放射線医学教室 青山英史

写真青山英史 教授

 平成22年4月1日付けで、新潟大学医学部放射線医学教室(医歯学総合研究科腫瘍放射線医学分野・機能画像医学分野)教授を拝命いたしました。
田宮知耻夫初代教授(昭和3年~昭和24年)、野崎秀英教授(昭和24年~昭和42年)、北畠隆教授(昭和42年~昭和52年)、酒井邦夫教授(昭和53年~平成14年)、笹井啓資教授(平成14年~平成21年)に続き、放射線医学教室教授としては6代目となります。
放射線医学教室としては、今年(平成29年)で92年を迎える国内で最も伝統のある教室です。

 放射線医学は放射線診断学と放射線腫瘍学という二本住で成り立っています。 放射線診断学分野には、CTやMRIなど解剖学的構造を基本とした診断手法、SPECTやPETのように腫瘍や正常構造の機能を元に診断する方法の他、細いカテーテルを用いて主に血管内から病変近傍までにアプローチして診断・治療を行うIVR(Interventional radiology)が含まれ、 診断から治療まで広い範囲を各診療科と協力しながら行うことができ、医療の質向上に直接貢献していることを実感できる非常にやりがいのある学問です。
一方、放射線腫瘍学分野では主にX線を用いた治療を行います。この放射線治療は手術、化学療法と並ぶ癌治療の三大柱の一つとされ、全身の主に悪性腫瘍を対象とした治療を行っています。 世界の先進国では担癌患者の6-7割が何らかの形で放射線治療を受けているとされていますが、日本での使用頻度は2-3割であり、まだ医療現場において充分に浸透しているとは言えません。
放射線診断と同じように放射線治療技術もすごいスピードで進歩しております。 例えば病変に対して多方向からビームを集中させることで正常組織の照射量を減らしながら病変への線量を高める定位放射線治療や強度変調放射線治療、癌内部にあらかじめ刺しておいた管を通じて遠隔操作で組織内から癌を死滅させる方法(組織内照射)、 様々な診断手法を放射線治療に応用することで有害反応のリスクを高めることなく治療する画像誘導放射線治療(IGRT:Image-guided Radiation Therapy)など診療のみならず研究にも直結するテーマが山積しています。
このように放射線医学は各診療科と密接な関係を保ちながら診療、教育、研究が行える非常にやりがいのある学問です。 私自身は放射線腫瘍学を専門としておりますが、診断・治療の両輪を預かる立場にあり、部門を超えた「雰囲気の良い教室」を作りあげることを目標の一つとしております。

 私のもう一つの目標は「地に足の付いた放射線医学教室」を作り上げることです。 前述のように最近の放射線診療機器の進歩には目覚しいものがあります。 これは医学の進歩として喜ぶべきことではありますが、しかしながら一方で、これらの新たな機器や治療法に振り回され、従来の診断、治療法を軽んじてしまうという危うさも含んでおります。 やたらに新たな診断・治療法に飛びつくことはせず、じっくりと科学者の目をもって診療に取り組むことができる真の医学者を育てることができるような落ち着きのある教室を作り上げることができるよう努力していくつもりです。

 放射線医学は診療としてのみならず、研究分野としても非常に魅力のある学問です。一人でも多くの医学生に放射線医学の楽しさを知ってもらうことが私の最大の使命であり、結果として共に働く仲間を増やすことができれば、それが何よりも幸せです。
学生の皆様はいつでも気楽に教室を訪れてください。放射線医学の魅力をたっぷりとお伝えします。また最終的に別の診療科に進んだとしても放射線医学のことを少しでも知っておくことは皆様の将来の可能性を広げます。 基礎・臨床を問わず各教室と密に連携をとった最高の放射線医学教室を作ることで、結果として新潟大学全体をより魅力のある教育、研究機関にすることができるよう、私のできる範囲で頑張っていきたいと思います。