医学物理士の業務

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 放射線治療の更なる高度化のためには、優秀な医学物理士の養成は喫緊の課題です。大学改革推進補助金「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」において、国立大学病院としては筑波大学病院に次いで2番目となる医学物理士レジデントコースが設置され、現在は2名の医学物理士と1名の医学物理士レジデントを中心に臨床業務を行っています。また医学物理業務の3本柱である「臨床・教育・研究」活動にも下記のように取り組んでいます。

臨床業務

当院の医学物理士および医学物理士レジデントは、医師・診療放射線技師・看護師との協力体制の下、主に以下の臨床業務を行っています。

  • 3次元原体照射(3DCRT)治療計画作成
  • 3DCRT治療計画検証
  • 強度変調放射線治療(IMRT)計画作成
  • IMRT Patient QAおよび評価
  • IMRT/VMATコミッショニングの実施計画立案、実施、および評価
  • 放射線治療装置および放射線治療計画装置の品質管理/品質保証の実施計画立案、実施および評価
  • 密封小線源治療(LDR)における線源管理
  • 放射線治療科の検討会、キャンサーボード、放射線治療品質管理室会議への参加
  • 大学関連病院への出張業務

 当院の医学物理士業務の特徴は、前立腺局所照射、乳房温存接線照射、喉頭温存照射、全脳照射などの3DCRT治療計画立案において、ターゲットおよび正常臓器の輪郭描出作業を含めて医学物理士が一貫して行っている点です。また、IMRT治療計画は、前立腺癌や頭頸部癌の他、最近では悪性神経膠腫に対して行っています。患者様に放射線治療による恩恵を最大限ご提供できるよう、医学物理学的観点からIMRTの適応拡大にも努めています。
 さらには、新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院をはじめとして、上越総合病院、新潟市民病院などの大学関連病院に定期的に出張し、新規リニアック立ち上げのサポートや治療計画補助などの医学物理業務を行っております

IMRT QA時の様子IMRT治療計画立案時の様子

教育業務

 本学における医学物理教育の特長として、「放射線治療科」「診療支援部門」、および「大学院保健学研究科」に属する各医学物理関係スタッフが三位一体となって以下の教育活動を行っていることが挙げられます。

  • 医学物理士レジデント教育
  • 医学物理コース大学院生に対する研究指導
  • 大学院博士前期課程科目「医学物理臨床実習」(半期)
  • 大学院博士後期課程科目「放射線治療医学物理臨床実習」(通年)
  • 大学院博士前期課程科目「医学物理学特論」
  • 副専攻プログラム「医学物理学入門」
  • 医学物理ミーティング(毎月第1,3水曜日開催)
  • 医学物理士認定試験対策用模擬試験(年2回)

 本学では「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の事業計画において、医学物理士を養成するための「医学物理士養成・臨床研修コース」(以下、レジデントコース)が採択され、2015年10月より医学物理士レジデント研修が開始されました。研修内容および評価法はIAEAの “Training Course Series 37 (Clinical Training of Medical Physicists Specializing in Radiation Oncology”に準じており、国内外の第一線で活躍できる医学物理士の養成を目指しています。レジデントコースだけでなく、医学物理コース大学院生に対しても積極的に教育活動を行っております。大学院必修項目「医学物理臨床実習」を通して、実際の臨床現場で治療計画や検証測定など医学物理業務を行う他、医学物理士に必要な素養を身に付けるため「医学物理学特論」の講義も行っています。また、2014年度から実施している医学物理士認定試験対策用模擬試験の成果として、2年連続で合格率100%を達成しています。
 さらには、本学の特徴である「副専攻プログラム」を通して、医学部・理学部・工学部に属する学部生を対象とした「医学物理学入門」の講義や病院見学開催など、学部生からレジデントまで幅広く医学物理教育を行っています。

医学物理臨床実習 モニタ線量計校正時の様子医学物理臨床実習 口頭試験時の様子

研究業務

 私たち医学物理グループでは、強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)など「臨床現場に求められる」研究を第一優先に行っております。一方で、これまで確立されてきたIMRT線量検証法や位置照合のマージン評価に対する問題点を洗い出し、従来よりも有用な評価法の開発を目指した、既成概念に捉われない挑戦的な研究にも取り組んでいます。さらには、医歯学総合病院の特色を活かし、本学大学院顎顔面放射線学分野との共同研究(頭頸部放射線治療における歯科用合金からの後方散乱線による線量増加評価)も行っており、次第に成果を挙げています。その他、医歯学総合研究科大学院生(医師)や保健学研究科大学院生の研究・論文指導、医学科の学生を対象とした医学臨床実習(2カ月間)の研究指導など、医学物理だけに捉われず様々な研究業務を行っています。

顔面放射線医学分野との共同研究時の実験風景

平成26年度医学研究実習 ポスター発表時に



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