股関節
股関節を痛める原因として変形性股関節症・寛骨臼形成不全・股関節唇損傷・大腿骨頚部骨折・大腿骨頭壊死症など様々な病気があります。近年の傾向としては人工股関節置換術が広く一般的に行われるようになったためか、人工股関節置換術後の合併症で紹介される方も多くなっております。
股関節疾患は慢性疾患であることが多く、短期成績がよくても長期に見ていくと患者さんにとって決して好ましいことではない場合が少なくありません。残念ながら股関節においては一人の医師が術後長年にわたり経過をみることは少ないことが現状です。我々は術後数年だけでなく患者さんの10年・20年先を見据えて新潟大学股関節グループとして新潟万代病院・新潟市民病院・済生会新潟病院・新潟臨港病院・県立新発田病院・立川総合病院・新潟労災病院,新潟大学魚沼基幹病院,県立燕労災病院などと連携をとり長期間経過をみていくことを心がけております。変形性股関節症の方であれば、その初期症状に対し生活指導やリハビリテーション・薬物療法などがそのままでいいのか、それとも股関節鏡や骨切術などの関節温存術という人工関節に頼らない手術方法が望ましいかを患者さんとともに検討します。
近年人工股関節置換術の術後長期成績が向上していることもあり、その症例数は増加をしてきています。術後早期に生じる脱臼やまた人工関節を長持ちさせるため、我々はCT撮影や下肢アライメント撮影による三次元情報をもとにした術中支援デバイス・ナビゲーション・三次元骨モデルなどの先進医療を行っており、筋肉や腱をなるべく傷めない最小侵襲手術法と併用して早期社会復帰に心がけております。入院期間は10日から2週間を基本としておりますが、患者さんによっては4日目に自宅退院をされた方もおられます。術後も定期的に経過を外来でみさせて頂き、いまだ未解決である人工関節の合併症(脱臼・摩耗・感染・血栓症)などの原因究明のため日々日常診療を見直し、患者さんにフィードバックしていくよう努めております。そのため、ひと月に行える手術件数には限度があり、待機期間が長く御迷惑をおかけしておりますが関連病院と連携をとりながら総合的医療を提供していきたいと思います。どうぞ股関節でお困りの方はお気軽に相談して頂ければ幸いです。