乾癬外来

乾癬とは

 乾癬は、炎症性角化症の一つに分類される疾患であり、銀白色の分厚い鱗屑を伴った紅斑が寛解・増悪を繰り返し慢性に経過する疾患です。
本邦における乾癬の有病率は、0.02%~0.1%程度と推定されており、病に悩む患者さんが多くいるのが現状です。
欧米での高い認知度と異なり、一般にはあまり認知されていない疾患ですが、皮膚科外来では日常的に目にする疾患です。

乾癬の病因と治療の目標

 「乾癬」は慢性皮膚疾患の代表です。根本的な病気の原因についてはいまだ不明ですが、体質(遺伝的素因)やストレス、食生活、喫煙などの環境的な要因が複合して生じるとされています。最近の研究により「乾癬」の起こるメカニズムは徐々に解明されつつあり、炎症性サイトカインがその中心的役割を果たしていることが判ってきました。(図1)
 しかしながら、根本的な病因についてはいまだ不明のままであることに変わりはありません。このため、「乾癬」の病態解明に基づく効果的な治療法の開発がすすんでいる現在においても、治療が全く必要ない状態(=治癒)を目指すことは難しいとされています。つまり多くの患者さんにとって「乾癬」は一生付き合っていかなければならない疾患とも言えます。したがって、より副作用の少ない治療方法で日常生活に支障のない範囲(=寛解状態)に病勢をコントロールすることが乾癬治療における目標となります。



【図1】乾癬の免疫学的病態と各生物学的製剤の作用点

乾癬の治療

 乾癬の治療の選択肢としては、ステロイド外用、ビタミンD3外用治療、紫外線療法、レチノイド(ビタミンA誘導体)や免疫抑制剤の内服、生物学的製剤の注射など様々な治療の選択肢があります。当科では、これらの治療法を、患者さんの症状、病型、合併症やライフスタイルなどを十分考慮の上、効果的で副作用の少ない治療を提案しています。

乾癬治療の進歩

 前述したように最近の乾癬治療の発展はめざましいものがあります。特に2010年からに乾癬使用可能となった生物学的製剤によって、これまでの治療で難治であった重症の乾癬の患者さんの症状を寛解に導くことが可能になりました。(図2)


治療開始前

治療開始後

【図2】生物学的製剤による治療の効果

現在、抗TNF-α抗体製剤であるレミケード®(2010年〜)、ヒュミラ®(2010年〜)、抗IL-12/23p40抗体であるステラーラ®(2011年〜)、抗IL-17A抗体であるコセンティクス®(2015年〜)、トルツ®(2016年〜)、抗IL-17RA抗体であるルミセフ®(2016年〜)が発売されています。薬剤それぞれで効果的な病型に差があったり、投与方法や投与間隔が異なります。現在も新規の薬剤の開発が盛んであり、さらに治療の選択肢が増えることが予想されます。