個別研究課題

大腸扁平上皮化生の免疫組織学的研究

【概要】

 大腸腺腫の扁平上皮化生の頻度は0.4%程度と報告されていますが、先行研究はHE染色標本のみを対象としたものであり、微小な扁平上皮化生巣やその初期病変は認識されていない可能性があります。また、同病変は大腸腺扁平上皮癌や扁平上皮癌の発生母地の一つと想定されていますが、扁平上皮化生の癌化ポテンシャルについての検討はこれまで行われていません。本研究は、外科切除材料にみられた大腸腺腫(ホルマリン固定パラフィン包埋)を対象として、以下の2点を目的とします。

 扁平上皮系細胞に発現する高分子サイトケラチンCK5と角化細胞に発現するinvolucrinに対する免疫染色を用い、大腸腺腫内の扁平上皮巣を網羅的に検索し、その頻度、扁平上皮化生を伴う腺腫の臨床病理学的特徴、および扁平上皮化生巣の組織学的特徴を解析する。

 細胞増殖マーカーKi-67蛋白、癌抑制遺伝子p53蛋白に対する免疫染色を行い、大腸腺腫扁平上皮化生巣の癌化ポテンシャルを明らかにする。

バレット食道癌発生母組織の推定

【概要】

 本来重層扁平上皮で被覆されている食道が円柱上皮で被覆された状態がバレット食道であり,バレット食道という用語は悪性化しうる食道という意味が含まれている.しかしバレット食道の定義は国により,また同じ国内でも研究者により,異なっています.バレット食道の定義の違いは,食道を被覆する円柱上皮に腸上皮化生の確認を必須とするか否かによります.従来,腸上皮化生は主たる癌の発生母組織として認識されてきましたが,近年はこの認識に疑問が投げ掛けられており,腸上皮化生を伴わない噴門腺型上皮が悪性化し得るか否か結論が出ていません.本研究は外科的もしくは内視鏡的に切除されたバレット食道表在癌を対象として,背景粘膜および腫瘍の両者を免疫組織学的に評価し,初期のバレット食道癌に関連が強い腫瘍隣接粘膜の同定を目的とします.

 研究に際し,氏名など本人を特定しうる個人情報はすべて番号を付与し,個人が特定できないようにした上で利用します.また個人情報データと標本の評価データは,分割して保存します.データを管理するコンピューターにはパスワードを設定し,データへのアクセス者は研究組織内に所属する者に限定されています.研究はパラフィン包埋された組織に対する組織形態学的検討と免疫組織化学的検討であり,分子生物学的検討ではないため,遺伝情報を知り得ることはありません.

バレット食道先進部の病理組織

 本来重層扁平上皮で被覆されている食道が円柱上皮で被覆された状態がバレット食道であり,バレット食道では粘膜筋板が二重化することが知られています.バレット食道先進部における粘膜筋板の状態と様々な臨床病理学的因子との相関を検討し,バレット食道伸展予測の可能性を探ります.

 研究に際し,氏名など本人を特定しうる個人情報はすべて番号を付与し,個人が特定できないようにした上で利用します.また個人情報データと標本の評価データは,分割して保存します.データを管理するコンピューターにはパスワードを設定し,データへのアクセス者は研究組織内に所属する者に限定されています.研究はパラフィン包埋された組織に対する組織形態学的検討と免疫組織化学的検討であり,分子生物学的検討ではないため,遺伝情報を知り得ることはありません.

 もしこのホームページをご覧になり,ご自分の資料を研究や教育に使われることに同意されない方は,ご連絡いただければその対象には含めません.ご質問等がある場合には,下記までご連絡いただけば幸いです.


現在使用させていただいている資料は下記のものです.

○1992年~2013年に,当院もしくはその関連施設で切除された食道腺癌病理組織標本

 お問い合わせ先
  臨床病理,渡辺玄: genmw@med.niigata-u.ac.jp
  Tel: 025-227-2096,FAX: 025-227-0760

食道学会拡大内視鏡分類 Type B2 血管を示す表在型食道扁平上皮癌の病理組織学的研究

 表在型食道扁平上皮癌では、壁深達度が粘膜固有層までにとどまるpT1a-EPおよびpT1a-LPM癌はリンパ節転移率が極めて低いことから、内視鏡的治療の絶対的適応とされています.従って、表在型食道扁平上皮癌の正確な内視鏡的深達度診断は、内視鏡的治療の的確な適応決定に必須です.日本食道学会では、NBI拡大内視鏡による血管分類においてtype B1がpT1a-EP~LPM, type B2がpT1a-MM~1b-SM1、type B3がpT1b-SM2以深、に対応するとされており、type B1を示す病変が内視鏡治療の絶対的適応となります.しかし、実際の症例では、血管分類と深達度とは必ずしも一致しません.特にtype B2の中にはpT1a-LPM~pT1b-SM2までの幅広い深達度の癌が含まれることが明らかにされており(医歯学総合病院消化器内科の前向き研究:新潟大学医学部倫理審査委員会承認:1733)、type B2血管と癌の深達度に関する更なる研究が必要とされています.本研究では、Type B2血管を示す病変の深達度診断の正診率向上を目的として、type B2血管が観察された食道癌について、同部の病理組織学的所見の分析を行います.

