新潟大学大学院医歯学総合研究科

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ヒト腎臓病の病因や病態を解明し、新たな治療法を開発し、
次世代の研究者と医療人を育成に取り組みます

協力分野
Areas of cooperation

腎泌尿器病態学分野
Division of Urology, Department of Regenerative and Transplant Medicine

 腎泌尿器病態学分野(泌尿器科学教室)はわが国で最初に腎移植を実施した、伝統ある教室です。腎移植学、泌尿器腫瘍学、小児泌尿器科学、神経泌尿器科学を中心として、本邦泌尿器科学を牽引する屈指の実績を上げています。
 昭和25年1月、皮膚泌尿器科学教室から分離独立し泌尿器科学教室が創設されました。初代教授 楠 隆光は日本の泌尿器外科の草分けとして、井上彦八郎 助教授らとともに、昭和31年4月にわが国で初めて急性腎不全患者に対して腎移植を行い、救命に成功しました。二代 高安久雄 教授、三代 佐藤昭太郎 教授も一貫して泌尿器科学分野全般においてわが国の泌尿器科学をリードする取り組みと実績をあげてきました。腎不全に対する腹膜潅流療法や尿路変向術式の開発、先天尿路奇形に対する尿路形成術に加え、泌尿器腫瘍学の分野において1990年代前半におこなった養子免疫療法による腎癌治療、進行精巣腫瘍に対する末梢血幹細胞移植併用大量化学療法、1992年に世界で初めて成功した腹腔鏡下副腎摘出術など、縦横無尽に既成概念の枠を打破して前進する進取の気性は、現在も教室に連綿と受け継がれているスピリットでもあります。
 平成7年1月に就任した四代教授 高橋公太は腎移植を専門とし、ABO血液型不適合腎移植、先行的腎移植、知的障害者に対する腎移植、ドナーアクションプログラムの導入による献腎提供の普及啓発などに精力的に取り組みました。本学腎膠原病内科学分野、小児科学分野との協力のもと、400例以上の腎移植を行う一方で、腎研究施設をはじめとする国内外の施設との共同研究、translational researchを展開し、ABO血液型不適合腎移植における脱感作療法の開発と免疫学的順応機序の解明を進めました。
 平成27年1月に着任した五代教授 冨田善彦は、腎癌・前立腺癌などの腎尿路系悪性腫瘍に対する外科手術・腹腔鏡手術・ロボット手術のエキスパートとして泌尿器外科領域をさらに発展させる一方、腎細胞癌に対する分子標的治療、免疫療法の分野の第一人者として、免疫チェックポイント阻害薬のグローバル臨床試験に取り組んでいます。表裏一体である腫瘍免疫学と移植免疫学の最先端の知見を駆使し、俯瞰的立場から新時代の泌尿器科学を実践・再構築し、日本のみならず世界に発信するともに、次世代の優秀な人材育成に邁進しています。

小児科学分野
Division of Pediatrics

 小児腎診療では、小児特有の疾患から成人同様の疾患まで、その対象は様々です。成人と同じ病名でも治療や予後が異なることは稀でなく、小児ならではの病態を考える必要があります。「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療」の重要性が唱えられている背景の一つであり、当科でも腎・膠原病内科との緊密な連携を心がけています。具体的な疾患は、腎炎・ネフローゼ症候群、腎不全、尿路感染症や泌尿器疾患のほか、他疾患に伴う高血圧や電解質異常などが挙げられます。腎不全における移植医療、腎尿路奇形の手術などでは、泌尿器科との連携が欠かせません。最近では小児でも、透析を経ずに腎移植を行う先行的腎移植が増え、泌尿器科と綿密な治療計画を立てています。体格の小さな乳幼児では、移植可能な体格になるまで維持透析を行います。当科では他科との連携が必要不可欠です。
 腎炎、ネフローゼ症候群は診断から治療まで行っております。腎生検による診断、ステロイド、免疫抑制剤による治療が中心となりますが、近年治療法も変化しています。例えば難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)の有効性が報告され、当科でも使用し良好な結果が得られ、近年保険適応も認められました。また現在いくつかの臨床試験にも参加しており、新たな治療法を模索している状況です。
 研究面においては、腎疾患におけるマクロファージの役割について検討しています。具体的には、小児慢性糸球体腎炎における活性化マクロファージによる組織障害機序、マクロファージを介したシクロスポリン腎症における組織線維化機序などです。成人期発症慢性疾患のリスクが、胎児期や乳児期の成育環境にも影響されるというDevelopmental Origins of Health and Disease (DOHaD)仮説が広く支持されていますが、腎疾患の領域においても同様です。当科では、出生時体重と関連する腎組織病変についての研究も行っています。このほか、新潟県内のネフローゼ症候群の疫学、予後調査も進行中です。
 冒頭で申し上げました通り、臨床面では他科に協力していただき診療にあたっております。今後は研究面においても更なる連携が可能となりその発展に寄与できるよう努めてまいります。

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