Youはどうして臨床病理へ?


『そういえば病理のことあまり知らないなあ・・・。』

『病理医もありかも・・・?』

『病理ってどんな感じなのかな?』

初期臨床研修中、いや、もしかしたら学生のときに、
ふと「病理」が頭をよぎったあなた、または現在進行形で検討中のあなたへ、
ベールに包まれている(?)「病理」について、
現在当教室に在籍している先生たちに、

「なぜここにいるのか?」
「病理学教室はどんなところなのか?」

などなど、生の声を聞きました。

【バックナンバー】

 第1回 近藤修平先生の場合

第2回 福田 睦先生の場合


病理は臨床と違うと思っていましたが同じでした

初期研修は精神科の専門コースをとる。研修中に進路相談に乗ってくれた先生から、病理か放射線科を勧められ、どちらの研修も受けてみた結果、病理へ進路をとり今に至る。

福田先生


-現在病理にいる経緯を教えてください

学生時代も、卒業して研修を始めたときも、病理は全く考えていませんでした。私は医学部4年生の時に精神科の先生とお話しする機会があり、その後の実習も精神科を多く選択し、将来は精神科医になりたいと思っていました。

病理を考え始めたのは、初期研修2年目の後半に近づいた頃です。その頃、それまでの研修を通して、患者さんとの向き合い方や距離感が上手く掴めなかったり、医学的な判断と全人的な判断を総合的にとることが出来なかったりして、少し自信を失っていました。そのとき私の悩みを親身に聴いてくださった先生が、病理か放射線科に進路をとるのはどうか、と勧めてくださったのです。その後、放射線科と当教室での研修を経て病理に進みました。


-病理に入ってからはどんな感じですか?

病理は対象となる臓器・疾患が多いので、幅広い知識が要求されます。始めた頃は机の上に標本がいつも載っていて、なかなかゼロには出来ず、宿題が常にある感じでした。知らなければならない医学の知識の膨大さと、自分の至らなさを突き付けられていました。また人と話すことはあまり上手く出来ないけれど好きなので、孤独に検体や標本、文献と向き合う作業が最初は少し辛かったです。

1年くらい経つと勉強の仕方や文献の探し方も分かってきましたし、教室の同僚である若い医師とコミュニケーションをとったりして、だいぶ楽になりました。現在は病理に入って3年目ですが、病理の全体像が見えてきた分、奥深さも分かってきて新たな壁を感じています。


-病理の仕事をする上で、モチベーションはなんですか?

病理に入った頃は、病理と臨床科は違うと考えていたのですが、今はモチベーションの根本は他の科と同じだと思っています。病理の仕事は直接患者さんと接することはないけれど、私たちの仕事が患者さんのためになるという点では、他の科と変わりません。


-教室の上の先生たちはどんな感じですか?

病理の先生の特徴として、言葉を大切にされている印象があります。診断のチェックでも、言葉の使い方を添削されることがあります。日本語は助詞が一文字違うだけで、意味が少し変わりますよね。病理の仕事は、言葉で伝えるものなので、きちんとした言葉や単語を使う必要があると教わっています。教授がお話をされる言葉も、とても明瞭できちんとした日本語です。大切に扱われる言葉を用いて、優しく接してくださいます。


-病理に来て良かった点を教えてください

病理の仕事量は他の科と変わらないと思いますが、自分でスケジュールを管理しやすいことは特徴の1つだと思います。1日の中で仕事をする時間帯をある程度自由に決められますし、急な予定変更が少ないので、自分でペースを作りやすいのです。私は体調管理のために、週に1回程度ジムに通う時間を作るようにしています。

また当直がありませんし、病院のPHSも持っていません。解剖当番日以外は、夜に呼び出しをされずに眠ることが出来ます (一人病理医の病院では少し異なるかもしれません)。


-新潟市の住み心地はどうですか?(福田先生は関東地方の出身)

学生の最初の5年間は、秋から冬にかけての灰色の空がつらかったです。今では冬はこんなものだと思えるようになり平気になりました。

新潟市は私の地元にはないデパート(伊勢丹や三越)もあり、想像していたよりも都会でした。
それから温泉が近くてうれしいです!私は温泉が大好きなので、新潟市は1時間程度ドライブすればいろいろな温泉に行けるので、とても幸せです。

福田先生

(インタビュー日 2016年1月15日)


インタビュー後記 聞き手 教室パート事務員 A子

福田先生の名札の写真が「この人は誰ですか?」というくらい現在とずいぶん印象が違うので、いつの写真ですかとお聞きしたら6年くらい前ということでした。普段はメガネをかけていることも多い福田先生は、メガネも似合うメガネ女子で、名札の写真より現在の方がとても若く見えます。少し肩の力が抜けたのかなあとのご本人談でした。
病理は9割方(もっとかも)の医学生や初期研修医にとって進路の選択肢に入っていないようですが、病理という選択肢があることで将来の可能性が広がる人も少なくないのではと思いました。

新潟大学医学部 臨床病理学分野は人材募集中です!見学を希望される医学部学生さんや研修医の先生は、総括医長の高村佳緒里までお気軽にご連絡ください。025-227-2096/メール takamura@med.niigata-u.ac.jp)

ページのトップへ戻る