 研究に際し,氏名など本人を特定しうる個人情報はすべて番号を付与し,個人が特定できないようにした上で利用します.また個人情報データと標本の評価データは,分割して保存します.データを管理するコンピューターにはパスワードを設定し,データへのアクセス者は研究組織内に所属する者に限定されています.研究はパラフィン包埋された組織に対する組織形態学的検討であり,分子生物学的検討ではないため,遺伝情報を知り得ることはありません.

 もしこのホームページをご覧になり,ご自分の資料を研究や教育に使われることに同意されない方は,ご連絡いただければその対象には含めません.ご質問等がある場合には,下記までご連絡いただけば幸いです.


現在使用させていただいている資料は下記のものです.

○2011年から2014年に,当院でESDを施行された表在型食道癌病理組織標本

 お問い合わせ先
  臨床病理,渡辺玄:genmw@med.niigata-u.ac.jp
  Tel: 025-227-2096,FAX: 025-227-0760

アネキシンA10 の sessile serrated adenoma の診断における有用性

 大腸癌の前癌病変としてsessile serrated adenoma (以下SSA) が注目されています.しかし,SSAの癌化リスクについては一定のコンセンサスが得られていません.その一因として,SSAと,癌化リスクが極めて低いとされる過形成性ポリープの1亜型であるmicrovesicular hyperplastic polyp (以下MVHP) との病理組織学的鑑別が困難なことが挙げられます.近年,アネキシンA10 (以下A10) 免疫染色が両者を鑑別するマーカーとして期待されていますが,その評価方法や有用性については議論があります.本研究は,in situ hybridizationを用いて,A10免疫染色のSSA診断における有用性を検討します.

 研究に際し、氏名など本人を特定しうる個人情報は、すべて番号を付与し、個人が特定できないようにしたうえで利用します。また、個人情報データと標本の評価データは、分割して保存します。データを管理するコンピューターには、パスワードを設定しデータへのアクセス者は、研究組織内に所属する者に限定しています。研究内容を学会報告や論文として公表する場合は、個人が特定され得ることがないよう十分に配慮します。本研究における分子生物学的検討については、厚生労働省の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の適用範囲外であり、用いられる手法により各症例の遺伝情報は知り得ることはありません。

 もしこのホームページをご覧になり,ご自分の資料を研究や教育に使われることに同意されない方は,ご連絡いただければその対象には含めません.ご質問等がある場合には,下記までご連絡いただけば幸いです.


現在使用させていただいている資料は下記のものです.

○2013年から2014年に、当院およびその関連施設で、内視鏡的ないし外科的に切除された SSA 30例、MVHP 30例。

 お問い合わせ先
  臨床病理,味岡 洋一: ajioka@med.niigata-u.ac.jp
  Tel: 025-227-2096,FAX: 025-227-0760

Sessile serrated adenomaから発生した早期大腸癌の臨床および分子病理学的解析

 従来、大腸における主たる前癌病変は大腸腺腫とされてきました。近年、新たな前癌病変として sessile serrated adenoma (以下SSA) が注目を集めています。大腸癌は分子生物学的プロフィールに基づいたいくつかのサブタイプに分類されており、SSA は、BRAF遺伝子変異、CpG island methylator phenotype (CIMP)、マイクロサテライト不安定性 (以下MSI-H) に特徴づけられるサブタイプの前癌病変と想定されていますが、確実に SSA から発生したと病理学的に判定できる癌、すなわち「SSA内癌」を対象とした研究はごく僅かしかなく、確実なエビデンスが得られているとは言い難い状況です。本研究では、SSA内癌の臨床病理学的、分子病理学的解析を行い、SSAが上述の分子生物学的プロファイルの癌の前癌状態であることの確認を行います。

 研究に際し、氏名など本人を特定しうる個人情報は、すべて番号を付与し、個人が特定できないようにしたうえで利用します。また、個人情報データと標本の評価データは、分割して保存します。データを管理するコンピューターには、パスワードを設定しデータへのアクセス者は、研究組織内に所属する者に限定されています。研究内容を学会報告や論文として公表する場合は、個人が特定され得ることがないよう十分に配慮します。本研究における分子病理学的検討は特定の遺伝子についての体細胞変異を対象としているため、厚生労働省の定める「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の適用範囲外であり、用いられる手法により各症例の遺伝情報を知り得ることはありません。

 もしこのホームページをご覧になり,ご自分の資料を研究や教育に使われることに同意されない方は,ご連絡いただければその対象には含めません.ご質問等がある場合には,下記までご連絡いただけば幸いです.


現在使用させていただいている資料は下記のものです.

○1997年から2014年に、当院およびその関連施設で内視鏡的ないし外科的に切除された SSA内癌 30例、大腸腺腫内癌 10例。

 お問い合わせ先
  臨床病理,味岡 洋一: ajioka@med.niigata-u.ac.jp
  Tel: 025-227-2096,FAX: 025-227-0760

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