の病気の検査で行われたCTや超音波検査によって、症状がないうちに発見される腎がんが増えています。
日本では年間約2万人が新たに腎がんと診断されており、高齢化に伴い患者数は増加傾向にあります。

腎がんの症状

早期の腎がんでは症状がないことがほとんどです。
腫瘍が大きくなると、以下のような症状がみられることがあります。
・血尿(尿に血が混じる)
・腰や脇腹の痛み
・お腹のしこり
・発熱
・体重減少
・倦怠感
しかし、これらの症状が現れる頃には病気が進行していることが多いため、定期的な健康診断が重要です。

腎がんの危険因子

腎がんの発症には以下のような因子が関与すると考えられています。
 ・高齢
・喫煙
・肥満
・高血圧
・慢性腎臓病
・透析治療
・家族歴や遺伝的要因
禁煙や適切な体重管理は、腎がん予防につながる可能性があります。

腎がんの病期(ステージ)と5年生存率

腎がんは腫瘍の大きさや広がり、転移の有無によって病期(ステージ)が決まります。

腎がんの進行イメージ

ステージⅠ 腎臓内に限局した小さながん(7cm未満以下)

ステージⅡ 腎臓内に限局しているが大きながん(7cmを超える)

ステージⅢ 周囲の血管やリンパ節へ広がった状態

ステージⅣ 肺、骨、肝臓など他の臓器へ転移した状態
病期によって最適な治療法が異なります。

ステージごとの5年生存率
スクロールできます
ステージ状態5年生存率の目安
I腎臓内に限局した小さながん90%以上
II腎臓内に限局した大きながん80〜90%
III周囲の血管やリンパ節に進展60〜80%
IV遠隔転移を有する20〜50%程度

腎がんの治療

1. 手術治療

腎がん治療の中心です。

腎部分切除術
腫瘍のみを切除し、正常な腎臓をできるだけ残す手術です。
当院では手術支援ロボット(ダヴィンチ)を使用した手術を行っています
小さな腫瘍や、腎機能温存が重要な患者さんに対して選択されます。

根治的腎摘除術
腎臓を丸ごと摘出する手術です。
腫瘍が大きい場合や部分切除が困難な場合に行います。
当院では腹腔鏡を用いた手術を積極的に行っていますが、大きな腫瘍の場合は開腹手術を選択することもあります。

2. 経過観察(アクティブサーベイランス)

高齢の患者さんや小さな腫瘍では、すぐに治療を行わず定期的に画像検査で経過を見る場合があります。

3. その他の局所治療

手術が難しい患者さんでは、
・ラジオ波焼灼療法
・凍結療法
・定位放射線治療
などが選択されることがあります。
(新潟大学および新潟県内の病院のではラジオ波焼灼療法、凍結療法は行っていないため、他県の施設へ紹介させていただきます。)

4. 薬物療法

転移を有する腎がんでは薬物療法が中心となります。
主な治療薬
・免疫チェックポイント阻害薬
・分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)
・インターフェロン療法
腎がんの組織検査(腎腫瘍生検)をした後に、適切な薬剤を選択して治療を行います。
近年の治療成績は大きく向上しており、長期間病気をコントロールできる患者さんも増えています。
手術を行った後、再発のリスクが高い一部の患者さんでは術後補助療法として薬物治療を行うことがあります。

治療後の経過観察

腎がんは治療後も再発の可能性があるため、定期的な受診が重要です。
通常は、
・血液検査
・CT検査
などを組み合わせて経過観察を行います。
術後、5年以上経ってから再発することもあるため、長期間の経過観察が推奨されます。

手術支援ロボット(ダヴィンチ)について

医師が操作して手術を行うロボット支援システムです。「ロボットが自動で手術をする」のではなく、医師が専用の操作装置(サージョンコンソール)を使ってロボットアームを動かし、患者さんの体内で精密な手術を行います。
高精細な3Dカメラと、人の手首以上に自由に動く器具を備えており、細かい操作を正確に行うことができます。

ダヴィンチ手術のメリット

・傷が小さい
・出血が少ない
・術後の痛みが少ない
・回復が早い
・体への負担が少ない
・より精度の高い手術が可能

当院ではda Vinci Surgical System(ダヴィンチ)を用いたロボット支援手術を積極的に行っております。
現在、腎がんに対する腎部分切除術のほか、前立腺がんに対する前立腺全摘術、膀胱がんに対する膀胱全摘術などで使用されており、今後適応の手術を広げていく予定です。

手術後に再発することはありますか?

腎がんは手術で完全に切除できた場合でも、一部の患者さんでは再発することがあります。
再発しやすい因子として、
・腫瘍が大きい
・腎臓の外へ広がっている
・血管内へ進展している
・悪性度(グレード)が高い
などが知られています。
そのため、治療後も定期的な画像検査による経過観察が重要です。

日常生活で気をつけること

・禁煙を心がけましょう
・適正体重を維持しましょう
・血圧管理を行いましょう
・塩分を控えましょう
・水分を適切に摂取しましょう
・定期受診を継続しましょう

腎臓を一部または片側摘出した場合でも、これらの点に注意すれば、ほとんどの患者さんは通常の日常生活を送ることができます。

最後に

腎がんは早期発見・早期治療によって良好な治療成績が期待できる病気です。また、進行した腎がんに対しても治療法は大きく進歩しています。
新潟大学泌尿器科では、患者さん一人ひとりの病状や生活の背景などに応じて最善と考えられる治療を提供します。治療方針を決める際は、患者さん自身やご家族のお考えを尊重しますので、不安なことや疑問点がありましたら、お気軽にご相談ください。