医学物理士レジデントコース

HOME > 医学物理士レジデントコース

 医学物理士教育の中でも特に重要な部分を占める臨床研修のカリキュラムは、JBMP(日本医学物理士認定機構)の「医学物理教育カリキュラムガイドライン」にその骨子が示されています。日本では大学院に医学物理士教育コースが設置されている大学が多いですが、当然の事ながら大学院では講義や研究活動にも多くの時間を割く必要があるために、臨床研修は限られた時間や人的資源という制約の中で行う事が多くなります。一方、目を海外に向けてみますと、米国ではABR(the American Board of Radiology)によって医学物理士として認定されるためには医学物理士レジデントプログラムを修了することが必須となり、各施設でその整備が進んでいます。

 医学物理士レジデントプログラムとは、主に大学院修了者に対して病院での実際の臨床業務に関わらせる事を通じて臨床研修を系統的に行うプログラムです。米国のCAMPEP(Commission on Accreditation of Medical Physics Educational Programs)の「Standards for Accreditation of Residency Educational Programs in Medical Physics」によると医学物理士レジデントが習得すべき知識・スキルは主に下記のようなものがあります。

  • 臨床で用いられている最新の技術の実用上のスキル
  • 臨床上の目的を理解した上で、技術を応用するスキル
  • 医師、看護師、技師等の協力体制の中での医学物理士の役割の理解
  • コミュニケーションスキル、対人関係スキル
  • 患者情報の扱い方
  • 臨床現場での潜在的危険を察知し回避する能力
  • プロフェッショナルとしての振る舞い方、守るべき倫理

 このような知識・スキルは、実際に病院で働くという経験を通して効率よく習得されるものであるという事がお分かりいただけると思います。また、IOMP(International Organization for Medical Physics)IAEA(International Atomic Energy Agency)などの国際機関の活動などを通じて医学物理士の臨床研修についての国際的な標準を確立しようという動きもあります。当院の医学物理士レジデントコースの研修内容および評価法はIAEAの「Training Course Series 37 (Clinical Training of Medical Physicists Specializing in Radiation Oncology)」に準じており、新潟大学の臨床研修項目が国際基準に照らして客観性を持つことを重視しています。

 近年、理学部や工学部出身者(いわゆる理工系出身者)が多く医学物理の分野に入って来るようになりました。しかし、彼らの多くは病院との関係が無いために、必要な臨床研修を受けられる機会が非常に限られているという問題があります。当院の医学物理士レジデントコースは理工系出身者にも病院での臨床実習を受ける機会を提供できるものですし、これは医学物理士レジデントコースの果たすべき大きな役割の一つと考えています。もちろん当コースは理工系出身者以外の方も歓迎しています。
 ぜひ、当院の医学物理士レジデントコースで臨床実習を受け、臨床現場での即戦力となれるような医学物理士として活躍してみませんか?

Training Course Series 37 (Clinical Training of Medical Physicists Specializing in Radiation Oncology), International Atomic Energy Agency, Vienna, 2009.

当グループの宇都宮(写真右側)は2009年から2011年にかけて米国・ワシントン大学(ミズーリ州セントルイス)の医学物理士レジデントプログラムに参加し研修を受けました。
写真左の方は当時、医学物理士レジデントプログラムの責任者のEric Klein先生です。



PAGE TOP ▲